転生武田義信

克全

第144話因幡国調略1

1559年9月京二条城の二ノ丸政務殿・鷹司義信・真田幸隆・黒影・織田信長ほか:鷹司義信視点

「但馬の状況はどうなっている?」

「多くの者が降伏して来ております」

俺の問いに黒影が即答してくれる。

「まだしぶとく籠城する者がいるのか?」

「尼子に人質を送っている者もいますし、中には忠誠心の厚い者もおります」

「何時もの手で、多くの城砦が内部から崩壊したのだろう?」

「はい、褒賞欲しさに裏切る雑兵は幾らでもおりますが、閣下の策は既に周知されれおります」

「少しでも知恵の回る者は、事前に怪しい将兵は切り捨てているか」

「はい、それでも当初籠城していた城砦群の8割は、既に自落いたしました」

「ならば今も籠城を続けている城砦は、主従共に忠義に厚く、誇り高い武士と言う事だ。無理に攻めて殺すのは忍びない、抑えの兵を残して、放置しておくように伝えてくれ」

「承りました」

「因幡の方はどうなっている?」

「大雑把に分けて、3つの勢力に分かれています」

「俺に味方する者、尼子に味方する者、山名に忠誠を誓う者か?」

「はい、左様でございます」

「だがその3勢力の中も、心から忠誠を誓う者や、隙あらば自立を狙っている者もいるのだな」

「はい、山名に忠誠を誓うと言っても、山名宗家に忠実な者と、因幡山名家に従う者がおります」

「俺に忠誠を誓う者の中でも、隙あらば寝首を掻こうとしている者もいるしな」

「中には心底忠誠を誓っている者もおりますが、武田三河守などは信用なりません」

「弾正忠、武田三河守をどう扱うとよいと思う?」

俺は真田幸隆に今後の方針を問い質した。

「今まで閣下は武田三河守を支援されてこられましたから、今更手の平を返しては天下の信を失います。これからは天下の主として行動される必要がございますから、ここは一族一門から養嗣子を送られるか、姫を嫁がされるかなさるべきでしょう」

「やはりその手になるか?」

「はい、そうでなければ、三河守の弟である又三郎と源五郎、息子の又太郎、与十郎、源三郎に城地を分割させられませ」

「そうだな、分割して戦力を弱めるべきだろうな、一族一門から養嗣子や嫁を送れば人質にされる恐れもあるからな」

「確かにその危険は大きいと思われます」

「武田三河守の配下は、既に切り崩してくれているのだろう?」

「はい、同盟している弓河内館主の西郷因幡守、釜谷城主の海老名七郎、徳吉城主の徳吉将監、中島城主の中島与七郎、二上山城主の三上豊範や、配下である荒神山城主の矢田七郎左衛門、橋本城主の広岡国宣、中山城主の福田光信などは、既に自立することを承諾しております」

「そうとなったら、武田三河守の勢力も雲散霧消してしまうな」

「はい」

「だが完全に尼子を討伐するまでは、武田三河守に悟られるな」

「承りました」

コメント

コメントを書く

「歴史」の人気作品

書籍化作品