「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第13話結末

真金の騎士の一撃で、魔は一掃された。
だが、だからといってこの国が救われたわけではなかった。
魔は口にしていた魔王の降臨が始まっていたのだ。
しかも守護神の加護が完全に失われていた。
デイジーが苛め抜かれた事で、守護神の逆鱗に触れたのだ。

真金の騎士は急いで魔封じの魔法を準備した。
相手が魔王だと分かっていたので、使徒の力の全てを使って、長い時間をかけての大規模な魔法を準備した。

だがその間に、ファーモイ王国は崩壊してしまった。
いや、国というよりも大地が崩壊してしまった。
魔の世界から魔王が来るための通路として、ファーモイ王国の領地が全て消え去ってしまったのだ。

その時に、ファーモイ王国に生きる者すべてが巻き込まれて消え去った。
次元と異世界のはざまに巻き込まれ、輪廻転生の輪から外れ、永遠に激痛と悪夢に苛まれる混沌の存在と化してしまった。
王族の堕落に巻き込まれた者には災難でしかなかったが、これがこの世界の非情な定めであった。

真金の騎士はデイジーの事がとても心配だった。
三日三晩に渡る不眠不休の儀式で、デイジーの所に帰ることができなかった。
幼い頃から大好きだったが、ほんのわずかな期間同居しただけで、その愛情に間違いがない事を確信していた。
これが終わったら、プロポーズすることを決意していた。

「デイジー、僕だよ、ロディーだよ。
幼い頃からずっと愛していたんだ。
生涯デイジーを愛し、護る事を誓う。
どうか僕と結婚して欲しい」

「私もずっとロディー様の事をお慕いしていました。
ですが、真金の騎士様に出会って、ロディー様よりも真金の騎士様の事の方が好きになってしまいました。
真金の騎士様とロディー様で本当によかったです。
ですが、今回だけですからね!
夫婦の間で、二度と嘘は認めませんからね!」

デイジーと真金の騎士ことロディーは結婚した。
後に二人は、ダムラス王家の守護神の命令で国王と王妃に戴冠した。
ダムラス王家の守護神はロディーとの契約に新たな条項を加えたが、それは1代限りのモノだった。
古代戦闘神の使徒であるロディーは、守護神といえども気を使う存在だった。

一方デイジーは、ファーモイ王家の守護神であった神と再契約した。
とても厳しい契約内容だったが、混沌に落とされた善良な民を助けるには厳しい条件でも飲むしかなかった。
古代戦闘神が支援してくれなければ、とても結べない条件だったが、デイジーとロディー代だけは守られた。
それによってそれなりの人が混沌から人間に生まれ変わることができた。
二人が亡くなって、魔界との通路跡は奈落と呼ばれるようになった。

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