転生武田義信
第237話処断
1576年7月:薩摩一宇治城・本丸義信寝室:鷹司義信と正室・側室:義信視点
「殿下。義近の処分はどうなりました」
「緑殿。落ち着きなさいませ」
緑ちゃんが真っ青な顔で詰め寄って来る。
他の側室達が、緑ちゃんを押しとどめてくれる。
彼女達も、使える伝手を総動員して、義近の助命嘆願に奔走していた。
だが信玄が、女子供の意見を取り上げるはずもない。
俺もそうだが、信頼出来る家臣を監軍に派遣して、正しい情報を手に入れて、それによって政を決めている。
絶対にないとは信じているが、影衆や飛影の情報に私情が含まれないように、信玄と方信の監軍からも情報を貰っている。
日ノ本から遠く離れた天竺での行動を、自分の眼で直接確認する事など出来ない。
転生前の日本の小説や漫画のように、最高責任者が最前線の赴くなど有り得ない。
余程少領少数の大名ならともかく、武田諸王国程の大国になれば、王や王太子は本国でどっしり構えて、信頼出来る配下に最前線を任すものだ。
織田信長も、後世軍団長と呼ばれる武将達に、各方面を任せていた。
それが、一瞬の油断を突かれて、自分と後継者が本拠を出て同じ場所にいる所を急襲され、織田政権が滅ぶことになる。
俺はその歴史に学び、信玄と俺と方信は、常に別々の堅城に籠る方針をとっている。
今回のような、三者の意見をすり合わせる場合は、連絡網の未発達に苦しむことになるが、伝書鳩と旗振り通信を駆使する事で、何とか事前の話し合いをする事が出来る。
最終判断は、三者の重臣を中間地点である方信の小田原城に送り、間違いのないようにしている。
今回は弾正忠に全権を与えて送り、義近の処分を決めた。
その弾正忠から、決定が決まったと伝書鳩が送られて来た。
「義近の処分だが、何とか斬首や切腹は免れた」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。」
緑ちゃんは、頭を畳に擦り付けるように礼を言う。
だが、決して軽い処分ではない。
「だが、義近の性分では、これからも御政道を誤らせる可能性がある」
「……隠居押し込めでございますか」
「ただの隠居押し込めでは、王族としての影響力が残ってしまう」
「それは……王族の地位を剥奪すると言う事ですか」
「ああ、臣籍降下の処分だ」
「そんなぁ。それでは、名誉挽回の機会がありません」
「そもそも今回の天竺総大将が、名誉挽回の機会であったのだ。その事を忘れているのではないか」
「……はい。その通りでございます」
「ただ、家臣としての扶持は十万石与えられる」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。」
さて、今回の元凶の一人でもあるアミール・ビント・ヌーラ・アル=ミスナド殿だが、義近が娶る事は許されなかった。
だが、彼女が一族の為に、身体と命を賭けた事は、亡国の王女としては立派な事だと思う。
そして武田諸王国としても、一度滅んだ王家を取り込むことは、スペイン・ポルトガル・イギリスとの決戦を控える状況では、必要な事だった。
王族と婚姻させることは出来ないが、家臣と結婚させて、大名として復活させることになった。
これは他の五王国や、転生前の歴史で学んだ、インドの有力諸侯を藩王として遇したのに近い。
転生前にインドやイラン高原諸国やヒンドスタン平原諸国だった国は、俺の子供達に分割統治させる。
将来大国になって、日本に対抗出来るような国にはさせない。
分割した国は、武田諸王国の属国だ。
その属国に下に、諸部族の藩を置く。
諸部族の藩は、武田諸王国の下で平等とする。
ある程度の身分制度は仕方がないが、厳しいカースト制度にはさせない。
江戸時代のように、商売の才能があり、大金を得たら武士の身分を買えるようにする。
まあ、科挙と武挙の制度を設けているし、海軍自体が半武半商なので、幾らでも成り上がる機会はあるだろう。
「殿下。殿下」
「ああ、すまん。考え事をしていた。何だ」
「義近に与えられる領地はどこになるのでしょうか」
「取りあえずは、十万石分の扶持が与えられる」
「では、領地のない大名と言う事なのですか」
「まあ、領内の女に眼が眩み、政に悪影響を及ぼすかもしれないからな」
「では、屋敷はどこに与えて頂けるのですか。一宇治城下に与えて頂けるのでしょうか」
「厳罰を与えたから、俺の城下や、陛下や方信の城下に屋敷を構えることは許されない」
「そんなぁ。義近の謀叛を疑っておられるのですか」
「俺の性格は知っているだろう。天下泰平の為ならば、情け容赦はせん。万が一にも謀叛の疑いのある者を、城下に住まわせるわけにはいかん」
「では、私が義近の側に行っても宜しいでしょうか」
「それは構わないが、義近は十万石の大名として最前線で戦い、汚名を挽回することになるぞ」
「汚名挽回の機会を与えて頂けるのですか」
