転生武田義信
第185話苦渋の選択
1567年9月:薩摩一宇治城・本丸義信私室:鷹司義信・織田上総介信長・真田弾正忠幸隆・黒影・闇影・影衆:鷹司義信視点
「叔父上は何とか御無事のようだ」
「それはようございましたが、モンゴルの侵攻は止まったのでございますか」
「伝書鳩を使った急使だ、書ける事には限りがある。分かっている範囲では、多くの村が襲われはしたものの、住民の殆どは拠点の城に逃げ込んで無事だ」
「しかしながら、家屋敷まで持って逃げられた訳ではありますまい。パオのような移動家屋ならともかく、定住していた者の家屋敷は焼き討ちにあっているでしょう」
信長の言う通りではあるが、それをいちいち口にするのは、叔父上の落ち度だと言いたいのか。
それとも他に思惑があるのか。
「敵の大将は、噂通りの名将でございますな。兵部卿ほどの方が仕掛けた釣り野伏を喰い破り、死地から逆檄に転じるなど、並みの者には不可能でございます」
幸隆は叔父上の奮戦が功名だと認めているようだな。
「そうだな。左衛門佐と左衛門尉もよく踏ん張った」
「確かに兵部卿殿も左衛門佐殿も左衛門尉殿も勇戦されましたが、根本的な原因は兵部卿の調略不足でございましょう」
「上総介殿、それは言い過ぎであろう」
「そうかな、弾正忠殿」
「兵部卿殿は女真族に対して見事な調略を仕掛け成功さえおられる。モンゴルへの調略が不首尾に終わったのは、それほどモンゴルへの調略が難しかったと言う事だ」
「そうかな。兵部卿殿が満州の地から追い出したのは、正当なハーンであるトゥメン・ジャサクト・ハーンではあるが、かのハーンは次席ハーンであるアルタン・ハーンに故地を追い出され、満州にまで逃げてきていたと言うではないか」
「それは私も聞いているが、だからと言ってトゥメン・ジャサクト・ハーンを調略して、共にモンゴルの故地に攻め込むわけにはいかんのだぞ」
「そうではない。今回のモンゴルの逆襲は、トゥメン・ジャサクト・ハーンがアルタン・ハーンに泣きついたのであろう」
「恐らくそうであろう」
「だがアルタン・ハーンは本当に心から援軍を出したかったのかな」
「それは、アルタン・ハーンが本心ではトゥメン・ジャサクト・ハーンを見殺しにしたかったと言うのか」
「恐らくはな」
「正当なハーンを自分の手で殺すのは外聞が悪いから、我らに殺させたいと言う事か」
「表立って言ったりはしないであろうがな。だが一番の問題は、殿下がどちらを味方になさる気なのかという事だ」
「それは今回の戦が引き分けたのは、殿下の所為だと申しているのか」
幸隆が珍しく怒っているが、信長が叔父上が勝てなかったのは俺の所為だと言ったも同然だから、怒るのも仕方がないだろう。
「そうは言わぬが、殿下は大興安嶺山脈より西に何の興味もないと聞いている。ならばトゥメン・ジャサクト・ハーンであろうとアルタン・ハーンあろうと、どちらであろうと靡く方を味方につければいいのではないか」
「それは相手次第であろう。何方のハーンも、殿下の翼下に収まる気がなければどうにもなるまい」
「相手はあのチンギス・ハーンの末裔だ。誇り高きモンゴルの大王だ。何が何でも翼下に収めようとせず、対等の交渉でもよいのではないか」
「日ノ本を襲った元寇の末裔と対等の交渉をせよと申すか」
「殿下は満州の地を確保することを一番に考えておられる。それを成し遂げるためには、何が何でも相手を降す必要はないであろう」
「だがしかし、殿下がチンギス・ハーン末裔を降して配下に加えたとなれば、殿下は大王を超える武勇があると証明されるではないか。そうなれば蝦夷国は大元国を超える大帝国を名乗ることが出来るのではないか」
「殿下はそのような虚名など望んでおられぬ。殿下の望みは天下百年の安寧と、後々の民に役にたつ土地の確保であろう」
「そのような事は、上総介殿に言われなくても分かっておる」
「ならば満州の次に殿下が求めておられるのが、阿拉斯加(アラスカ)であり、その次が台湾であることは何度も聞いておられよう。モンゴルや西比利亜(シベリア)どころか、明にも興味がないのは重々御承知であろう」
