「ざまぁ」「婚約破棄」短編集

克全

第5話

「王太子ロビエル。
レイドス伯爵家令嬢ウルスラ。
二人の罪は神明裁判を行う必要もないほど、これまでの証拠と証人で明らかであるが、それでも弁明はあるか」

「嘘でございます。
全て捏造と虚偽でございます。
国王陛下の賢明な判断を信じております」

「間違いでございます。
陥れられたのでございます。
私は何もやっておりません。
何も言っておりません。
全て王太子殿下が勝手になされた事でございます」

「なんだと!?
全てウルスラが言ったことではないか!
私はウルスラを信じてアルテシアを処断したのだぞ!」

国王や有力貴族が全員参加する裁判で、見苦しい光景が繰り広げられています。
王太子を籠絡して、王妃になろうとしていたのでしょか?
聖女ならばともかく、伯爵令嬢では絶対に王妃にはなれません。
王家や公爵家に養女に入れれば別ですか。
どこかの王家か公爵家が陰で操っていたのでしょうか?

「レイドス伯爵。
申し開きはあるか?」

「ございません。
全ては娘を教育できなかった我が不徳の致すところ。
家名断絶処刑も覚悟しております」

「分かった。
よい覚悟だ。
判決を言い渡す。
王太子ロビエルは、王位争いの禍根を断つために処刑する。
レイドス伯爵家令嬢ウルスラは八つ裂きの刑とする。
レイドス伯爵は連座で同じく八つ裂きの刑とする。
レイドス伯爵家は男爵家に降爵し、一族の者に跡を継がせる。
領地は全て一旦王家で収公し、男爵家に相応しい領地を与える。
収公した領地の内、レイドス男爵家に与えた石高を除いた分、三分の一ずつを、ディエド、アルテシア、エルティナに与える。
それぞれ三人には領地にあわせて男爵位を授ける。
好きな家名をつけるがよい」

「「「ありがたき幸せに存じます」」」

国王も思い切りましたね。
まさか王太子を処刑するとは思いました。
まあ、多くの王子がいるからでしょう。
これが王太子が一人っ子だったり、弟が一人しかいなかったら、幽閉に止めたでしょうし、その分レイドス伯爵家への処分も、もう少し軽かったでしょう。

聖女エルティナは処刑を見れなかったようですが、半ば見世物化している公開処刑は、多くの貴族士族の前で行われました。
身体が八つ裂きにされるのがよくわかるように、裸に近い下着姿にされたレイドス伯爵とウルスラが、牛に四肢を括りつけられ、四肢を引き抜かれて処刑されます。
二人の前に、王太子が処刑されています。
苦しまないように、大量の酒を飲ませで酩酊したところを、苦しみの少ない毒を飲まされての処刑です。
後は私達三人の追加処分です。
国王の恨みを買っていて、密かに刺客を放たれてる可能性もあります。

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