「ざまぁ」「婚約破棄」短編集3巻

克全

第7話

「大変でございます、聖女カミラ様!
ロイドが聖女カミラ様の事を話しそうになって、酒場で死んでしまいました。
その事が蘇生術の一件と合わさって大評判になっております。
どうかお逃げください。
私達が露払いをせていただきます!」

蘇生術を施して三日、もう噂が広がっていました。
助けた旦那さんと奥さんが話さなくても、ご近所の方が話してしまいます。
その事は最初から分かっていた事です。
旦那さんと奥さんがどれほど否定しようと、一度死んでいたことは、ご近所の方々には明白な事実なのです。

問題は、あれほど厳しく口止めしていたというのに、天罰まで受けると神に誓ったのに、話してしまって死んだロイドの件です。
これで私が単なる蘇生術使いではなく、神に祝福されているのが、聞く者が聞いたら直ぐに分かってしまいます。
今直ぐ逃げ出すのは既定方針ですが、この者達をどうするかです。

「ドラゴンファングの皆さんは、天罰を受けていないところを見ると、神との約束は守ったようですね。
だったら、もう気にすることはありませんよ。
私には神の加護と祝福があります。
煩わしい争いを気にしなければ、どこでも生きていけます。
貴方達は好きにしなさい」

「いえ、そうはいきません。
パーティーメンバーが聖女様にご迷惑をおかけしたのです。
神の怒りは激しい物でしょう。
幸運に恵まれないばかりか、不運に付きまとわれることになります。
この状態で冒険者を続けても、必ず死ぬ事になります。
どうかお慈悲でございます。
我々を使い走りにお加えください」

そういう事ですか。
命を天秤にかけた打算ですね。
それなら理解できます。
変に神聖視されるのは気持ち悪いですが、冒険者らしい命を賭けた行動なら、嫌な気にならずに役割を与えることができます。

「分かりました。
だったら今直ぐこの都市から逃げ出します。
私は自由に生きるのが好きなのです。
私が助けたいとを想う人を助け、大嫌いな小汚い人間は見捨てる。
貴族や神殿に利用されるのはまっぴらです。
私を助けて働いてください」

「「「「はい!」」」」

さあ、また次の都市て精一杯生きますよ!

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