「そんな事は上総介殿に言われなくて分かっていると言っておろう」
「だったら体裁になど拘らず、殿下に目標を達成させることに全力を尽くす事こそ、我らの務めではなのですかな」
珍しく幸隆が信長に言い負かされているが、叔父上が勝ち切れなかった戦からの搦手で攻められたから、幸隆も冷静でいられなかったのかな。
「確かに体裁にこだわられる殿下ではないが、こだわっても勝てるのなら、大帝国の大王として勝っていただけるようにするのが我らの務めではないか」
「ここは殿下の真意を御聞かせ願おうではないか。殿下。殿下はアルタン・ハーンを味方にし、トゥメン・ジャサクト・ハーンを殺す覚悟が御有りなのですか」
「御待ち下さい、上総介殿」
「何かな、闇影殿」
「殿下に主殺しの手伝いをさせるような言動はお止めください」
「ほう。それは殿下の心を推し量り、闇影殿が差配されていると言う事かな」
「それは上総介殿が知るべき事でも聞くべき事でもありません。余計な事を知ろうとするなら、殿下の御為にならぬ人として、処分させて頂きますぞ」
「それは怖いな」
「弾正忠も上総介も覚えておけ」
「「は」」
「体裁に拘ることはないが、正当な王を謀殺するような事はせぬ。それではモンゴルの戦士も民も、永遠に我が国を敵とするだろう。それは子孫に仇名すことになる」
「「は」」
「だが上総介が言うように、大興安嶺山脈から東の満州の地は絶対に支配下に置かねば何らぬ。だからトゥメン・ジャサクト・ハーンに満州内の地を返すわけにはいかない」
「「は」」
「だがトゥメン・ジャサクト・ハーンが故地を取り返すために、アルタン・ハーンと戦うと言うのであれば、援軍を出す心算ではある」
「「は」」
「ただし、モンゴルに鉄砲を渡すわけにはいかぬので、援軍は鉄砲隊抜きの近衛武士団となる」
「それでは苦戦必至でございますぞ」
「トゥメン・ジャサクト・ハーンの故地に入って裏切られたら、鉄砲隊があろうとなかろうと全滅するだけだ」
「その通りでございますな。調略するにも限りがございましょう」
「弾正中、だからと言って調略せぬと言っている訳ではない。アルタン・ハーンが朝貢すると言うのなら、父王陛下からアルタン・ハーンに順義公の位を与えてもよい」
「公位でございますか」
「そうだ上総介。父王陛下は諸王の位しか得ておらんから、アルタン・ハーンに勝手に順義王の位を与えるわけにはいくまい」
「御上の奏上して、王位を与えると言う手は使われないのですか」
「それではアルタン・ハーンと父王陛下が同格と言う事になる。勝てる相手に同格に位をあたるわけにはいかんよ」
「必ず勝てますでしょうか」
「上総介殿、先程から不遜すぎますぞ」
「よいよい、弾正忠」
「はぁ」
「アルタン・ハーンは高齢だ。既に60歳になっていると聞く。よく生きたとしても20年だし、年々衰えていくだろう。無理をせず負けぬ戦をすればいい。余力を使って、阿拉斯加(アラスカ)、台湾、南方を切り取る」
「「は」」
「順義公の位で満足するのなら、朝貢や馬市の条件をアルタン・ハーンに有利にしてやるがいい。阿拉斯加(アラスカ)、台湾、南方に攻め込むとなれば、本土だけから軍馬や兵糧を調達しようとすれば、恐ろしく値が上がるであろう」
「恐らくはそのようになるかと思われます」
「同意」
「だがせめて阿拉斯加(アラスカ)方面に送る軍馬や兵糧を、モンゴルとの交易で手に入れることが出来れば、本土で使う軍費を大幅に削減できる。朝貢や馬市で使う銭金を惜しむ理由はない」
「「は」」
「それに南方では安く手に入る珍品をモンゴルに使えば、むしろ朝貢や馬市で利益を上げれるのではないか」
「蝦夷や沿海州で利益を上げたようにでございますか」
「そうだ。相手がある事だから、何もかもこちらの思うように行くとは思わぬが、朝貢と馬市の条件次第では、ならぬ話ではないのではないかな」
「左様でございますな。ですがアルタン・ハーンが同意しなかった場合の事も、考えておかねばならぬではありませんか」
「そうだな。その場合は援軍を送らねばならぬな」
