転生武田義信
第127話丹波丹後侵攻作戦
京二条城の鷹司屋敷・鷹司義信・真田幸隆・秋山虎繁・黒影:鷹司義信視点
「閣下、摂津方面軍団を丹波に攻め込ませてはいかがですか?」
「虎繁、近衛府軍の一部を大山崎や伏見に展開することは可能か?」
「大丈夫でございます。京を城砦化する為の人夫が、想定以上に沢山集まっております。何時でもその者を、足軽として使う事が出来ます」
「練度は落ちるが仕方ないな」
「錬度が落ちるとは申しましても、三好や北畠の足軽と同等でございいます。近衛府軍と比べれば見落としりますが、普通に役に立ちます」
「そうだな、ならば摂津方面軍団2万1000兵を丹波に攻め込ませるとして、後はどう考えているのだ?」
俺は幸隆に、他の手を説明するように水を向けた。
「越中国から加賀に攻め込まれた、姉小路軍団に加賀と越前の治安維持を御願いする事と、若狭方面軍団7000騎と1万2000兵に、丹波に攻め込んで頂くのは、以前説明させていただいた通りです」
「総計で4万だが、攻め切れるか? 丹波は攻めにくい土地ではないか?」
「はい、ですので海軍を総動員します」
「そうだな、尼子国久が敵に回った所為で、日本海航路の交易が制限されている。太平洋航路も瀬戸内を通ることが出来ず、土佐周りで行う事になっている。ここは海軍を使って、後方上陸作戦で敵を奇襲挟撃すべきだな」
「はい、東国と陸奥の平定は終わっております。治安維持の兵力を残して、残りは西国に回しましょう」
「それは少し待て」
「何故でございますか?」
「関東と東国の兵力は、開墾と治水に投入する。そうすれは、地侍や農民の支持を得る事が出来る。そうなれば国衆は、我らを支持する民の一揆を恐れて、主力軍を此方に引き上げても謀反出来なくなる」
「しかしそれでは、中国平定に時間が掛かってしまいますが?」
「構わん、今回は皇室の御領所を押領している、宇津頼重を攻め殺せればいい」
「左様でございますか、ですが大内義通様はどうなされます?」
「日本海艦隊からガレオン船を分派して、沖合航行して周防の和山城まで直行させる。そして大内義通殿を救出してもらう」
「それは! 出来ますでしょうか?」
「望遠鏡を使った直視と、羅針盤を使った計測航法と天測航法で大丈夫だ」
「閣下が申されるのなら大丈夫なのでしょうが、新造出来た南蛮船は10隻です。その内何隻をを派遣されるのですか?」
「10隻全部投入する、戦力の逐次投入は悪手だ。乗せれる限りの陸兵を、若狭方面軍団から分派せよ」
「総勢で3000兵は乗せれると思います。それだけの兵で奇襲する事が出来れば、大内義通様を救出することは可能でしょう」
「ではその手筈で進めてくれ。」
足利軍、いや、三好長慶軍と言うべきなのだろうが、彼らが南蛮から大量の大砲を購入出来るとは思わない。
思わないが、絶対大丈夫と言い切れるわけでもない。
だから三好長慶に時間を与えたくはないのだが、民を慰撫することを手抜きする訳にはいかない。
丹波宇津城:第3者視点
鷹司軍摂津方面軍団は、丹波方面軍団と改称された。
そして丹波口から侵攻を開始したが、丹波は混乱の極致となっていた。
鷹司卿からの調略に加え、親鷹司派の公家衆が血縁地縁を使い、調略の支援をしたのだ。
しかしその一方で、足利義冬・細川氏綱・三好長慶・本願寺・尼子晴久なども、反鷹司の国衆と地侍の手も借りて、中立の国衆と地侍を調略していった。
しかもここに、自主独立し大名にならんとする、野心家の国衆まで加わるのだ。
油断をすれば、味方にしたはずの国衆と地侍から、いつ背中を襲われるか分からない状態だった。
「飛影さま、右の林に内藤勢が潜んでおります。」
配下の影衆が、敵の潜む場所を逐一報告している。
これにより大型投石機と大型弩砲の攻撃が的確となっていた。
「分かった、投石隊発射準備!」
「は!」
丹波口を突破する為には、丹波守護代を務める内藤宗勝(松永長頼)を、最初に破らなければならなかった。
