「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第19話

「単刀直入に話をする。
私かティグラン叔父を婿に迎えて欲しい。
それが一番国を安定させると王家は結論をだした」

本当に単刀直入ですね。
私を恐れているのでしょうか?
まあ、確かに、王家に対して思うところはあります。
今直ぐ兵を挙げようとは思いませんが、対応次第では戦いも辞さない覚悟です。
この話も、あまりに私を舐めているようなら、覚悟を決めなければいけません。

「では私をも担当直入にお聞きします。
この話は、私を舐めているのですか?
一度結婚に失敗している私なら、余りモノの王子や王弟を押し付けるのに丁度いいと考えているのですか?!」

「そうじゃない、そうじゃないんだ!
ファティマ嬢の先の結婚は、白の結婚だったと王家は認めている。
フセインによる謀略で、何もなかったと認めている。
全てをぶっちゃけて話せば、王家王国はファティマ嬢を恐れているのだよ。
同時に、フセインが死んだ今、王家王国を立て直すチャンスだとも考えている。
だがそのためには、モントローズ公爵家の当主で、ハミルトン公爵家とロクスバラ侯爵家を併合した、ファティマ嬢を懐柔しなければいけない。
ファティマ嬢が王家王国に牙をむくことだけは防ぎたい。
できれば味方になってもらいたい。
だから王族を、婿という体裁で人質にだすことにしたのだよ。
さすがに王太子を人質に出すわけにはいかないから、第二王子の私が選ばれた。
だがファティマ嬢にも選ぶ権利があるから、独身のティグラン叔父も連れてきた。
もしファティマ嬢が望むなら、独身の王族全てを集めてもいい。
どうだろうか?」

毒気を抜かれてしまいました。
英断というべきか情けないというべきか。
なんとも表現しようのない話です。
困ったものです。
まあ、でも、王家王国も色々考えているのは分かりました。

問題は、婿候補が刺客である可能性ですね。
今のモントローズ公爵家は、私が死んでしまうと雲散霧消してしまいます。
王家王国がその事に気がついていないはずがありません。
私を殺して、広大な領地を直轄領にできれば、王家は絶大な力を手に入れることができます。
それこそ王家王国を立て直す絶好の機会です。

だがまあいいです。
向こうが人質だと言ってのですから、人質として扱えばいいのです。
形だけの夫にして、今はいませんが、好きになった男性を愛人に迎え、愛人の子供を生めばいいことです。

「分かりました。
イライアス王子を婿に迎えましょう。
ですがイライアス王子が刺客の可能性もあります。
表向きは婿ですが、実際の待遇は人質となります」
それでもいいですか?」

「ああ、それで構わない。
王家王国を保ち、民に安寧な生活を与えられるのなら、どのような条件であろうと受け入れる」

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