「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第16話

「恐れながら国王陛下。
ソムベルは乱心してしまったようでございます。
先ほどから聞いていましても、明らかな嘘がございます。
ロクバラ公爵家の当主として父として、恥ずかしい限りでございます。
ソムベルは責任をもってロクバラ公爵家で処罰いたしますので、ソムベルの嘘を許していただきたい」

随分身勝手な言い分ですね。
完全に国王を舐めていますね。
王太子の一件が大きく影響しているのでしょうね。

「それはあまりにも身勝手であろう。
ソムベルは、いや、ロクバラ公爵家は、余とオリビア嬢とモンタギュー公爵家を謀り、モンタギュー公爵家を乗っ取ろうとした。
ソムベルの処罰程度で済むと思っているのなら、余を舐めているのか!」

国王も自分の威信が地に落ちている事にようやく気がついたようですね。

「いえ、そのような事はございません。
決して陛下を謀る気はありませんでした。
全てはわたくしめの不明から来たことでございます。
わたしくめ、隠居し家督を長男ブライトに譲ります。
それでお許し願います」

「本来なら爵位を剥奪し、一族一門皆殺しにして、領地も召し上げるところだ。
それを隠居で済まそうというのか?
自分の息子に職位を継がそうというのか?
痴れ者が!。
この者達を連行して処刑しろ!」

やれ、やれ。
その怒りを、自分の息子に向ければいいモノを。
八つ当たりかもしれませんね。
それに、モンタギュー公爵家が味方だと強気になっているのでしょう。
ここで強気に出て、少しでも威信を取り返したいのでしょうね。
完全に手遅れですが。

「お待ちください!
どうか、どうか、どうかお慈悲を願います。
家督は一門の者に譲ります。
私も謹慎隠居いたします。
家督は国王陛下が見込まれた一門の者を立ててください。
ですから、なにとぞ、ロクバラ公爵家を存続させてください!」

ブライトも必死ですね。
自分が謹慎隠居してでも、家を残したいのですね。
それだけ追い込まれていると、ようやく理解したのですね。

「ならぬ!
余を愚弄し謀ろうとした一族に、公爵の位は与えられん。
いつ謀叛を起こすか分からん一族に、高位の爵位も大領も与えられん」

「ならば侯爵に、いえ、伯爵位に降爵してください。
領地も大幅に召し上げてください。
国王陛下とオリビア嬢とモンタギュー公爵家への賠償といたします。
どうか、どうか、どうかこれでお許しください」

ブライトも粘りますね。
降爵になろうと、ロクバラ家と血を残したいのですね。
それが貴族の一番大切にすべきことですから、当然といえば当然ですね。
国王はどうするのでしょうか?


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