「トゥメン・ジャサクト・ハーンに領地を返さぬとあれば、そうするより他に手はありませんな」
「闇影殿、トゥメン・ジャサクト・ハーンとアルタン・ハーンを暗殺する事は可能か」
「可能だ」
「殿下の御下知があれば、何時でも暗殺可能だと言うのだな」
「そうだ」
「それをやらぬと言うのは、先程殿下が言われたように、子々孫々にモンゴルの恨みと汚名を残さぬためなのだな」
「そうだ」
やれやれ、信長の奴、俺の奥の手をこの場で言いやがった。
これで暗殺がし難くなった。
どうしてもとなれば断じて行うが、ここでの会話が絶対に漏れないとは言えないから、よほどの事がない限り暗殺が使えなくなった。
まあ信長も暗殺が反対なので、こんな方法を使って暗殺をやらさないようにしているのだろう。
いや、山本勘助や叔父上が、俺の真意を間違って暗殺に走るのを防ごうとしたのかもしれないな。
だがその点は遠藤喜右衛門を現地に派遣しているから大丈夫だ。
さて、アルタン・ハーンとトゥメン・ジャサクト・ハーンはこちらの申し入れを受けるかな。
ダユン・イヘ・オルス(大元大国):盟主は正統ハーン。
左翼3トゥメン:内モンゴル高原の東半分に遊牧。
:盟主は正統ハーン。
1:チャハル(正統ハーン直轄の遊牧集団)
:トゥメン・ジャサクト・ハーン(正統ハーン)
2:オリヤンハン(アルタンに解体される)
:ハイスハル・フンドゥレン・ハーン
(アルタンの弟が支配者となる)
3:ハルハ(大半がアルタンに従う)
:(一部が正統ハーンに従う)
:ドーゥレン・センゲ・ホン・タイジ(アルタン長子)
右翼3トゥメン:内モンゴル高原の西半分に遊牧。
:盟主はジノン。
1:オルドス(ジノン直轄の遊牧集団。八白室を主催する)
:ボヤン・バートル・ホン・タイジ
2:トゥメド(モンゴルジン部族が有力)
:アルタン・ハーン(実質的なモンゴルの支配者)
:トゥシェート・セチェン・ハーン(補佐する賢明なハーン)の称号
:ホトクタイ・セチェン・ホン・タイジ
3:ユンシェーブ(実際にはハラチンとアスド)
「叔父上は何とか御無事のようだ」
「それはようございましたが、モンゴルの侵攻は止まったのでございますか」
「伝書鳩を使った急使だ、書ける事には限りがある。分かっている範囲では、多くの村が襲われはしたものの、住民の殆どは拠点の城に逃げ込んで無事だ」
「しかしながら、家屋敷まで持って逃げられた訳ではありますまい。パオのような移動家屋ならともかく、定住していた者の家屋敷は焼き討ちにあっているでしょう」
信長の言う通りではあるが、それをいちいち口にするのは、叔父上の落ち度だと言いたいのか。
それとも他に思惑があるのか。
「敵の大将は、噂通りの名将でございますな。兵部卿ほどの方が仕掛けた釣り野伏を喰い破り、死地から逆檄に転じるなど、並みの者には不可能でございます」
幸隆は叔父上の奮戦が功名だと認めているようだな。
「そうだな。左衛門佐と左衛門尉もよく踏ん張った」
「確かに兵部卿殿も左衛門佐殿も左衛門尉殿も勇戦されましたが、根本的な原因は兵部卿の調略不足でございましょう」
「上総介殿、それは言い過ぎであろう」
「そうかな、弾正忠殿」
「兵部卿殿は女真族に対して見事な調略を仕掛け成功さえおられる。モンゴルへの調略が不首尾に終わったのは、それほどモンゴルへの調略が難しかったと言う事だ」
「そうかな。兵部卿殿が満州の地から追い出したのは、正当なハーンであるトゥメン・ジャサクト・ハーンではあるが、かのハーンは次席ハーンであるアルタン・ハーンに故地を追い出され、満州にまで逃げてきていたと言うではないか」
「それは私も聞いているが、だからと言ってトゥメン・ジャサクト・ハーンを調略して、共にモンゴルの故地に攻め込むわけにはいかんのだぞ」
「そうではない。今回のモンゴルの逆襲は、トゥメン・ジャサクト・ハーンがアルタン・ハーンに泣きついたのであろう」
「恐らくそうであろう」
「だがアルタン・ハーンは本当に心から援軍を出したかったのかな」
「それは、アルタン・ハーンが本心ではトゥメン・ジャサクト・ハーンを見殺しにしたかったと言うのか」
