転生武田義信
第176話琉球調略
1565年6月:琉球・首里城内某所・峯間聞得大君と影衆:第3者視点
「本当に兄上様が王位に就かれたら、尚王家を残してくれるのですね」
「王位を継承することはできますが、領地として琉球本島全てを残すわけにはいきません。領地は首里城周辺の1000石となりますが、このまま族滅するよりはいいのではありませんか。峯間聞得大君」
「本来なら4代王には父上様が戴冠されるはずでした。それを思戸金按司加那志の策謀で廃嫡されてしまわれました。王位は正統に戻さなければなりません。それが、おなり神の御意思なのです」
峯間聞得大君は話題を領地から外し、王統の正当性を話し出した。
「はい。市井の根神(ニーガン)もそのように御神託を受けているようでございます」
「鷹司諸王太子殿下に手抜かりはないという事ですね」
「諸王太子殿下は、極力人が死ぬことを避けようとなされるのでございます」
「そのようですね。大島、徳之島、沖永良部島、全て島の祝女(のろ)と根神(ニーガン)を懐柔して、戦うことなく支配しましたね」
「鷹司諸王太子殿下は、出来る事なら琉球も戦うことなく家臣に迎えたいと考えておられです」
「しかし1000石程度の領地では、王の体面を保つことはできません。首里城と南山王国時代の領地を残して頂く訳にはいきませんか」
「各王族も、鷹司諸王太子殿下に仕えるならば、それぞれ領地を賜りますから生活に不自由することはありません。王家にいたしましても、明国への朝貢は今まで通り許されますから、その利益で十分王の体面を保てることでしょう」
「そうですか。朝貢を許してもらえるのですね」
「王家自体の領地と武力は制限されますが、分家して鷹司諸王太子殿下に仕える方に関しては、功名次第でいくらでも領地と家臣を手に入れることが出来ます」
「では甥達も、尚宣威王陛下の流れをくむ者たちも、能力に応じて正統に評価してもらえるのですね」
「はい。大島や徳之島の親方や民が、どう言う扱い受けるかを、各地の祝女(のろ)や根神(ニーガン)から御聞き下されば、間違いないと思います」
「そうですね。それが1番でしょうね」
峯間聞得大君はそれでもまだ迷いがあるようだった。
「明国の援軍を気にしておられるのですか」
「正直そうです。尚元王陛下は明国に援軍を要請しておられます。明国の援軍が参った場合、琉球は明国軍と鷹司軍に戦いで塗炭の苦しみを味合うのではありませんか」
「尚元王陛下には残念な事でしょうが、明国に援軍を送る動きはありません。明国から琉球まで援軍を送るには、大型の戦船が大量に必要になりますが、今の明にその様な船はありませんし、新たに建造している様子もありません」
「鷹司家は、明国にも忍びを送っているのですか」
「明国に限らず、隣国が攻めてくるかもしれませんので、常に四方八方に忍びを送っておりますよ」
「明国ほどの大国が、朝貢を重ねる属国を見捨てるのですか」
「明国は暗愚な君主が帝位についています。朝廷内は怪しげな道士が権勢を振るい、北虜による度重なる侵攻にも対処でいない状態です。苦手な海を渡って援軍を送ることはありません」
「では兄上様が戴冠なされても、明軍によって罰せられるような事はありませんね」
「それは大丈夫でございます。それに鷹司海軍が、倭寇を取り締まっていたポルトガル艦隊を壊滅したのは御聞及びでしょう」
「それは聞いています。王城内でも評判になっていました」
「明国は、自分達で取り締まれなかった倭寇を、ポルトガル艦隊に依頼して抑えました。そのポルトガル艦隊を容易く壊滅した鷹司海軍に、明国の海軍が勝てるはずがありません。皇帝の浪費で国庫が底をついている明国が、琉球を救うために艦隊を建造する事はありません。もし隆慶帝が崩御して新皇帝が即位することになっても、数年は各儀式を行うために身動きできず、琉球に援軍など出せません」
「分かりました。兄上様に立っていただきます」
『琉球三国時代』
中山王国(ちゅうざんおうこく)
北山王国(ほくざんおうこく)
南山王国(なんざんおうこく)
『琉球第二尚王家』
尚円 :初代王
尚宣威:2代王(1477年)
生没年:1430年~1477年9月11日
:初代王の弟で、尚真が幼かったため群臣から王に推挙された。
:尚円の母・宇喜也嘉の策謀で、僅か半年で退位させられた。