老ノ坂に陣地を築き待ち受ける内藤宗勝に対して、大量の大型投石機と大型弩砲による投石と十文字大竹射出で、面制圧を行い大損害を与えて突破した。
この攻撃を受け、仕方なく流れで参戦していた国衆は、内藤宗勝の元から離反した。
宗勝は居城の八木城まで戻ろうとするも、並河城主の並河因幡守を筆頭に、亀岡周辺の国衆と地侍が、命惜しさに宗勝を襲った。
この裏切り攻撃に、老ノ坂防衛戦で激減していた宗勝軍は壊乱し、内藤宗勝も首を取られる事になった。
「皆の者、入られませ」
「は!」
「並河易家殿、内藤宗勝殿の首を討ち取られたこと真に見事です。しかしながら、一旦味方すると決めた大将を裏切るのは、卑怯千万である! また逃げ首を討ったとて、武士として大した評価は与えられん。その事理解しておられるのか?!」
「は! 真に御恥ずかしい限りでございます。」
「よって今回の卑怯な裏切りによって得た首は、一切評価いたさん。寝返った国衆と地侍の城地は一旦預かり、今後の丹波攻めの働きで評価いたす。不服な者はこのまま城に帰り籠城なされるも、赤井家や波多野家を頼って落ちるのも自由じゃ。今日1日は追い討ちせぬゆえ、好きに為されよ」
飛影の叱責と怒りを受けて、亀岡周辺の国衆は狼狽した。
しかし噂に違わぬ鷹司軍の攻撃を受けて、丹波の軍勢に加わっても勝てない事は骨身に染みて理解した。
だがだからと言って、おめおめと城地を明け渡す事も出来なかった。
「猿渡様、1つお聞かせいただきたいのですが、よろしゅうございますか?」
そんな時、意を決した渡辺美作守成道が質問をした。
その顔には、何としても城地を守ろうとする、武士の執念がうかがえた。
「何でも聞きなされ」
「今後の戦いで、大将首や1番首を討ち取った場合は、城地を安堵していただけるのでしょうか」
「それは約束しよう。但し皇室御領や公家領を押領している所は、何があっても返してもらう」
「それは理解しております。それで功名が少ない場合は、いったいどうなるのですか?」
「鷹司卿の、国衆と地侍に対する恩賞は聞いているか?」
「はい、功名があった場合は城と半治を保証し、残り半知分を銭で支給し、近衛府や鎮守府に出仕させると御聞きしております」
「その通りだ、だが今回は一旦敵対した後で卑怯な裏切りをしたのだ、当然功名の条件は厳しくなる」
「どれくらいの知行を減らされる事になりますでしょうか?」
質問している渡辺美作守成道は勿論のこと、陣幕内にいる丹波国衆は、皆固唾を飲んで聞き入っている。
自分は勿論、一族郎党全ての生活が、いや、命すらこの答えにかかっているのだ。
「城地を召し上げて、半知分を銭で支給し近衛府に出仕してもらう場合もある。また2割知行分しか銭を支給せぬ場合もある。しかしながら、減らした分召し放ちしなければならない一族郎党は、希望するなら独立した武士や足軽として鷹司家で召し抱える」
「え?!」
「知らなかったのか? 鷹司家では、卑怯な行いをした国衆や大名を減知して、家臣を召し抱えることは禁じている。しかしながら、召し放ちされる者達は哀れである。そこで希望するなら、本人の力量に合せて1人の武士として、鷹司家の家臣として仕官してもらうのだ」
「真でございますか?!」
「この事なら天地神明に掛けて誓おう」
「ならば教えて頂きたい」
並河因幡守が顔を真っ赤にして、やっとの思いで質問を口にした。
「もし私に功名が足らず、半知分の銭しか支給して頂く事しかできず、ここにいる並河兵庫介と並河易家を召し放した場合、この2人を鷹司家の直臣として召し抱えて頂けるという事ですか?!」
「左様、しかしながら扶持は実力次第、血縁地縁は考慮されませんぞ」
「結構でございます。いえ、安心致しました」
陣幕内の緊張した空気が、一気に緩んだ。
これで何があろうと、一族郎党が路頭に迷い、野垂れ死にする事だけは無くなったのだ。
「そうか、それでは一旦城は明け渡してもらう。城には我らが入り、田畑の検地を行った上で、鷹司卿に敵対する者の城を攻めるが、国衆には先にその城を囲んでもらう。」
