「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第32話

「そろそろ頃合いだと思われます。
飛行騎士団を投入してモンザ王国を併合しましょう」

いよいよです。
アルドスのバカが私を襲おうとしてから三ヶ月。
全ての準備が整いました。
その段取りもフェルドナンドが整えてくれました。

私も短い期間で各国の王族有力貴族の情報を集めたつもりです。
ですがその情報も、フェルドナンドが集めていた情報に比べれば、恥ずかしいくらい少なく間違ったモノでした。
フェルドナンドはいったいどうやってこれほどの情報を集めたのか?
集めた方法を考えても思いつきません。

その的確な情報をもとに、綿密な計算のもと、それらの国を動かしまいた。
我が国に都合がいいように誘導しました。
しかも、誘導されたのを気づかれないように、噂を流して誘導したのです。
あまりにフェルドナンドの計画通りに動くので、背中に悪寒が走りました。
恐ろしくて、でも斬る捨てる事もできなくて、悪夢にうなされました。

フェルドナンドの計画通り、各国がモンザ王国を非難しました。
ですがこの段階になっても、モンザ王国のグレソン王は正式に詫びませんでした。
詫びれば領地を割譲しなければいけないと思っているのでしょう。
さすがに賠償金を増額してきました。
王に非礼を働いたのに値する額を送るとは言ってきました。

ですが、同時に賠償金を請求してきたのです。
国の正式な使者を斬ったのは無礼だと言って、正式に抗議してきました。
はっきり言えば、私が舐められているのです。
成り上がりの小娘が女王をつとめる国など恐れる必要はないと思っているのです。
正直腹が立ちます!

それはエヴァも同じでした。
いえ、私以上に怒り狂っていました。
前回のように使者を殺そうとしましたが、フェルドナンドに止められました。
フェルドナンドは使者を生きたまま捕らえて、書状と共に各国に連れて行って証言させたのです。

各国はモンザ王国との国交を断絶しました。
フェルドナンドの根回しと情報操作が成功しました。
三ケ月かかったというべきか、それものわずか三ケ月で成し遂げたというべきか、私には判断できません。

「さあ、行くよ。
情けも容赦も一切必要ない。
徹底的に叩く。
皆殺しにするんだよ」

エヴァは勝利を確信しています。
それもそうでしょう。
魔力防御を無効にする魔道具を、フェルドナンドから貸し与えられています。
モンザ城を一撃で粉砕する攻撃魔法の魔道具もです。
今回は特に攻撃力に秀でた騎士を集め、飛行魔術の魔道具を貸し与えています。
彼らだけでもモンザ城を簡単に粉砕できるでしょう。

私は、フェルドナンドの事が改めて恐ろしくなりました。
アルドスの暴挙さえ、フェルドナンドの陰謀ではないかと思ってしまったのです。





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