「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第15話

「ロクバラ公爵家次男ソムベル。
その方の不義理はこの告白書で明らかだ。
マクリント伯爵オリビアから届けられた婚約解消願いを認める。
不服はないな」

「お待ちください、国王陛下。
私には全く身に覚えがありません。
身に覚えのないことを理由に、婚約解消を認める事はできません。
告白書を書いたアイラと対決させてください。
そうすれば真実が明らかになります」

小狡い発言ですね。
アイラがすでに処刑されているのを知っていての発言です。
なんとしても私の婿に納まり、モンタギュー公爵家を乗っ取りたいのでしょう。
もしかしたら、ソムベルも追い込まれているのかもしれません。
アイラと不貞を働いていなかったら、確実に婿入りできたのです。
ここで婚約を解消されたら、ロクバラ公爵家に居場所がないのでしょう。

「アイラは処刑をされている。
その願いは叶えられない。
だがソムベルの弁明を一方的に否定する事もできない。
マクリント伯爵オリビア。
なにか提案はないか?」

予定通りです。
お爺様が事前に整えてくださっていた段取り通りに進んでいます。
後はソムベルを追い込むだけです。
勝てると分かっている勝負は面白くないですね。

「ではお願い致します。
ソムベル卿に神明裁判を受けさせてください。
ソムベル卿には死んでもらうことになりますが、全ての真実が明らかになります。
ソムベル卿が真実を話しておられたのなら、その死を詫びるために、モンタギュー公爵家の家督をロクバラ公爵家にお渡しします。
ですがソムベル卿が嘘偽りを国王陛下に訴えていたなら、ロクバラ公爵家の家督を私にいただきます。
これが最も公明正大ではありませんか?」

「うむ。
確かにその通りだ。
死んだ人間を証言に出せという無茶を余に言うくらいだ。
命を賭けて自身の潔白を証明すべきだろう。
急ぎ神明裁判の準備を整えろ!」

「なぁ!」

ソムベルが絶句しています。
それはそうでしょう。
彼が私を裏切っていたのは、私がこの眼で見ているのです。
それを嘘をついて婚約者の座にしがみつこうとしたのです。
死を賭して神明裁判をすれば、嘘が明らかになり、ロクバラ公爵家の家督を失う事になるのです。

ソムベルだけでなく、ロクバラ公爵も嫡男も顔面蒼白です。
彼らもソムベルが私を裏切っていた事を知っていたのです。
知ったうえで、ソムベルに偽証をさせようとしたのです。
国王がここまでモンタギュー公爵家の味方をするとは思っていなかったようです。

馬鹿ですね。
モンタギュー公爵家は国王に数多くの貸しがあるのです。
その貸しを返してもらう絶好の機会です。
ロクバラ公爵家はこの後始末をどうつける気でいるのでしょう?

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