「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集
第1話
「よく来てくれた、勇者たちよ!
我が国の危機に駆けつけてくれたこと、心から礼を言う。
この通りだ」
胡散臭い宰相だ!
愚かな連中は騙されているが、世慣れた連中は半信半疑で聞いている。
中には金さえもらえればいいと割り切っているモノもいる。
まあ私もそれに近い。
教会からの命令だから仕方なく来ただけだ。
「魔王の手先なのか、とても醜い魔人がノア王子を狙っている。
君たちに頼みたいのは、醜い魔人を退治することだ。
魔人を退治してくれた者には銀貨百枚を与えよう」
なんてケチな宰相だ!
王子を狙う魔人を退治してたった銀貨百枚だと?
集まってくれた冒険者に日当保障の話もしない。
これでは魔人退治は無理だな。
私もやる気がなくなった。
任務放棄を表向きの理由に、実際には教会内の醜い派閥争いが原因で追い出されることになっても構わない。
追い出されたら冒険者にでもなればいいさ。
「よう、あんたエマさんかい?」
「あんたはジェームズさんかい?」
「うれしいねぇ。
俺の顔を知ってくれていたのかい?」
「悪いが顔は知らない。
ただ一番強そうに見えたからね。
アスキス王国で一番強いのはジェームズという戦士だと聞いていただけさ。
あんたこそなんで私の顔と名前を知っているんだい?」
「そりゃあ冒険者の世界で生きていたら、絶世の美人で大陸有数の神官戦士、エマさんの名前を知らない奴はいないさ。
これからどこでまた会うか分からないから、お見知りおき願いたいね」
「ジェームズさんも今回の件を見捨てることにしたのかい?
いや、ジェームズさんならこの国の情勢も宰相の性格も先刻承知だろう。
時間の無駄になるのが分かっていて、よくここに来たね」
「ちょっと知りたいことがあってね。
宰相が口を滑らせることはないと思ったんだが、使用人あたりから情報が得られないかと思ってね」
「ほう?
ジェームズさんほどの古強者が手に入れたい情報となると気になるね。
お礼を払うから教えてもらえないかい?」
「この国の人間。
いや、この国の未来を憂う人間以外には不要な情報だよ。
エマさんはもうこの国を見切って教会に帰るんだろう?
だったら無駄金を使う事もないさ」
「俺は帰らせてもらうぞ!
こんなケチな国で命を懸けて戦えるか!」
私がジェームズさんと内緒話をしている間に、宰相と冒険者が条件を話し合っていたようだが、予想通り決裂したようだ。
「分かった、分かった。
では銀貨百枚以外に日当を払おうではないか。
一日銀貨二枚払おうではないか!」
馬鹿にするのもほどがある。
銀貨二枚では大工の日当より少し多いだけではないか!
しかもあの顔は嘘をついている!
口先だけの約束で、守る気のない嘘だ!
このような不正義は黙っていられない!
我が国の危機に駆けつけてくれたこと、心から礼を言う。
この通りだ」
胡散臭い宰相だ!
愚かな連中は騙されているが、世慣れた連中は半信半疑で聞いている。
中には金さえもらえればいいと割り切っているモノもいる。
まあ私もそれに近い。
教会からの命令だから仕方なく来ただけだ。
「魔王の手先なのか、とても醜い魔人がノア王子を狙っている。
君たちに頼みたいのは、醜い魔人を退治することだ。
魔人を退治してくれた者には銀貨百枚を与えよう」
なんてケチな宰相だ!
王子を狙う魔人を退治してたった銀貨百枚だと?
集まってくれた冒険者に日当保障の話もしない。
これでは魔人退治は無理だな。
私もやる気がなくなった。
任務放棄を表向きの理由に、実際には教会内の醜い派閥争いが原因で追い出されることになっても構わない。
追い出されたら冒険者にでもなればいいさ。
「よう、あんたエマさんかい?」
「あんたはジェームズさんかい?」
「うれしいねぇ。
俺の顔を知ってくれていたのかい?」
「悪いが顔は知らない。
ただ一番強そうに見えたからね。
アスキス王国で一番強いのはジェームズという戦士だと聞いていただけさ。
あんたこそなんで私の顔と名前を知っているんだい?」
「そりゃあ冒険者の世界で生きていたら、絶世の美人で大陸有数の神官戦士、エマさんの名前を知らない奴はいないさ。
これからどこでまた会うか分からないから、お見知りおき願いたいね」
「ジェームズさんも今回の件を見捨てることにしたのかい?
いや、ジェームズさんならこの国の情勢も宰相の性格も先刻承知だろう。
時間の無駄になるのが分かっていて、よくここに来たね」
「ちょっと知りたいことがあってね。
宰相が口を滑らせることはないと思ったんだが、使用人あたりから情報が得られないかと思ってね」
「ほう?
ジェームズさんほどの古強者が手に入れたい情報となると気になるね。
お礼を払うから教えてもらえないかい?」
「この国の人間。
いや、この国の未来を憂う人間以外には不要な情報だよ。
エマさんはもうこの国を見切って教会に帰るんだろう?
だったら無駄金を使う事もないさ」
「俺は帰らせてもらうぞ!
こんなケチな国で命を懸けて戦えるか!」
私がジェームズさんと内緒話をしている間に、宰相と冒険者が条件を話し合っていたようだが、予想通り決裂したようだ。
「分かった、分かった。
では銀貨百枚以外に日当を払おうではないか。
一日銀貨二枚払おうではないか!」
馬鹿にするのもほどがある。
銀貨二枚では大工の日当より少し多いだけではないか!
しかもあの顔は嘘をついている!
口先だけの約束で、守る気のない嘘だ!
このような不正義は黙っていられない!
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