「ざまぁ」「婚約破棄」短編集
第1話
「国王陛下の麗しき御尊顔を拝し奉り、わたくしめ恐悦至極に存じ奉りまする」
「ああ、やめよ。
今日はそのような言葉を聞いている時間が惜しい。
そちにはやってもらわねばならぬことがある」
「はい、何事も陛下の思し召し通りに」
「そうか、それはよかった。
では王太子とスカーレットの婚約は破棄してもらう。
そのうえで奈落の魔獣に輿入れしてもらう」
国王陛下は何を言っておられるのでしょうか?
王太子殿下との婚約破棄は望むところですが、魔獣に輿入れ?
それは言葉を飾っているだけで、魔獣の生贄として奈落の奥深くに落とすという事ではありませんか?
「え~と、なぜでございましょうか?
王家に仕える有力貴族の力関係を壊さないために、我が娘スカーレットとの婚約を望まれたのは、国王陛下ご自身ではあられませんか?
しかも魔獣に輿入れとは、いったい何事が起きたのですか?」
憶病な父上にしては珍しく王命に抗しています。
少しは私の事を愛してくれていたのかもしれません。
「不服か?
先ほど何事も余の思し召し通りといったのは嘘か?」
「いえ、そうではございません。
単に婚約破棄というのでしたら、何も聞かずにお受けいたしました。
しかし娘に死刑同然の王命を賜るとなると、原因くらいはお聞かせいただきたいと思うのが、愚かな親の心でございます」
「はん!
全てはスカーレットの責任じゃ。
スカーレットが婚約者である王太子の望みを拒否したから、王太子はイヴリンに手をだしてしまったのだ。
しかもイヴリンは妊娠してしまった。
王太子が責任を取らねば、カーゾン辺境伯の面目は丸つぶれだ!
カーゾン辺境伯は、イヴリンを王太子妃にしなければ、我が国から離反してソモンド王国に臣従すると申しておるのだ!
貴族の力関係を壊さぬために婚約者に選ばれたにもかかわらず、貴族の力関係を壊す原因を作りよって!
責任をとって死ぬのは当然であろう!」
なんて身勝手な言い分でしょう!
王太子がイヴリンだけでなく、多くの貴族令嬢や夫人に手を出しているのは周知の事実ではありませんか。
いつか誰かが妊娠することは、みな予測していたことです。
私が責任を取らされなければいけない事ではありません。
「それはまことに申し訳ありません。
しかしながら教会から婚前交渉は厳しく禁じられております。
有力貴族の方々なら黙殺できるでしょうが、我が家では逆らえないのです。
どうかお慈悲をもちまして、魔獣への輿入れだけはご勘弁願います」
憶病な父上が、重ねて王命に逆らって私の助命を願い出てくれました。
私は父上を見損なっていたのかもしれません。
申し訳ありませんでした、父上。
そしてありがとうございます。
「ふん、相変わらず欲深いの、パーカー。
いったい何が望みだ?」
「ああ、やめよ。
今日はそのような言葉を聞いている時間が惜しい。
そちにはやってもらわねばならぬことがある」
「はい、何事も陛下の思し召し通りに」
「そうか、それはよかった。
では王太子とスカーレットの婚約は破棄してもらう。
そのうえで奈落の魔獣に輿入れしてもらう」
国王陛下は何を言っておられるのでしょうか?
王太子殿下との婚約破棄は望むところですが、魔獣に輿入れ?
それは言葉を飾っているだけで、魔獣の生贄として奈落の奥深くに落とすという事ではありませんか?
「え~と、なぜでございましょうか?
王家に仕える有力貴族の力関係を壊さないために、我が娘スカーレットとの婚約を望まれたのは、国王陛下ご自身ではあられませんか?
しかも魔獣に輿入れとは、いったい何事が起きたのですか?」
憶病な父上にしては珍しく王命に抗しています。
少しは私の事を愛してくれていたのかもしれません。
「不服か?
先ほど何事も余の思し召し通りといったのは嘘か?」
「いえ、そうではございません。
単に婚約破棄というのでしたら、何も聞かずにお受けいたしました。
しかし娘に死刑同然の王命を賜るとなると、原因くらいはお聞かせいただきたいと思うのが、愚かな親の心でございます」
「はん!
全てはスカーレットの責任じゃ。
スカーレットが婚約者である王太子の望みを拒否したから、王太子はイヴリンに手をだしてしまったのだ。
しかもイヴリンは妊娠してしまった。
王太子が責任を取らねば、カーゾン辺境伯の面目は丸つぶれだ!
カーゾン辺境伯は、イヴリンを王太子妃にしなければ、我が国から離反してソモンド王国に臣従すると申しておるのだ!
貴族の力関係を壊さぬために婚約者に選ばれたにもかかわらず、貴族の力関係を壊す原因を作りよって!
責任をとって死ぬのは当然であろう!」
なんて身勝手な言い分でしょう!
王太子がイヴリンだけでなく、多くの貴族令嬢や夫人に手を出しているのは周知の事実ではありませんか。
いつか誰かが妊娠することは、みな予測していたことです。
私が責任を取らされなければいけない事ではありません。
「それはまことに申し訳ありません。
しかしながら教会から婚前交渉は厳しく禁じられております。
有力貴族の方々なら黙殺できるでしょうが、我が家では逆らえないのです。
どうかお慈悲をもちまして、魔獣への輿入れだけはご勘弁願います」
憶病な父上が、重ねて王命に逆らって私の助命を願い出てくれました。
私は父上を見損なっていたのかもしれません。
申し訳ありませんでした、父上。
そしてありがとうございます。
「ふん、相変わらず欲深いの、パーカー。
いったい何が望みだ?」
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