「ざまぁ」「婚約破棄」短編集
第1話
「皆に聞いてもらいたいことがある。
他でもない、コーンウォリス公爵家のルイーザ嬢との婚約の件だ。
皆も聞き及んでいるだろうが、ルイーザ嬢が恥知らずにも不貞を働いた。
最初は余もそんな噂は信じなかった。
王家の藩屏であり、縁戚でもあるコーンウォリス公爵家の令嬢が、事もあろうに馬丁や庭師などと、毎夜乱交をしてると聞いても信じられるはずがないであろう?
だが哀しいことだが、それが真実であったのだ!
王家の密偵が確たる証拠を集めてきた。
これが密偵が集めてきた密会を約束した手紙の数々だ」
王太子がわたくしの筆跡を真似た手紙の数々を見せますが、全くの濡れ衣です
王太子と愛人のロビンソン辺境伯家令嬢ディアンナの仕組んだ罠です。
王太子は、父のコーンウォリス公爵と有力派閥貴族をドラモンド王家との交渉に国外に追いやり、その隙に私に濡れ衣をきせて人質とし、コーンウォリス公爵家を攻め潰す心算なのでしょう。
絶対にそんな事にはさせません。
人質にされるくらいなら、この場で自害します。
でもその前に、反論しなければなりません。
「いいえ、濡れ衣です。
全てコーンウォリス公爵を潰すために仕組まれた罠です。
恥知らずな王太子とロビンソン辺境伯爵が謀った事です。
そのような悪巧みに迎合するなど、貴族として恥ずべき事です。
わたくしは皆様が貴族の誇りを忘れない事を望みます」
わたくしは必死で訴えました。
これだけ多くの貴族が集っているのです。
中には誇り高い方もおられると期待していました。
父上や父上に友人しか親しく接した事がありませんでしたから、他の方々も同じように誇り高いと勘違いしていました。
ですが、それは大きな間違いでした。
恥知らずなのは、王太子とその取り巻きだけではなかったのです。
ほとんどの貴族が、恥知らずだったのです。
王太子の取り巻きが、ニタニタを嫌らしい笑みを浮かべるのは予想していました。
ですが、この会場に集った多くの貴族が、そろって同じように嫌らしい笑みを浮かべるとは想像もしていませんでした。
わたくしは、わずかに面識のある貴族の顔を眼にしました。
恥じるような、情けないような表情を一瞬浮かべていたからです。
よく見れば、嫌らしい笑いを浮かべる貴族の中にあって、仮面のように表情の無い方々もおられます。
この表情が、下劣な権力者の中にあって、家を守るために必要な仮面なのですね。
そう考えれば、王や王族が下劣な中で家を護り発展させようと思えば、嫌らしい笑みという仮面も必要なのかも知れません。
ですが、わたくしは嫌です。
そんな仮面をかぶるくらいならば、正々堂々戦います。
父上も御友人の方々も、同じ思いで王太子と敵対していたのでしょう。
ここでわたくしが心折れる訳には参りません!
他でもない、コーンウォリス公爵家のルイーザ嬢との婚約の件だ。
皆も聞き及んでいるだろうが、ルイーザ嬢が恥知らずにも不貞を働いた。
最初は余もそんな噂は信じなかった。
王家の藩屏であり、縁戚でもあるコーンウォリス公爵家の令嬢が、事もあろうに馬丁や庭師などと、毎夜乱交をしてると聞いても信じられるはずがないであろう?
だが哀しいことだが、それが真実であったのだ!
王家の密偵が確たる証拠を集めてきた。
これが密偵が集めてきた密会を約束した手紙の数々だ」
王太子がわたくしの筆跡を真似た手紙の数々を見せますが、全くの濡れ衣です
王太子と愛人のロビンソン辺境伯家令嬢ディアンナの仕組んだ罠です。
王太子は、父のコーンウォリス公爵と有力派閥貴族をドラモンド王家との交渉に国外に追いやり、その隙に私に濡れ衣をきせて人質とし、コーンウォリス公爵家を攻め潰す心算なのでしょう。
絶対にそんな事にはさせません。
人質にされるくらいなら、この場で自害します。
でもその前に、反論しなければなりません。
「いいえ、濡れ衣です。
全てコーンウォリス公爵を潰すために仕組まれた罠です。
恥知らずな王太子とロビンソン辺境伯爵が謀った事です。
そのような悪巧みに迎合するなど、貴族として恥ずべき事です。
わたくしは皆様が貴族の誇りを忘れない事を望みます」
わたくしは必死で訴えました。
これだけ多くの貴族が集っているのです。
中には誇り高い方もおられると期待していました。
父上や父上に友人しか親しく接した事がありませんでしたから、他の方々も同じように誇り高いと勘違いしていました。
ですが、それは大きな間違いでした。
恥知らずなのは、王太子とその取り巻きだけではなかったのです。
ほとんどの貴族が、恥知らずだったのです。
王太子の取り巻きが、ニタニタを嫌らしい笑みを浮かべるのは予想していました。
ですが、この会場に集った多くの貴族が、そろって同じように嫌らしい笑みを浮かべるとは想像もしていませんでした。
わたくしは、わずかに面識のある貴族の顔を眼にしました。
恥じるような、情けないような表情を一瞬浮かべていたからです。
よく見れば、嫌らしい笑いを浮かべる貴族の中にあって、仮面のように表情の無い方々もおられます。
この表情が、下劣な権力者の中にあって、家を守るために必要な仮面なのですね。
そう考えれば、王や王族が下劣な中で家を護り発展させようと思えば、嫌らしい笑みという仮面も必要なのかも知れません。
ですが、わたくしは嫌です。
そんな仮面をかぶるくらいならば、正々堂々戦います。
父上も御友人の方々も、同じ思いで王太子と敵対していたのでしょう。
ここでわたくしが心折れる訳には参りません!
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