「恐らくはな」
「正当なハーンを自分の手で殺すのは外聞が悪いから、我らに殺させたいと言う事か」
「表立って言ったりはしないであろうがな。だが一番の問題は、殿下がどちらを味方になさる気なのかという事だ」
「それは今回の戦が引き分けたのは、殿下の所為だと申しているのか」
幸隆が珍しく怒っているが、信長が叔父上が勝てなかったのは俺の所為だと言ったも同然だから、怒るのも仕方がないだろう。
「そうは言わぬが、殿下は大興安嶺山脈より西に何の興味もないと聞いている。ならばトゥメン・ジャサクト・ハーンであろうとアルタン・ハーンあろうと、どちらであろうと靡く方を味方につければいいのではないか」
「それは相手次第であろう。何方のハーンも、殿下の翼下に収まる気がなければどうにもなるまい」
「相手はあのチンギス・ハーンの末裔だ。誇り高きモンゴルの大王だ。何が何でも翼下に収めようとせず、対等の交渉でもよいのではないか」
「日ノ本を襲った元寇の末裔と対等の交渉をせよと申すか」
「殿下は満州の地を確保することを一番に考えておられる。それを成し遂げるためには、何が何でも相手を降す必要はないであろう」
「だがしかし、殿下がチンギス・ハーン末裔を降して配下に加えたとなれば、殿下は大王を超える武勇があると証明されるではないか。そうなれば蝦夷国は大元国を超える大帝国を名乗ることが出来るのではないか」
「殿下はそのような虚名など望んでおられぬ。殿下の望みは天下百年の安寧と、後々の民に役にたつ土地の確保であろう」
「そのような事は、上総介殿に言われなくても分かっておる」
「ならば満州の次に殿下が求めておられるのが、阿拉斯加(アラスカ)であり、その次が台湾であることは何度も聞いておられよう。モンゴルや西比利亜(シベリア)どころか、明にも興味がないのは重々御承知であろう」
「そんな事は上総介殿に言われなくて分かっていると言っておろう」
「だったら体裁になど拘らず、殿下に目標を達成させることに全力を尽くす事こそ、我らの務めではなのですかな」
珍しく幸隆が信長に言い負かされているが、叔父上が勝ち切れなかった戦からの搦手で攻められたから、幸隆も冷静でいられなかったのかな。
「確かに体裁にこだわられる殿下ではないが、こだわっても勝てるのなら、大帝国の大王として勝っていただけるようにするのが我らの務めではないか」
「ここは殿下の真意を御聞かせ願おうではないか。殿下。殿下はアルタン・ハーンを味方にし、トゥメン・ジャサクト・ハーンを殺す覚悟が御有りなのですか」
「御待ち下さい、上総介殿」
「何かな、闇影殿」
「殿下に主殺しの手伝いをさせるような言動はお止めください」
「ほう。それは殿下の心を推し量り、闇影殿が差配されていると言う事かな」
「それは上総介殿が知るべき事でも聞くべき事でもありません。余計な事を知ろうとするなら、殿下の御為にならぬ人として、処分させて頂きますぞ」
「それは怖いな」
「弾正忠も上総介も覚えておけ」
「「は」」
「体裁に拘ることはないが、正当な王を謀殺するような事はせぬ。それではモンゴルの戦士も民も、永遠に我が国を敵とするだろう。それは子孫に仇名すことになる」
「「は」」
「だが上総介が言うように、大興安嶺山脈から東の満州の地は絶対に支配下に置かねば何らぬ。だからトゥメン・ジャサクト・ハーンに満州内の地を返すわけにはいかない」
「「は」」
「だがトゥメン・ジャサクト・ハーンが故地を取り返すために、アルタン・ハーンと戦うと言うのであれば、援軍を出す心算ではある」
「「は」」
「ただし、モンゴルに鉄砲を渡すわけにはいかぬので、援軍は鉄砲隊抜きの近衛武士団となる」
「それでは苦戦必至でございますぞ」
「トゥメン・ジャサクト・ハーンの故地に入って裏切られたら、鉄砲隊があろうとなかろうと全滅するだけだ」
「その通りでございますな。調略するにも限りがございましょう」
「弾正中、だからと言って調略せぬと言っている訳ではない。アルタン・ハーンが朝貢すると言うのなら、父王陛下からアルタン・ハーンに順義公の位を与えてもよい」
