「ざまぁ」「婚約破棄」短編集

克全

第3話

「誰が愚か者だ?!
私を愚弄するか、アルテシア!」

さて、これでヒロインのエルティナはどう動くでしょうか?
もし人間が動かしていたり、転生したゲーム好きが動かしていたら、これ幸いに王太子に救いを求めるかもしれません。
ゲーム好きなら特に、元の設定通りにやりたくなるでしょう。
私を悪役にしたてあげて、ハッピーエンドにしたいでしょう。

「お待ちください、ロビエル王太子殿下。
私はアルテシア様に虐められたわけではありません。
助けていただいたのです。
私を虐める令嬢達から庇ってくださったのです。
そのような嘘を殿下に吹き込んだのは、どこのどなたなのですか?!」

「嘘だと?
そのようなはずはない!
彼女はアルテシアと違って、正直で優しい令嬢だ」

「では殿下は私も嘘つきで残虐だと申されるのですね。
だったらもう近づかないでください。
私はやっと誇り高い貴族らしい方に出会えたのです。
この学園に来て初めて、高貴な心を持った方に出会えたのです。
そのような方を悪しざまに罵るような方に話しかけられたくありません!」

なんと、ヒロインのエルティナが私の味方をしてくれました。
これで転生説もゲーム説も可能性が低くなりました。
ならば、長年愛用したヒロインのエルティナを幸せにする事も考えたくなります。
悪役令嬢を愉しみつつ、ヒロインを幸せにする。
ゲームの設定は難しくなりますが、難しければ難しほど燃えるのがゲーマーです。

「おのれ、エルティナ。
せっかく庇ってやった私を愚弄するか!
やはり平民だ!
礼儀作法のなっていない無学でガサツな平民だな」

「なんて心の狭い小さな人間でしょう。
嘘つきで邪悪な女に鼻の下を伸ばして踊らされ、自分の間違いを指摘されたら、反省するどころか真実を確かめることもなく、自分の非をなかったことにする。
そのような方に国王になる資格があるとはとても思えませんわ。
今日の事を事細かに記して、父上と国王陛下に報告しなければいけません」

「おのれ、おのれ、おのれ!
私を廃嫡にしようと企むか?!
許さん!
断じて許さんぞ!
この場で斬り捨ててくれる!」

駄目ですね。
このような出来の悪すぎる王太子にエルティナを渡せません。
必ず不幸になります。
ここで殺してしまいましょうか?
それともじっくりと苦しめてあげましょうか?

ですが、その前に確かめなければいけない事があります。
王太子をけしかけた黒幕を知っておかなければ、今後の対処に困ります。
恐らくあの女でしょうが、証拠も証言もなしに殺すのはやり過ぎですからね。

「殿下!
殺す前に教えてください。
私がエルティナを虐めていると、誰が殿下に教えたのです。
それを聞かなければ、死んでも死に切れません!」

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