「王族に復帰する事は出来ないが、功名次第では、飯富家のように幕府を開くことを許されるかもしれん」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」
「殿下。義近の処分はどうなりました」
「緑殿。落ち着きなさいませ」
緑ちゃんが真っ青な顔で詰め寄って来る。
他の側室達が、緑ちゃんを押しとどめてくれる。
彼女達も、使える伝手を総動員して、義近の助命嘆願に奔走していた。
だが信玄が、女子供の意見を取り上げるはずもない。
俺もそうだが、信頼出来る家臣を監軍に派遣して、正しい情報を手に入れて、それによって政を決めている。
絶対にないとは信じているが、影衆や飛影の情報に私情が含まれないように、信玄と方信の監軍からも情報を貰っている。
日ノ本から遠く離れた天竺での行動を、自分の眼で直接確認する事など出来ない。
転生前の日本の小説や漫画のように、最高責任者が最前線の赴くなど有り得ない。
余程少領少数の大名ならともかく、武田諸王国程の大国になれば、王や王太子は本国でどっしり構えて、信頼出来る配下に最前線を任すものだ。
織田信長も、後世軍団長と呼ばれる武将達に、各方面を任せていた。
それが、一瞬の油断を突かれて、自分と後継者が本拠を出て同じ場所にいる所を急襲され、織田政権が滅ぶことになる。
俺はその歴史に学び、信玄と俺と方信は、常に別々の堅城に籠る方針をとっている。
今回のような、三者の意見をすり合わせる場合は、連絡網の未発達に苦しむことになるが、伝書鳩と旗振り通信を駆使する事で、何とか事前の話し合いをする事が出来る。
最終判断は、三者の重臣を中間地点である方信の小田原城に送り、間違いのないようにしている。
今回は弾正忠に全権を与えて送り、義近の処分を決めた。
その弾正忠から、決定が決まったと伝書鳩が送られて来た。
「義近の処分だが、何とか斬首や切腹は免れた」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。」
緑ちゃんは、頭を畳に擦り付けるように礼を言う。
だが、決して軽い処分ではない。
「だが、義近の性分では、これからも御政道を誤らせる可能性がある」
「……隠居押し込めでございますか」
「ただの隠居押し込めでは、王族としての影響力が残ってしまう」
「それは……王族の地位を剥奪すると言う事ですか」
「ああ、臣籍降下の処分だ」
「そんなぁ。それでは、名誉挽回の機会がありません」
「そもそも今回の天竺総大将が、名誉挽回の機会であったのだ。その事を忘れているのではないか」
「……はい。その通りでございます」
「ただ、家臣としての扶持は十万石与えられる」
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。」
さて、今回の元凶の一人でもあるアミール・ビント・ヌーラ・アル=ミスナド殿だが、義近が娶る事は許されなかった。
だが、彼女が一族の為に、身体と命を賭けた事は、亡国の王女としては立派な事だと思う。
そして武田諸王国としても、一度滅んだ王家を取り込むことは、スペイン・ポルトガル・イギリスとの決戦を控える状況では、必要な事だった。
王族と婚姻させることは出来ないが、家臣と結婚させて、大名として復活させることになった。
これは他の五王国や、転生前の歴史で学んだ、インドの有力諸侯を藩王として遇したのに近い。
転生前にインドやイラン高原諸国やヒンドスタン平原諸国だった国は、俺の子供達に分割統治させる。
将来大国になって、日本に対抗出来るような国にはさせない。
分割した国は、武田諸王国の属国だ。
その属国に下に、諸部族の藩を置く。
諸部族の藩は、武田諸王国の下で平等とする。
ある程度の身分制度は仕方がないが、厳しいカースト制度にはさせない。
江戸時代のように、商売の才能があり、大金を得たら武士の身分を買えるようにする。
まあ、科挙と武挙の制度を設けているし、海軍自体が半武半商なので、幾らでも成り上がる機会はあるだろう。
「殿下。殿下」
「ああ、すまん。考え事をしていた。何だ」
「義近に与えられる領地はどこになるのでしょうか」
「取りあえずは、十万石分の扶持が与えられる」
「では、領地のない大名と言う事なのですか」
「まあ、領内の女に眼が眩み、政に悪影響を及ぼすかもしれないからな」
「では、屋敷はどこに与えて頂けるのですか。一宇治城下に与えて頂けるのでしょうか」
「厳罰を与えたから、俺の城下や、陛下や方信の城下に屋敷を構えることは許されない」
「そんなぁ。義近の謀叛を疑っておられるのですか」
「俺の性格は知っているだろう。天下泰平の為ならば、情け容赦はせん。万が一にも謀叛の疑いのある者を、城下に住まわせるわけにはいかん」
「では、私が義近の側に行っても宜しいでしょうか」
「それは構わないが、義近は十万石の大名として最前線で戦い、汚名を挽回することになるぞ」
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