「公位でございますか」
「そうだ上総介。父王陛下は諸王の位しか得ておらんから、アルタン・ハーンに勝手に順義王の位を与えるわけにはいくまい」
「御上の奏上して、王位を与えると言う手は使われないのですか」
「それではアルタン・ハーンと父王陛下が同格と言う事になる。勝てる相手に同格に位をあたるわけにはいかんよ」
「必ず勝てますでしょうか」
「上総介殿、先程から不遜すぎますぞ」
「よいよい、弾正忠」
「はぁ」
「アルタン・ハーンは高齢だ。既に60歳になっていると聞く。よく生きたとしても20年だし、年々衰えていくだろう。無理をせず負けぬ戦をすればいい。余力を使って、阿拉斯加(アラスカ)、台湾、南方を切り取る」
「「は」」
「順義公の位で満足するのなら、朝貢や馬市の条件をアルタン・ハーンに有利にしてやるがいい。阿拉斯加(アラスカ)、台湾、南方に攻め込むとなれば、本土だけから軍馬や兵糧を調達しようとすれば、恐ろしく値が上がるであろう」
「恐らくはそのようになるかと思われます」
「同意」
「だがせめて阿拉斯加(アラスカ)方面に送る軍馬や兵糧を、モンゴルとの交易で手に入れることが出来れば、本土で使う軍費を大幅に削減できる。朝貢や馬市で使う銭金を惜しむ理由はない」
「「は」」
「それに南方では安く手に入る珍品をモンゴルに使えば、むしろ朝貢や馬市で利益を上げれるのではないか」
「蝦夷や沿海州で利益を上げたようにでございますか」
「そうだ。相手がある事だから、何もかもこちらの思うように行くとは思わぬが、朝貢と馬市の条件次第では、ならぬ話ではないのではないかな」
「左様でございますな。ですがアルタン・ハーンが同意しなかった場合の事も、考えておかねばならぬではありませんか」
「そうだな。その場合は援軍を送らねばならぬな」
「トゥメン・ジャサクト・ハーンに領地を返さぬとあれば、そうするより他に手はありませんな」
「闇影殿、トゥメン・ジャサクト・ハーンとアルタン・ハーンを暗殺する事は可能か」
「可能だ」
「殿下の御下知があれば、何時でも暗殺可能だと言うのだな」
「そうだ」
「それをやらぬと言うのは、先程殿下が言われたように、子々孫々にモンゴルの恨みと汚名を残さぬためなのだな」
「そうだ」
やれやれ、信長の奴、俺の奥の手をこの場で言いやがった。
これで暗殺がし難くなった。
どうしてもとなれば断じて行うが、ここでの会話が絶対に漏れないとは言えないから、よほどの事がない限り暗殺が使えなくなった。
まあ信長も暗殺が反対なので、こんな方法を使って暗殺をやらさないようにしているのだろう。
いや、山本勘助や叔父上が、俺の真意を間違って暗殺に走るのを防ごうとしたのかもしれないな。
だがその点は遠藤喜右衛門を現地に派遣しているから大丈夫だ。
さて、アルタン・ハーンとトゥメン・ジャサクト・ハーンはこちらの申し入れを受けるかな。
ダユン・イヘ・オルス(大元大国):盟主は正統ハーン。
左翼3トゥメン:内モンゴル高原の東半分に遊牧。
:盟主は正統ハーン。
1:チャハル(正統ハーン直轄の遊牧集団)
:トゥメン・ジャサクト・ハーン(正統ハーン)
2:オリヤンハン(アルタンに解体される)
:ハイスハル・フンドゥレン・ハーン
(アルタンの弟が支配者となる)
3:ハルハ(大半がアルタンに従う)
:(一部が正統ハーンに従う)
:ドーゥレン・センゲ・ホン・タイジ(アルタン長子)
右翼3トゥメン:内モンゴル高原の西半分に遊牧。
:盟主はジノン。
1:オルドス(ジノン直轄の遊牧集団。八白室を主催する)
:ボヤン・バートル・ホン・タイジ
2:トゥメド(モンゴルジン部族が有力)
:アルタン・ハーン(実質的なモンゴルの支配者)
:トゥシェート・セチェン・ハーン(補佐する賢明なハーン)の称号
:ホトクタイ・セチェン・ホン・タイジ
3:ユンシェーブ(実際にはハラチンとアスド)
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