「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第25話

私たちは合同結婚披露宴を開催しました。
エドアルド様と私の結婚披露と、マルセル様とレベッカの結婚披露です。
これから色々と大変なので、披露宴は開かないことも提案されたのですが、私とレベッカの身体には、尋常ではない力を宿した御子がおられるので、魔王退治の報告と同時に知らせるべきべきだという意見が主流をしめたのです。

それに他国に対する牽制もあります。
私たちが手に入れたオートヴィル王国は、国民の大半が魔王魔族の生贄に殺されたとはいえ、領地には価値があります。
土地を分けてもらえない農家の次男三男を、生贄にされた農民の代わりに入植させることができます。
王都や大領都の貧民街で食うや食わずの生活をしている、貧民や難民を入植させる事もできるのです。

実際には何の血も汗も流していない国が、横取りしようとするかもしれないので、戦勝記念パーティーを兼ねた合同結婚披露宴が必要だったのです。
神の御子を二人も宿している事を広める必要があったのです。
マルセル様とレベッカを、王族も貴族も平民も死に絶えたオートヴィル王国に派遣し、占領することを宣言する場が必要だったのです。

既に先遣隊が派遣されています。
マッティーア王と魔王を滅ぼしたその日に、先遣隊を派遣しているのです。
先遣隊に続いて、王都の難民と貧民が入植に送られました。
護衛として王家直臣の騎士と徒士が付き添っています。
王家直轄領の農家にも、継ぐ土地のない次男三男を集めて入植団を編成し、派遣する命令をくだしています。

全貴族領に住む難民貧民が、諸侯軍に護られて入植のためにオートヴィル王国に向かっています。
全貴族領でも、継ぐ土地のない次男三男を集めて入植団を編成し、派遣する準備を進めています。
旧オートヴィル王国領は、マネル王国の属国属領になるのです。

マネル王国の重臣のなかには、エドアルド様とマルセル様の諍いを心配する者もいましたが、そんな心配はいりません。
私はレベッカと視線を合わせて自然と微笑んでしまいました。
義理とはいえ姉妹となれたことを、私たちは心底よろこんでるのです。
将来はさらに絆が強くなるのです。

私には自分の身体に宿った御子が男の子なのが分かります。
レベッカは自分の身体に宿った御子が女の子なのが分かるそうです。
こんな都合のいい事が偶然起こるはずがありません。
神々の意思が働いていると考えるべきでしょう。
ならば単純な事です。
エドアルド様と私の御子と、マルセル様とレベッカの御子が結婚すれば、何の問題もないのです。
私たち四人は自然と視線はあわせました。
心から大笑いしてしまいました。

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