「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第18話

結果として、ロクスバラ城は壊滅しました。
降伏は認めませんでした。
ロクスバラ侯爵家の一族一門は皆殺しにしなければいけません。
蓄えられた金銀財宝や魔道具は、破壊するには惜しいです。
特に知識や技術が失われてしまうのは惜しいです。
ですが万が一の事があります。
今の私に人材を失う余裕などないのです。

私は家臣たちに魔術巻物による攻撃をさせました。
徹底的に破壊しました。
私一人の判断ではなく、武官家臣の意見も聞きました。
当然ヨウナスの意見も聞いています。
全員の意見が統一されてから攻撃を止めロクスバラ城跡の戦場荒らしをしました。

美術品や家具調度は徹底的に破壊されています。
宝石類は木っ端みじんになってしまっています。
金銀などの貴金属だけが、溶けた状態で回収できたくらいです。
いえ、恐ろしく頑丈な魔道具があったのです。
呪いがかかっていないか、複数の家臣に調べさせた上で、その魔道具を回収し魔法袋に保管しました。

生存者は一人もいませんでした。
魔法でも目視でも確認しから地上に降りたのですから、当然ではあります。
ですが魔法索敵をかいくぐる相手がいる可能性もあるのです。
慎重の上にも慎重を重ねないといけません。

「仮小屋を建てて政務を始めます。
皆励むように」

「「「「「はい」」」」」

ロクスバラ侯爵家を滅ぼしたら、旧ロクスバラ領を占領しなければいけません。
併合して統治しなければいけません。
他の貴族、特に王家に奪われるなんて事があってはならないのです。
それほど忙しくても、睡眠時間を削っても、今やらないといけないのです。

ですが問題もあります。
私の安全をどう確保するかが、とても大切なんです。
旧ロクスバラ領の占領併合にこだわって、私が殺されてしまったら、無意味です。
ですから急いで仮小屋を建ててもらいました。
防御に関しては、魔術巻物を数十使って確保しました。

まあ、中央さえ固めれば、後は旧ハミルトン公爵領と同じです。
地方の在地領主や村長、それに代官は生き残っているのです。
私の力を見せつけて、生き残った者たちの本領安堵を認めれば、反乱を起こす者はいなくなると思います。
実際旧ハミルトン公爵領では誰一人反乱を起こしませんでした。
ですが、私がロクスバラ侯爵家を滅ぼし、領地をの統治を進めて二十日後、王家から特使がやってきたのです。
これはいよいよ王家と直接対決する時が来たのかもしれません。

「やあ、急に来てしまってすまないね。
王家としても今回の事態は見逃せなくても。
私が今回の特使に選ばれた第二王子のイライアスだ。
隣にいるのが副使の第八王弟のティグランだ」

王子に王弟ですが。
豪華なメンバーですね。
王家はいったいどういう思惑なのでしょうか?

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