「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集2

克全

第24話

グアッァァアァアアァアァ!
ギャァァァァオオォォォア!

アオとアカが怒りの雄叫びを放っています。
アーサー王子が腰を抜かしたようです。
椅子に座っているので、倒れるような事はありませんでしたが、座っている姿勢が明らかに腰抜け状態です。

ああ、ああ、ああ!
高価なソファーなのですが……
捨てなければいけませんね。
アーサー王子が失禁してしまいました。
まあ、天虎が激怒した威嚇を叩きつけられたのです。
気を失わなかっただけでも立派と言えます。

後ろに控えていた近衛騎士たちの半数は、気絶して床に転がっています。
残りの半数も経っていられなくて、床にへたり込んでいます。
独特の臭気が部屋中に広がっています。
絨毯も捨てないといけません。
高かったのですが……

「アーサー王子殿下。
これが返事でございます。
私は精霊様に護られる身でございます。
精霊様のご意思には逆らえません。
今回の条件は、精霊様の意には沿わないようでございます。
私個人としては、王家も王国も最大限の配慮をしてくださったと思います。
マクリントック公爵家の令嬢としては、受けるしかないくらいの好条件です。
ですが今回はお受けできません。
お受けしてしまうと、私は精霊様のご加護を失ってしまうかもしれません。
いえ、私はそのままで、王家王国が精霊様に嫌われてしまうかもしれません。
国王陛下もアーサー王子殿下も、精霊様の御怒りをかう覚悟はないのでしょ?
いえ、そもそも精霊様のお怒りを買ってしまったら、私と結婚する意味がありませんでしょ?
だからこの話はなかったことにいたしましょう」

私の返事を聞いて、いえ、アオとアカの怒りを知って、アーサー王子たちは這う這うの体で王都に戻って行かれました。
その噂が瞬く間に近隣に広まったせいでしょうか?
領主は放つ密偵が瞬く間にいなくまりました。

それでもしつこく密偵を放つ家には、ベヒモス様が罰を与えられたよです。
行儀の悪い領主は、城砦を破壊されたようです。
城門が周囲の塔と一緒に粉砕されてしまったそうです。
城壁が全て破壊され崩れ落ちていたそうです。
大きく鋭い爪跡が残っていたそうです。
彼らは引き際を誤った事で、莫大な修築費用が必要になってしまいました。

犯罪者ギルドにかんしては、後日に壊滅したという噂が耳に入りました。
構成員全員が肉片となるような、激しい襲撃を受けたそうです。
私は誰がやったのか考えるのをやめました。
ジョージも考えていないようです。
ジョージはただただご機嫌です。
アオとアカに邪険にされながらも、全くめげずのブラシを持って近づきます。
お礼にアオとアカの毛並みを整えるつもりのようですが、アオとアカには迷惑なだけのようです。

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