転生武田義信
第226話攻防④
1575年4月:ゴア要塞都市・武田信廉と側近:武田信廉視点
うぉぉぉぉ
「殿。敵に背後を取られました」
「何だと。どう言う事だ」
「抜け道があったようでございます」
「おのれ。謀りおったな」
「一旦御逃げ下さい」
「馬鹿を申すな。ここで無様な姿など見せられるか」
「しかしながら、ここは敵地でございます。抜け道以外にも、仕掛けがあるかもしれません」
「望む所よ。どのような仕掛けであろうと、打ち破ってくれる」
「殿。今の我らは、諸王家の援軍を当てに出来ないのでございますぞ」
「そんな事はない」
「しかしながら、殿は下克上を決断されたのではありませんか」
「まだ叛旗を翻したわけでも、独立の意志を示したわけでもない」
「ならば、援軍を望まれるのですか」
「そうだ。今回は船の都合で、一部の兵しか連れてくれなかったが、国に残した兵を送らせるのだ」
「確かに、国にはまだ兵が残っておりますが、諸王家がそれを認めてくれますでしょうか。諸王家が殿を誅罰する心算なら、援軍を認めないかもしれません」
「小次郎。御前は事あるごとに兄者と方信殿が余を誅すると言うが、未だに何も起こらないではないか」
「機会を図っておるのでございます」
「そなたの言葉を聞いて、独立の意志は固めたが、兄者も方信殿も、余を誅する気はない」
「殿。そのように油断しておられると、寝首を掻かれますぞ」
「油断などせんが、状況は正しく認識せねばならん」
「殿。自分のおかれている立場を御認め下さい」
「援軍を頼んで、それが断れたら、小次郎の言う通りなのであろう。だが認められれば、小次郎の杞憂であったと言う事だ」
「しかし殿。監軍が付けられておるのですぞ」
「確かに陳情が過ぎたから、多少は機嫌を損ねたかもしれんが、それも援軍を頼めばはっきりする」
「ならば、それがはっきりするまでは、味方の損害は極力防がねばなりません」
「だが、小次郎の言う通りだとしたら、ここで逃げた方が処罰の対象にされるのではないか」
「それは……そうかもしれません」
「背後を取られた以上、独立を図るにしても、武田家に残るにしても、戦って勝たねばならぬ。逃げるわけにはいかんのだ」
「分かりました。私が背後の敵を討ち払ってまいります」
「そうか。任せたぞ」
「はっ」
愚か者が。
奴に乗せられたせいで、危うく何の準備もせずに武田家から離れる所であった。
独立する事に異論はない。
だがこの人数で、味方に付くか分からぬ弟や一門を当てにして、兄上や義信から離れるわけにはいかん。
少なくとも、国に残して来た将兵と合流しなければ、戦力が少なすぎる。
信龍と信智とは、今一度腹を割って話さねばならん。
うぉぉぉぉ
追い払ったのか。
うぉぉぉぉ
「殿。敵に背後を取られました」
「何だと。どう言う事だ」
「抜け道があったようでございます」
「おのれ。謀りおったな」
「一旦御逃げ下さい」
「馬鹿を申すな。ここで無様な姿など見せられるか」
「しかしながら、ここは敵地でございます。抜け道以外にも、仕掛けがあるかもしれません」
「望む所よ。どのような仕掛けであろうと、打ち破ってくれる」
「殿。今の我らは、諸王家の援軍を当てに出来ないのでございますぞ」
「そんな事はない」
「しかしながら、殿は下克上を決断されたのではありませんか」
「まだ叛旗を翻したわけでも、独立の意志を示したわけでもない」
「ならば、援軍を望まれるのですか」
「そうだ。今回は船の都合で、一部の兵しか連れてくれなかったが、国に残した兵を送らせるのだ」
「確かに、国にはまだ兵が残っておりますが、諸王家がそれを認めてくれますでしょうか。諸王家が殿を誅罰する心算なら、援軍を認めないかもしれません」
「小次郎。御前は事あるごとに兄者と方信殿が余を誅すると言うが、未だに何も起こらないではないか」
「機会を図っておるのでございます」
「そなたの言葉を聞いて、独立の意志は固めたが、兄者も方信殿も、余を誅する気はない」
「殿。そのように油断しておられると、寝首を掻かれますぞ」
「油断などせんが、状況は正しく認識せねばならん」
「殿。自分のおかれている立場を御認め下さい」
「援軍を頼んで、それが断れたら、小次郎の言う通りなのであろう。だが認められれば、小次郎の杞憂であったと言う事だ」
「しかし殿。監軍が付けられておるのですぞ」
「確かに陳情が過ぎたから、多少は機嫌を損ねたかもしれんが、それも援軍を頼めばはっきりする」
「ならば、それがはっきりするまでは、味方の損害は極力防がねばなりません」
「だが、小次郎の言う通りだとしたら、ここで逃げた方が処罰の対象にされるのではないか」
「それは……そうかもしれません」
「背後を取られた以上、独立を図るにしても、武田家に残るにしても、戦って勝たねばならぬ。逃げるわけにはいかんのだ」
「分かりました。私が背後の敵を討ち払ってまいります」
「そうか。任せたぞ」
「はっ」
愚か者が。
奴に乗せられたせいで、危うく何の準備もせずに武田家から離れる所であった。
独立する事に異論はない。
だがこの人数で、味方に付くか分からぬ弟や一門を当てにして、兄上や義信から離れるわけにはいかん。
少なくとも、国に残して来た将兵と合流しなければ、戦力が少なすぎる。
信龍と信智とは、今一度腹を割って話さねばならん。
うぉぉぉぉ
追い払ったのか。
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