「ざまぁ」「婚約破棄」短編集3巻

克全

第10話

(水龍様!
水龍様からお言葉を賜るなんて、恐れ多いことでございます!)

(気にするな、巫女。
我は巫女の守護者だ。
巫女を護るのは当然だし、巫女が大切にしているモノも護ってやる。
だから安心するがよい)

水龍様は本当に助けてくださいました。
神に限りなく近い存在なのが水龍様だと我が家には伝わっています。
いえ、眼に見えず人間に何の助力もしてくださらない神と呼ばれるモノよりは、現実に存在して守護してくださる水龍様こそ神です。

神同等の水龍様は、精霊でもあります。
上級精霊と呼ばれるジンやエフリート、クラーケンやベヒモスを超える精霊術を使われるのです。
単体で四大精霊術を複合させた、複合精霊術を駆使されるのです。

その御陰で、季節外れなのに穀物が実りました。
単に実っただけでなく、大豊作になりました。
畑の穀物だけではありません。
森や魔境に実る果実が大豊作になりました。
しかも実りを早めただけでなく、年三度もの実りを約束してくださいました。
もう食糧の不安はありません。

「ピエトロ。
王国中に噂を広めてください。
カーライル家は働く気のある者をすべて受け入れると。
お腹一杯の食事を約束すると。
水龍様の守りで、王国軍から守ると。

「承りました。
早速広めます。
先に押し付けられた奴隷達が証言してくれますから、一気に広められます」

ピエトロの言う通り、水龍様の助力をいただいてから、奴隷達には満腹になる食事を与えきました。
奴隷達にはとても感謝されています。
まあ、食事を与えた分働いてもらっています。
老人や病弱な物や子供達なので、やってもらえる仕事は少ないですが、自分達の衣食住に直結する仕事なので、一生懸命働いてくれています。

水龍様のお力で、地面を割り整え、地の底が見えないほどの空濠を創り出してもらいました。
地面を隆起させ、見上げるほど高く直角な城壁代わりの山を創りだしてもらいました。
その内側に広大な森林地帯があるのですが、王国軍は一兵も侵入させられないでしょう。
鉄壁の護りです!

ですが問題もあります。
多くの奴隷が住むための家がありません。
服もありません。
料理に使う鍋や釜、包丁もないのです。
奴隷達にはそのようなモノを作ってもらいました。

みな喜んで木を伐採してログハウスを建てています。
麻や葛、芭蕉や綿を集めて布を織り、着物を作っています。
鍛冶ができる者がいないので、これは元からの領民に任せていますが、原料となる鉄鉱石は水龍様が地の底から取り出してくださりました。

問題は王国をどうするかです。
民を巻き込んでも水龍様に攻め滅ぼしてもらうた、時間をかけて民を引き抜き、王族だけにしてから滅ぼすかです。
滅ぼすのは確定ですが、少し時間をかけて考えます。

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