「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集

克全

第22話

四人になって、前回のエドアルド様と四人で戦った時と全く違いました。
エドアルド様と私が助け合い、マルセル様とレベッカが助け合います。
そして二つの組が助け合います。
助け合って休めるので、魔力の回復も消費量を上回る時があります。
祈願力の回復が特に顕著で、神様や精霊様、神獣に祈る時間を助け合って確保することで、長時間戦うことができるようになりました。

「おのれ、おのれ、おのれ!
お前たちのせいだ、お前たちのせいだ、全部お前たちが悪いんだ!」

マッティーア王が錯乱しています。
周りを固めているのは死霊でしょうか?
明らかに死んでいる騎士と徒士が、鈍い動きで向かってきます。
なかには骨だけのモノもいます。
スケルトンと呼ばれる死霊でしょうか?

「気持ち悪いだろうが、我慢して後ろから攻撃してくれ。
直接戦うのは私とマルセルに任せなさい」

「はい、はい、任されました。
僕も汚いのや見苦しのは苦手だけど、女性にやらせるほど柔弱ではないよ。
後ろから聖の魔法か火炎魔法を援護してよ」

エドアルド様とマルセル様が私達を背中にかばってくださいます。
騎士の道を選ぶほど男勝りのレベッカが、マルセル様の言葉に素直に従って、後衛から聖なる攻撃や魔法攻撃をしています。
私も同じです。
死霊ごときに、エドアルド様に指一本触れさせません!

不謹慎な話ですが、心が高揚します。
前回はレベッカが人質に取られていたので、助け出すのに必死で、こんな気分になる事などできませんでした。
でも今は、エドアルド様と助け合って戦えることに喜びを感じています。
レベッカと肩を並べて、愛する人を支援できることに無上の喜びを感じています。
レベッカがマルセル様の事を愛して、結婚してくれたなら、レベッカと私は義理とはいえ姉妹になれるのです。

「マルセル様。
戦い続けるには、魔力と祈願力の回復が大切です。
私たちが前に出ます。
大丈夫ですよね、パオラ様」

レベッカが、信じていますと、自信に満ちた視線を向けてくれます。
はい、任せてください!
私も死霊などに怯えるような、柔弱の徒ではありません。
汚いとこか怖いとか、そんな弱気な事を口にするようでは、エドアルド様と一緒に魔王魔族と戦っていくことなど不可能です。
夫唱婦随です!
共に白髪のはえるまで、一緒に暮らすのです。

「はい、任せてください。
祈願力は回復しました。
魔力が回復するまでは、祈願力を剣に乗せて死霊を滅します。
その間にエドアルド様とマルセル様は祈願力を回復させてください」

前衛に出る時は、後衛の時に回復させた祈願力で死霊を滅します。
その間に魔力が自然回復してくれれば幸いです。
後衛に下がった時は、魔力で死霊を焼き滅ぼします。
後衛の間に神様や精霊様に祈って、祈願力を回復させてもらうのです。

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