「「「「「承りました」」」」」
鷹司卿に寝返った国衆は、城を明け渡した上で先鋒として出陣して行った。
接収した城で1日休んだ飛影軍は、飯富源四郎を裏切り組の総大将として分派した。
その上で自分達は清谷川を遡り、宇津城と宇津山城を奇襲した。
宇津頼重は油断していた。
飛影軍団が老ノ坂を越え、亀岡で派手な合戦をしていた為、次は八木城や屋賀城を攻めると思いこんでいた。
足利義輝の家臣だった蜷川親世や、細川晴元の家臣だった酒井三河守・酒井孫左衛門が、飛影軍団をおめおめと進撃させるとは思わなかったのだ。
結局宇津城と宇津山城は脆くも落城し、宇津一族は皆殺しになった。
結果として飛影軍団は、易々と船井郡に侵攻することが出来た。
これに慌てたのが、西部を支配下に置いている須知元秀だった。
急ぎ使者を送ってきて、降伏臣従を誓って須知城・豊田城・位田城を明け渡した。
しかしながら塩貝城の塩貝将監晴政と息子の晴道は、籠城して徹底抗戦の意思を示した。
飛影は須知元秀に先鋒を命じ、塩貝城を包囲するように命じた。
須知元秀が出陣して直ぐに、谷垣兵部・細見河内守・片山兵内・出野甚九郎・粟野久次・川勝光照も降伏臣従の挨拶にやって来た。
そこで彼らにも塩貝城を包囲するように命じた。
しかしここで、赤井直正・籾井教業・波多野秀治が、剽悍な丹波勢を率いて得意のゲリラ戦を仕掛けて来たのだ。
「足利義冬・細川氏綱・三好長慶・本願寺・尼子晴久など連合軍」
八木城:内藤宗勝(松永長頼)・内藤忠俊
宇津城主:宇津頼重・皇室御領を押領
屋賀城:荒木山城守
黒田城:森筑後守高之波多野方
新庄城:井上治部広政
蜷川城:蜷川親世・蜷川親長・蜷川貞栄・蜷川貞房、足利義輝家臣
数掛山城:波多野与兵衛尉秀親
滝ヶ嶺城:森美作守
猪倉城:中沢豊後守知綱
法貴山城:酒井三河守(細川晴元の家臣)
法貴山東城:酒井孫左衛門(細川晴元の家臣)
「途中で裏切る」
藁無城:内藤安芸守季行
滝ヶ嶺城:森美作守
猪倉城:中沢豊後守知綱
笑路城:長沢重綱
大村城:田中一族・信長に従う
宍人城:小畠太郎兵衛
埴生城:野々口西蔵坊清親・史実では信長と波多野氏を仲介
余部城:福井貞正
並河城:並河因幡守、並河兵庫介・並河易家
馬掘城:山田五兵衛
古世城:菱田介次郎
浄法寺城:渡辺美作守成道
穴太城:赤沢義政
「漁夫の利を狙い・丹波統一大名を目指す者」
八上城:波多野秀治
籾井城:籾井教業(丹波の青鬼)
黒井城:赤井直正(丹波の赤鬼)
「素直に降伏臣従した国衆」
須知元秀:須知城・豊田城・位田城
細見河内守:鎌谷南城・鎌谷城(細見山城守・細見長助)
谷垣兵部:井尻北城・井尻南城・井尻中城・坂井城
川勝光照:中村城・島城・今宮城
片山兵内:和知三人衆
出野甚九郎:和知三人衆
粟野久次:和知三人衆
「閣下、摂津方面軍団を丹波に攻め込ませてはいかがですか?」
「虎繁、近衛府軍の一部を大山崎や伏見に展開することは可能か?」
「大丈夫でございます。京を城砦化する為の人夫が、想定以上に沢山集まっております。何時でもその者を、足軽として使う事が出来ます」
「練度は落ちるが仕方ないな」
「錬度が落ちるとは申しましても、三好や北畠の足軽と同等でございいます。近衛府軍と比べれば見落としりますが、普通に役に立ちます」
「そうだな、ならば摂津方面軍団2万1000兵を丹波に攻め込ませるとして、後はどう考えているのだ?」
俺は幸隆に、他の手を説明するように水を向けた。
「越中国から加賀に攻め込まれた、姉小路軍団に加賀と越前の治安維持を御願いする事と、若狭方面軍団7000騎と1万2000兵に、丹波に攻め込んで頂くのは、以前説明させていただいた通りです」
「総計で4万だが、攻め切れるか? 丹波は攻めにくい土地ではないか?」
「はい、ですので海軍を総動員します」
「そうだな、尼子国久が敵に回った所為で、日本海航路の交易が制限されている。太平洋航路も瀬戸内を通ることが出来ず、土佐周りで行う事になっている。ここは海軍を使って、後方上陸作戦で敵を奇襲挟撃すべきだな」
