「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第14話
「アレキサンダー皇太子殿下。
いくらなんでも酷過ぎます。
ちょっと愛妾の事を諌言したからといって、娘を殺すなんて!
それでは皇帝陛下になるべき徳がないですぞ!」
ああ、駄目です。
こいつは馬鹿です。
私を罵ることが、皇太子殿下の逆鱗に触れう事だと、全く理解していません。
既に王宮や王城では、表立って私の悪口は言うなと、侍女や侍従の間で広まっている事を、全く知らないようです。
皇太子殿下がすっくと椅子から立たれました。
私は思わず隣の椅子から立とうとしましたが、理性がそれをとどめました。
殿下はまだ我慢されています。
完全に理性を失っていたら、座ったまま魔術を放たれていたでしょう。
可哀想ですが、ここは見せしめになってもらいましょう。
某侯爵は呆然となっています。
それはそうでしょう。
憤怒の表情を浮かべた皇太子殿下が近づいてくるのです。
実力も覚悟も全く違うのです。
蛇に睨まれた蛙の状態ですね。
私の悪口を言い、皇太子殿下に取り入ろうとして殺された侍女は、某侯爵の実の娘でした。
某侯爵自慢の娘でしたが、それは容姿だけの事です。
性格はとてもほめられたものではありません。
いえ、権謀術数の渦巻く皇宮では、それくらいの性格の方がいいのかもしれませんが、皇太子殿下の好みからはかけ離れ過ぎています。
「キャアアアア!」
謁見の間に詰めていた侍女が悲鳴をあげて倒れました。
あまりの衝撃的だったのでしょう。
予測していた私でも、胸にこたえるモノがありましたから。
私の予想通り、某侯爵の首が刎ねられました。
一切の警告も怒りの言葉もなく、黙って一刀のもとに切り捨てられました。
「娘を使って余を誑かし、この国の実権を握ろうとした罪、許し難し。
事が露見して娘が断罪されたにもかかわらず、詫びを入れるどころか文句を言うなど、不遜の極みである。
よってこの場で首を刎ねた。
早々にこの穢れた塵をうち捨てよ。
屋敷に届けることあいならん。
皇宮の塵捨て場に捨ててまいれ!」
あまりのやり方に、お諫めしようかとも思いましたが、今の私では何を言っても王侯貴族に憎まれるだけです。
それよりは、皇太子殿下に唯々諾々と従う姿を見せた方がいいですね。
私が暴君に仕方なく従っていると思ってもらえればラッキーです。
まあ、とても無理ですね。
どう考えても、王侯貴族は私がやらせていると思うでしょう。
仕方ありません。
王侯貴族を味方に付けられないのなら、せめて士族です。
士族だけでも味方に付けましょう。
どこまでやれるかは分かりませんが、抜擢人事が必要です。
いくらなんでも酷過ぎます。
ちょっと愛妾の事を諌言したからといって、娘を殺すなんて!
それでは皇帝陛下になるべき徳がないですぞ!」
ああ、駄目です。
こいつは馬鹿です。
私を罵ることが、皇太子殿下の逆鱗に触れう事だと、全く理解していません。
既に王宮や王城では、表立って私の悪口は言うなと、侍女や侍従の間で広まっている事を、全く知らないようです。
皇太子殿下がすっくと椅子から立たれました。
私は思わず隣の椅子から立とうとしましたが、理性がそれをとどめました。
殿下はまだ我慢されています。
完全に理性を失っていたら、座ったまま魔術を放たれていたでしょう。
可哀想ですが、ここは見せしめになってもらいましょう。
某侯爵は呆然となっています。
それはそうでしょう。
憤怒の表情を浮かべた皇太子殿下が近づいてくるのです。
実力も覚悟も全く違うのです。
蛇に睨まれた蛙の状態ですね。
私の悪口を言い、皇太子殿下に取り入ろうとして殺された侍女は、某侯爵の実の娘でした。
某侯爵自慢の娘でしたが、それは容姿だけの事です。
性格はとてもほめられたものではありません。
いえ、権謀術数の渦巻く皇宮では、それくらいの性格の方がいいのかもしれませんが、皇太子殿下の好みからはかけ離れ過ぎています。
「キャアアアア!」
謁見の間に詰めていた侍女が悲鳴をあげて倒れました。
あまりの衝撃的だったのでしょう。
予測していた私でも、胸にこたえるモノがありましたから。
私の予想通り、某侯爵の首が刎ねられました。
一切の警告も怒りの言葉もなく、黙って一刀のもとに切り捨てられました。
「娘を使って余を誑かし、この国の実権を握ろうとした罪、許し難し。
事が露見して娘が断罪されたにもかかわらず、詫びを入れるどころか文句を言うなど、不遜の極みである。
よってこの場で首を刎ねた。
早々にこの穢れた塵をうち捨てよ。
屋敷に届けることあいならん。
皇宮の塵捨て場に捨ててまいれ!」
あまりのやり方に、お諫めしようかとも思いましたが、今の私では何を言っても王侯貴族に憎まれるだけです。
それよりは、皇太子殿下に唯々諾々と従う姿を見せた方がいいですね。
私が暴君に仕方なく従っていると思ってもらえればラッキーです。
まあ、とても無理ですね。
どう考えても、王侯貴族は私がやらせていると思うでしょう。
仕方ありません。
王侯貴族を味方に付けられないのなら、せめて士族です。
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