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転生武田義信

克全

第145話因幡国調略2

1559年9月・京二条城・二ノ丸政務殿・鷹司義信・真田幸隆・黒影・織田信長ほか:鷹司義信視点

「他の勢力への調略は進んでいるか?」

俺は黒影に、尼子や山名に属している国衆と地侍への調略がどれほど進んでいるか確認した。

「はい、多くの国衆と地侍が、閣下の侵攻を待って寝返る予定でございます」

実際問題因幡の勢力は混乱の極みである。

当初尼子晴久は、因幡山名家の山名豊成を支援して勢力を伸ばそうとしていた。

だが但馬山名家からは、山名豊定が因幡守護として派遣され、死力を尽くして因幡の覇権争いをしていたのだ。

しかし尼子国久や大内家との争いに加え、俺との関係もあり、争っていた山名豊定と祐豊兄弟の、因幡撤退を受け入れることになった。

これで現在因幡国内には、山名豊成と山名豊定・祐豊兄弟の、2つの山名勢力を混在している。

共に尼子晴久の支援を受けてはいるものの、後々の勢力争いを考えれば、心から信頼して共同戦線を張ることなど不可能だった。

「因幡の毛利家はどうする心算なのだ?」

「安芸の毛利元就同様に強かな者でございますが、忠誠心はそれなりに強く、容易く降ると言質を与えません」

「大軍を持って因幡に攻め込むまでは、尼子や山名に忠誠を誓い、袋叩きなならないようにしているのか」

「はい、多くの国衆と地侍が、早目に閣下の味方を表明して、周囲の尼子や山名勢に攻め込まれるのを恐れております」

「だが直ぐに因幡に討ち入る心算は無い、それほど米の採れる国でもないから、播磨と但馬の内政を重視する」

「尼子が誘いに乗って攻め込んで来てくれれば、鉄砲や大砲で一網打尽になされる御心算ですね」

「そうだ、時間を掛ければ味方の損害無しに攻め取れるのだ、無理に急ぐ必要などない」

「軍用の道を普請させられるのですね?」

「そうだ、そうすれば仕事を与えることになり、戦で家財を失った民を飢えや寒さから救いだせるだろう」

「左様でございますね、足軽を志願すれば幾らでも暮らしていけますが、どうしても戦に行きたくない者もおりますね」

「因幡の民も同じように集めてくれ」

「尼子や山名の忍が入り込みますが?」

「疑わしい者は追い返してくれればいい、だが本当に困っている民や、逃亡してきた兵は受け入れるようにしてくれ」

「承りました」

「弾正忠、海軍衆はどうなっている?」

「何時でも海岸線に艦砲射撃が出来る状態です」

「敵前上陸や、後方上陸を実施してもらうかもしれない。奈良海賊衆も含めて、何時でも作戦が可能なように、今から訓練を重ねさせてくれ」

「承りました」

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