尚真 :3代王(1477年~1527年)
生没年:1465~1527年1月13日
尚維衡:尚真の長男
生没年:1494年~1540年
:母が尚宣威王の娘であったため、祖母・宇喜也嘉の策謀で1度目の廃嫡
:実子を王位につけたい尚真夫人・思戸金按司加那志の策謀で2度目の廃嫡
尚清 :尚真の五男
:4代王(1527年~1555年)
生没年:1497年~1555年7月13日
尚禎 :尚清の長男
:不審死
尚元 :尚清の次男
:5代王(現王)
尚鑑心:尚清の四男
:尚元と王位を争うも敗死する。
尚弘業:尚維衡の長男
:浦添間切の按司地頭
生没年:1512年~1576年5月28日
梅南 :尚維衡の長男の長女
:2代聞得大君
生没年:不明~1577年
向徳厚:尚宣威の曾孫
:見里按司朝副
「琉球神道」神女組織
聞得大君(きこえおおぎみ):おなり神の最高位
琉球王国最高位の権力者である国王と王国全土を霊的に守護するものとして崇められた。
国王の長寿・国の繁栄・五穀豊穣(ごこくほうじょう)・航海安全を祈願した。
祝女(のろ)あるいは司(つかさ)などの女性神職を統率し、沖縄における祭祀の一切を統括し、初めは国王と並んで、王妃よりも上位におかれた。
王府により王の姉妹または王女の中から任命された。
聞得大君:1人
大阿母志良礼(おおあもしられ):3人
高級神女:
佐司笠:首里由来の祭司
阿応理屋恵:国頭地方由来の祭司
根神(ニーガン):村落の旧家(根屋)から出た神女
『御内原』(琉球王国の大奥)
「御側御奉公(ウスバグフークー)」
王妃・王女の身の回りの世話などをする王族や王族と血縁の深い士族の子女。
全員城の住み込みです。
「城人組織」(王に仕える女性)
御内原の宮廷職務全般をつかさどる
女官居室(グスクンチュ・ウシュメージュ)に住んでいる。
大勢頭部(うふせどべ) :3人
大庫裡(うふぐい)のあむしられ:3人
真南風(まはえ)のあむしられ:2人
酒こちゃ勢頭部 :3人
そなへこちゃ勢頭部:3人
作事(さじ)のあむしられ:3人
よたのあむしられ :2人
うちよくいのあむしられ:3人
真南風のあかま :2人
大庫裡のあねべ :3人
酒こちゃあねべ :3人
そなへこちゃあねべ:3人
しょうのあなくもい:3人
あねべ:平女官
あがま:見習い女官
「本当に兄上様が王位に就かれたら、尚王家を残してくれるのですね」
「王位を継承することはできますが、領地として琉球本島全てを残すわけにはいきません。領地は首里城周辺の1000石となりますが、このまま族滅するよりはいいのではありませんか。峯間聞得大君」
「本来なら4代王には父上様が戴冠されるはずでした。それを思戸金按司加那志の策謀で廃嫡されてしまわれました。王位は正統に戻さなければなりません。それが、おなり神の御意思なのです」
峯間聞得大君は話題を領地から外し、王統の正当性を話し出した。
「はい。市井の根神(ニーガン)もそのように御神託を受けているようでございます」
「鷹司諸王太子殿下に手抜かりはないという事ですね」
「諸王太子殿下は、極力人が死ぬことを避けようとなされるのでございます」
「そのようですね。大島、徳之島、沖永良部島、全て島の祝女(のろ)と根神(ニーガン)を懐柔して、戦うことなく支配しましたね」
「鷹司諸王太子殿下は、出来る事なら琉球も戦うことなく家臣に迎えたいと考えておられです」
「しかし1000石程度の領地では、王の体面を保つことはできません。首里城と南山王国時代の領地を残して頂く訳にはいきませんか」
「各王族も、鷹司諸王太子殿下に仕えるならば、それぞれ領地を賜りますから生活に不自由することはありません。王家にいたしましても、明国への朝貢は今まで通り許されますから、その利益で十分王の体面を保てることでしょう」
「そうですか。朝貢を許してもらえるのですね」
「王家自体の領地と武力は制限されますが、分家して鷹司諸王太子殿下に仕える方に関しては、功名次第でいくらでも領地と家臣を手に入れることが出来ます」
「では甥達も、尚宣威王陛下の流れをくむ者たちも、能力に応じて正統に評価してもらえるのですね」
「はい。大島や徳之島の親方や民が、どう言う扱い受けるかを、各地の祝女(のろ)や根神(ニーガン)から御聞き下されば、間違いないと思います」
「そうですね。それが1番でしょうね」
