「ざまぁ」「婚約破棄」短編集

克全

第10話

「ソロモン皇国と生命神殿を頼られてはいかがでしょうか?
ソロモン皇国に朝貢をすると申し出れば、皇国に残る秘薬や魔道具を貸し与えてくれるかもしれません。
そのなかには、子供の親が分かる秘薬や魔道具があるかもしれません。
今迄マクリントッンナル王国は、生命神殿を認めていませんでした。
ですが生命神殿は、性と誕生を司る生命神を祭る神殿です。
親子を証明する魔道具があるかもしれません」

ソニー侍女頭の話は理解できますが、期待薄です。
朝貢や布教許可程度で、魔力の失われたこの世界で、超貴重な魔法薬や魔道具を貸与してくれるとは思えません。
ですが全く希望がないとも言えません。
恨みを晴らす事は最低限できるでしょう。

「正直に話しますが、ソニーもそれほど期待しているわけではないですね?」

レオナルド様がズバリと言われました。
確かにその通りですね。
私が考える程度の事は、世慣れたソニーなら先に考えているはずです。
その上で私達に話す以上、落としどころは考えているのでしょう。

「はい、レオナルド様。
レオナルド様の恨みを晴らし復讐するための兵力を、皇国と神殿に借りるのです。
レオナルド様は名目上の大将にされる可能性が高いです。
マクリントッンナル王国が属国として認められるか、一旦戴冠させてから退位を迫られるか、それとも最初から戴冠を認められないのかはわかりませんが、最低限の領地と爵位は保証されるでしょう。
現皇帝と重臣は、それくらいの温情を期待できる政策をされています」

驚きました。
この短い期間に、ソニーはどれだけの事を調べてくれたのでしょうか?
それとも、以前から調べていたのでしょうか?
でもそれはおかしいですね。
以前から疑って調べていたのなら、このような状況にはなっていないです。

「いつから調べていたんだい?」

レオナルド様も疑問に思われたようです。

「ジェミー様がアイラの人質になられた時からです。
あの時も、いざとなったらマクリントッンナル王家を裏切る覚悟をしていました。
全てはペンブルック侯爵コナー様の指示でございました。
コナー様が亡くなられて、資金的にも人材的に限られたモノになりましたが、それでもいざという時には諸外国を頼って援軍を呼ぶことも、亡命して捲土重来を図ることも視野に入れておりました」

コナー伯父上。
そうです、コナー伯父上です。
ソニーは、コナー伯父上が私のために自分の家臣から選んで派遣してくれた、信用信頼できる者です。
ソニーがコナー伯父上の側にいたら、コナー伯父上は殺されなかったかもしれないのです。
ありがとうございます、コナー伯父上。

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