「ざまぁ」「婚約破棄」短編集3巻

克全

第6話

「あなた、わたし、助かったの?」

「おおおお!
ありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
何でもいたします。
どのような命令にも従わせていただきます」

「では先ほども言ったように、奥さんは死んでいなかった事にしてください。
気を失っていただけ。
気絶していただけだと、誰に聞かれてもそう言ってください。
もし、蘇生術の事をしゃべってしまったら、今度奥さんが亡くなられるようなことになっても、助けることができなくなりますよ」

「分かりました。
分かりました。
絶対に話しません。
必ず、気を失っていただけだと申します。
まことに些少ではございますが、これを全部受け取ってください」

旦那さんはまた机に置いた銀貨銅貨を私に勧めますが、いりません。
病気の痛みで気絶していたのを起こし、病気を治したにしても、少額ではありますが、全部もらうとこの二人の今後の生活が厳しくなります。
生活苦で二人そろって奴隷になってしまったら、助けた意味がありません。
そんな事になったら気がとがめてしまいます。

「さっきも言ったでしょ。
半分でいいですよ。
それよりも、残りのお金で奥さんに美味しい物を食べさせてあげてください。
言っておきますが、絶対に奴隷になる事は許しませんよ。
どうしてもお金の工面ができない時は、相談してくだい。
奴隷にならないですむ仕事を紹介します」

「ありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます」

「ありがとうございます、聖女カミラ様」

「ああ、そうだ。
二人ともあまり食事をとっていませんでしたね?
そのままでは帰るのも大変でしょう。
体力が回復する薬を分けてあげます。
これを飲んで帰りなさい」

「そんなあ!
女房の命までお助けいただいて、お礼もろくにできていないのに、その上高価な回復薬までいただけません」

「そうでございます、聖女カミラ様。
私もこれ以上お世話になるのは心苦しいです」

「心苦しいと思うのなら、回復薬を飲んでい帰りなさい。
家に帰る途中で倒れられたり、家で再び悪くなったりしたら、貴族や神殿にバレる危険をおかして蘇生術を使った意味がありません。
いいですね!
ちゃんと飲んで帰るのです!
分かりましたね!」

「はい、申し訳ありません。
ありがとうございます」

「ありがとうございます、聖女カミラ様」

さて、逃げる準備をするにしても、ギリギリまで治療はしたいですね。
薬は全部魔法袋に詰めておきましょう。
お金も大切ですね。
一番必要なのは、夜営の準備と食糧の確保ですね。
買い物に行かなければいけません。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品