「婚約破棄」「ざまあ」短編集5巻

克全

第14話

「エヴァ、バルフォア侯爵が亡くなられたいうのは本当?」

「はい、本当でございます、マイロード」

「死因は何なの?」

「ジェリコー男爵夫人と情交中に、腹上死されたそうです」

「……それが表に出てしまっているの?」

「はい、その時の相手、ジェリコー男爵夫人もバルフォア侯爵が亡くなられたのに驚き、頭の血管が切れて亡くなられたそうです。
バルフォア侯爵家は事を隠蔽しようとしたそうですが、怒り狂ったジェリコー男爵がバルフォア侯爵邸に押しかけてしまい、隠しようがなくなってしまいました」

「口止め料をケチるからよ。
バルフォア侯爵家の跡継ぎは愚か者のようね」

「はい、バカで評判でございます、マイロード」

「他に亡くなられた貴族はおられるのかしら?」

「はい、ベアリング伯爵がなくなられています」

「原因は?」

「愛人のギネス男爵夫人との情交中に、ギネス男爵夫人に刺殺されました。
無理心中だという噂でございます」

「だとしたらギネス男爵夫人も死んだのね?」

「はい、ベアリング伯爵との関係を大声で叫びながら大通りを裸で駆け抜け、王城の前で自害したそうでございます」

「ふう、それでは家はおとり潰しね。
気が狂っていたのかしら?」

「脳梅毒の恐れがあるとの事でございます」

「ベアリング伯爵やギネス男爵夫人と関係があったものは、戦々恐々としているでしょうね」

「はい、マイロード」

「脳梅毒に効く魔法薬が売れると思うけれど、もう値上がりはしているの?」

「はい、なぜか市場から脳梅毒用の魔法薬が消えているそうでございます」

「恨まれないように、上手く売り出すのですよ」

「お任せください、マイロード」

「他に死んだ人はいるの?」

「はい、アスキス子爵が売春宿で腹上死したとの事でございます」

「それも口止めできなかったの?」

「驚いた売春婦がお騒ぎしてしまったので、売春宿の亭主が止める間もなかったそうで、口止め料を手に入れそこなったと嘆いていたそうでございます」

「売春婦が疑われる事はないの?」

「……多少はございます」

「領地にも多少は悪所も必要よね?」

「はい、マイロード」

「若い女の私が当主になったことで、心配している者もいるでしょう。
事情がありそうな売春婦を領地に招いてくれるかしら?」

「ありがとうございます、マイロード」

「ちょうど五人ね。
前に話していた人数だけど、これで終わるのかしら?」

「さて、こればかりは相手のあることですので、お答えしようがございません、マイロード」

「そう、しかたないわね。
でも、これだけは約束してちょうだい。
ガサツな仕事は嫌いなの、奇麗な仕事をお願いするわ。
お金も惜しまないでね。
でも人材は大切にして。
未開拓の地はいくらでもあるのよ。
開拓村の新規開発はエヴァに任せるから、不可触民を上手く活用して」

「はい、ありがとうございます、マイロード」

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