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転生武田義信

克全

第215話叔父達

１５７５年１月：薩摩一宇治城・本丸義信私室：鷹司義信と佐竹義頼（武田勝頼）
（影衆が密かに護っている）

「殿下。急に押しかけて申し訳ありません」
「いや。俺の方こそ面倒を押し付けたようだな」
「とんでもございません。殿下の御苦労に比べれば、私の事など些少な事でございます」
「で、叔父上達だな」
「はい。叔父上達も、次郎兄者や三郎兄者には言い難いようで」
「そうだな。四郎には悪いが、四郎は妾腹だから、同じ妾腹の叔父上達も言い易いのだろう」
「はい。殿下の御厚情を持ちまして、四国に百万石の支配地を預からせて頂いています。叔父上達も、同様の支配地を預からして欲しいと言う事です」
「それは無理だな。四郎はそれだけの功名をあげたから、与力も含めて百万石を預けたが、叔父上達の功名では、百万石は預けられないな」
「それは叔父上達も理解されていて、功名をあげる戦場を与えて欲しいとの事です」
「信基に五百万石を与えた事か。それとも義正と義剛に五百万石を与えた事か」
「叔父上ごとに願いが違うようですが、信廉叔父上は信繁叔父上との差が気に入らないようです」
「功名が違い過ぎるだろう」
「信繁叔父上の五百万石に比べて、領地が五十万石ですから、不満も大きかったのでしょう。しかも、弟の信実叔父上達が、百万石の領地を賜ったので、我慢が出来なくなったのでしょう」
「信廉叔父上が一番激しく文句を言っているのか」
「その辺は上手く他の叔父上や一門衆を巻き込んでいます」
「だが、西伯利亜、阿拉斯加、南方に志願を認めているぞ」
「それは、家中の部屋住みを分家させるもので、本家の領地を増やす機会ではありません。それが認められたのは、殿下の御子と信基殿、信繁叔父上と信実叔父上達だけです」
「信繁叔父上は別として、他の叔父上達は、疫病の蔓延る猖獗の地で、戦の前に病死する方が多い地なのだぞ。それでも戦に出たいと言うのか」
「何と言っても、与力込みの預かり地ではなく、直領で百万石です。しかも開拓が成功するまでは、日ノ本の領地を取り上げられたりもしません」
「自分が疫病で死ぬことになってもか」
「嫡男は御曹司の側近として出仕し、次男は信鷹殿の下で西伯利亜で戦い、三男は信狼殿の下で阿拉斯加で戦い、幾らでも功名の機会があります。自分が死ぬことになっても、それは大きな功名に数えてもらえます。疫病を恐れる理由など何もありません」
「その口ぶりは、四郎も南方に行きたいのか」
「はい」

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