「ざまぁ」「婚約破棄」短編集4巻

克全

第3話

「雷撃」
などと声を出したりはしません。
声を出したりしたら、どんな魔法を使うか敵に悟られてしまいます。
それにこれは私の魔法ではありません。
学院内に隠されている魔道具を探して手に入れていたのです。
ララァが男と引っ付くようなシナリオはクリアさせていませんが、護身用の武器として使える魔道具が手に入るシナリオはクリアしているのです。

「何事だ!?」

「フラヴィア王女殿下。
御心配していただきありがとうございます。
不埒な事が起こってしまいました。
クリスティアン皇太子殿下に仕える護衛が、事もあろうにララァを皇太子殿下の寝所に連れ込もうとしたのです。
そこで仕方なく撃退したのです」

「なんですって?!
何と破廉恥で恥知らずな事でしょう!
相手が大陸一の強国の皇太子であろうと、このような事は許されません!
断固として抗議します!
ついてらっしゃい!」

「「「「「はい」」」」」

私とララァの部屋の隣には、イヴレーア王家のフラヴィア王女がおられるのです。
大陸中で剣豪王女と武名を轟かせている、武に特化したお方です。
彼女が激怒して抗議してくれるというのです。
フラヴィア王女の取り巻きもカンカンに怒っています。
私たちも便乗させてもらいました。

「そうか、すまん。
この通り詫びさせてもらう」

「皇太子殿下!
この程度の事で殿下が謝られる必要はありません!」

フラヴィア王女が気絶した護衛を引きずって男子寮に押し入り、厳重に抗議してくださいましたが、意外にも皇太子は素直に謝ってくれました。
あ、いえ、ゲームの設定でそういう性格でしたね。
でも残っているもう一人の護衛は駄目です。
襲い掛かってきた護衛と同じで傲岸不遜です。

「さすが礼儀知らずのウンルオッホ皇国だな。
女子寮に押し入って貴族令嬢を拉致しようとした上に、捕まっても謝る必要がないという。
大陸一の糞国家の評判は伊達ではないな!」

「おのれ!
たかが貧乏王国の王女風情が粋がりおって!
イヴレーア王国などいつでも攻め滅ぼせるのだぞ!」

面白くなってきたというのは不謹慎ですね。
このようなシナリオは知りません。
フラヴィア王女と皇太子の護衛の争いですむのか?
それとも戦争につながるような争いになるのか?
恋愛が主体の乙女ゲームですから、戦争にまでは発展しないとは思うのですが?

「聞き捨てなりませんね!
ここ大陸連合魔法学院内では学生の平等をうたっています。
それを付き添いの護衛が、国の威を借りて生徒を脅迫する。
いえ、それ以前にご実家から預かっている大切な女生徒を、拉致して乱暴しようとしましたね。
学院として正式にウンルオッホ皇国に抗議します」

あれあれあれ、学院内とウンルオッホ皇国の争いになるのでしょうか?

          

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