峯間聞得大君はそれでもまだ迷いがあるようだった。
「明国の援軍を気にしておられるのですか」
「正直そうです。尚元王陛下は明国に援軍を要請しておられます。明国の援軍が参った場合、琉球は明国軍と鷹司軍に戦いで塗炭の苦しみを味合うのではありませんか」
「尚元王陛下には残念な事でしょうが、明国に援軍を送る動きはありません。明国から琉球まで援軍を送るには、大型の戦船が大量に必要になりますが、今の明にその様な船はありませんし、新たに建造している様子もありません」
「鷹司家は、明国にも忍びを送っているのですか」
「明国に限らず、隣国が攻めてくるかもしれませんので、常に四方八方に忍びを送っておりますよ」
「明国ほどの大国が、朝貢を重ねる属国を見捨てるのですか」
「明国は暗愚な君主が帝位についています。朝廷内は怪しげな道士が権勢を振るい、北虜による度重なる侵攻にも対処でいない状態です。苦手な海を渡って援軍を送ることはありません」
「では兄上様が戴冠なされても、明軍によって罰せられるような事はありませんね」
「それは大丈夫でございます。それに鷹司海軍が、倭寇を取り締まっていたポルトガル艦隊を壊滅したのは御聞及びでしょう」
「それは聞いています。王城内でも評判になっていました」
「明国は、自分達で取り締まれなかった倭寇を、ポルトガル艦隊に依頼して抑えました。そのポルトガル艦隊を容易く壊滅した鷹司海軍に、明国の海軍が勝てるはずがありません。皇帝の浪費で国庫が底をついている明国が、琉球を救うために艦隊を建造する事はありません。もし隆慶帝が崩御して新皇帝が即位することになっても、数年は各儀式を行うために身動きできず、琉球に援軍など出せません」
「分かりました。兄上様に立っていただきます」
『琉球三国時代』
中山王国(ちゅうざんおうこく)
北山王国(ほくざんおうこく)
南山王国(なんざんおうこく)
『琉球第二尚王家』
尚円 :初代王
尚宣威:2代王(1477年)
生没年:1430年~1477年9月11日
:初代王の弟で、尚真が幼かったため群臣から王に推挙された。
:尚円の母・宇喜也嘉の策謀で、僅か半年で退位させられた。
尚真 :3代王(1477年~1527年)
生没年:1465~1527年1月13日
尚維衡:尚真の長男
生没年:1494年~1540年
:母が尚宣威王の娘であったため、祖母・宇喜也嘉の策謀で1度目の廃嫡
:実子を王位につけたい尚真夫人・思戸金按司加那志の策謀で2度目の廃嫡
尚清 :尚真の五男
:4代王(1527年~1555年)
生没年:1497年~1555年7月13日
尚禎 :尚清の長男
:不審死
尚元 :尚清の次男
:5代王(現王)
尚鑑心:尚清の四男
:尚元と王位を争うも敗死する。
尚弘業:尚維衡の長男
:浦添間切の按司地頭
生没年:1512年~1576年5月28日
梅南 :尚維衡の長男の長女
:2代聞得大君
生没年:不明~1577年
向徳厚:尚宣威の曾孫
:見里按司朝副
「琉球神道」神女組織
聞得大君(きこえおおぎみ):おなり神の最高位
琉球王国最高位の権力者である国王と王国全土を霊的に守護するものとして崇められた。
国王の長寿・国の繁栄・五穀豊穣(ごこくほうじょう)・航海安全を祈願した。
祝女(のろ)あるいは司(つかさ)などの女性神職を統率し、沖縄における祭祀の一切を統括し、初めは国王と並んで、王妃よりも上位におかれた。
王府により王の姉妹または王女の中から任命された。
聞得大君:1人
大阿母志良礼(おおあもしられ):3人
高級神女:
佐司笠:首里由来の祭司
阿応理屋恵:国頭地方由来の祭司
根神(ニーガン):村落の旧家(根屋)から出た神女
『御内原』(琉球王国の大奥)
「御側御奉公(ウスバグフークー)」
王妃・王女の身の回りの世話などをする王族や王族と血縁の深い士族の子女。
全員城の住み込みです。
「城人組織」(王に仕える女性)
御内原の宮廷職務全般をつかさどる
女官居室(グスクンチュ・ウシュメージュ)に住んでいる。
大勢頭部(うふせどべ) :3人
大庫裡(うふぐい)のあむしられ:3人
真南風(まはえ)のあむしられ:2人
酒こちゃ勢頭部 :3人
そなへこちゃ勢頭部:3人
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