「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第8話

「ご隠居!
実の父親であろうと、王家に対する謀叛は見逃せません!
家臣領民を護るためです。
死んで責任をとっていただきます!」

「止めろ!
止めるんだ、ファティマ!
私はお前の父親だぞ!
モントローズ公爵だぞ!
それを殺すというのか?!
助けろ!
私を助けるのだ!」

「黙れ謀叛人の不忠者!
己一人の不忠謀叛に家臣を巻き込むな!
小汚い卑怯で恥知らずな謀叛は、お前ひとりがロクスバラ侯爵家とハミルトン公爵家が手を組んだことで、私も家臣領民も関係ない!
この場で死んで責任をとれ!」

私は大声で威嚇することで、父に加担しようとする家臣の足を止めました。
事情と今後の予測を伝える事で、家臣が馬鹿な行動をとらないように止めました。
禍根を残さないように、家臣が忠誠心との板挟みで道を誤らないように、早々に父親を殺しました。

実の父親を自らの手で殺す事に躊躇いはありました。
胸に大きな痛みが生み出されました。
恨みも腹立たしさもありますが、同時に母上が健在だった幼い頃の、幸せな想い出もあるのです。
それを押し殺しても、当主としての責任は果たさないといけません。

「モントローズ公爵の家臣たちに繰り返し申し伝える。
父は王家に対する謀叛に加担していたのでこの手で殺した。
主犯の手先であるエイリンとヌライも殺した。
だがまだ主犯であるハミルトン公爵とロクスバラ侯爵はのうのうと生きている。
奴らを殺さねば、我がモントローズ公爵家は謀叛人の仲間だと思われてしまう!
加担していたのが父とエイリンとヌライだけでであることを王家に証明し、我らの安泰を確保するためには、ハミルトン公爵とロクスバラ侯爵を討たねばならぬ!」

「「「「「おう!」」」」」

「ハミルトン公爵家の家臣だった者に言ってきかす。
貴君らも今の話を見聞きしていたであろう?
だったら主君だったハミルトン公爵が王家に謀反を企んでいたことは理解したな?
ならば自分たちが生き残る道が一つしかない事も分かっているな?
貴君らが生き残る道はただ一つ!
自分たちの手でハミルトン公爵の首を獲ることだ!
ハミルトン公爵の首を討ち取り、王家に叛意がない事を証明することだ!
私に味方しろ!
私の家臣となれ!
私と共に戦うのなら、何があっても護ってやる!
ハミルトン公爵の首を討ち取った後で、王家が貴君らの引き渡しを要求しても、断固として拒否して護ってやる。
どれほどの褒美を積んで貴君らの命を要求されても、断固として拒否して王家から護ってやる!
私を信じついてこい!」

「「「「「おう!」」」」」


コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品