「はい、東国と陸奥の平定は終わっております。治安維持の兵力を残して、残りは西国に回しましょう」
「それは少し待て」
「何故でございますか?」
「関東と東国の兵力は、開墾と治水に投入する。そうすれは、地侍や農民の支持を得る事が出来る。そうなれば国衆は、我らを支持する民の一揆を恐れて、主力軍を此方に引き上げても謀反出来なくなる」
「しかしそれでは、中国平定に時間が掛かってしまいますが?」
「構わん、今回は皇室の御領所を押領している、宇津頼重を攻め殺せればいい」
「左様でございますか、ですが大内義通様はどうなされます?」
「日本海艦隊からガレオン船を分派して、沖合航行して周防の和山城まで直行させる。そして大内義通殿を救出してもらう」
「それは! 出来ますでしょうか?」
「望遠鏡を使った直視と、羅針盤を使った計測航法と天測航法で大丈夫だ」
「閣下が申されるのなら大丈夫なのでしょうが、新造出来た南蛮船は10隻です。その内何隻をを派遣されるのですか?」
「10隻全部投入する、戦力の逐次投入は悪手だ。乗せれる限りの陸兵を、若狭方面軍団から分派せよ」
「総勢で3000兵は乗せれると思います。それだけの兵で奇襲する事が出来れば、大内義通様を救出することは可能でしょう」
「ではその手筈で進めてくれ。」
足利軍、いや、三好長慶軍と言うべきなのだろうが、彼らが南蛮から大量の大砲を購入出来るとは思わない。
思わないが、絶対大丈夫と言い切れるわけでもない。
だから三好長慶に時間を与えたくはないのだが、民を慰撫することを手抜きする訳にはいかない。
丹波宇津城:第3者視点
鷹司軍摂津方面軍団は、丹波方面軍団と改称された。
そして丹波口から侵攻を開始したが、丹波は混乱の極致となっていた。
鷹司卿からの調略に加え、親鷹司派の公家衆が血縁地縁を使い、調略の支援をしたのだ。
しかしその一方で、足利義冬・細川氏綱・三好長慶・本願寺・尼子晴久なども、反鷹司の国衆と地侍の手も借りて、中立の国衆と地侍を調略していった。
しかもここに、自主独立し大名にならんとする、野心家の国衆まで加わるのだ。
油断をすれば、味方にしたはずの国衆と地侍から、いつ背中を襲われるか分からない状態だった。
「飛影さま、右の林に内藤勢が潜んでおります。」
配下の影衆が、敵の潜む場所を逐一報告している。
これにより大型投石機と大型弩砲の攻撃が的確となっていた。
「分かった、投石隊発射準備!」
「は!」
丹波口を突破する為には、丹波守護代を務める内藤宗勝(松永長頼)を、最初に破らなければならなかった。
老ノ坂に陣地を築き待ち受ける内藤宗勝に対して、大量の大型投石機と大型弩砲による投石と十文字大竹射出で、面制圧を行い大損害を与えて突破した。
この攻撃を受け、仕方なく流れで参戦していた国衆は、内藤宗勝の元から離反した。
宗勝は居城の八木城まで戻ろうとするも、並河城主の並河因幡守を筆頭に、亀岡周辺の国衆と地侍が、命惜しさに宗勝を襲った。
この裏切り攻撃に、老ノ坂防衛戦で激減していた宗勝軍は壊乱し、内藤宗勝も首を取られる事になった。
「皆の者、入られませ」
「は!」
「並河易家殿、内藤宗勝殿の首を討ち取られたこと真に見事です。しかしながら、一旦味方すると決めた大将を裏切るのは、卑怯千万である! また逃げ首を討ったとて、武士として大した評価は与えられん。その事理解しておられるのか?!」
「は! 真に御恥ずかしい限りでございます。」
「よって今回の卑怯な裏切りによって得た首は、一切評価いたさん。寝返った国衆と地侍の城地は一旦預かり、今後の丹波攻めの働きで評価いたす。不服な者はこのまま城に帰り籠城なされるも、赤井家や波多野家を頼って落ちるのも自由じゃ。今日1日は追い討ちせぬゆえ、好きに為されよ」
飛影の叱責と怒りを受けて、亀岡周辺の国衆は狼狽した。
しかし噂に違わぬ鷹司軍の攻撃を受けて、丹波の軍勢に加わっても勝てない事は骨身に染みて理解した。
だがだからと言って、おめおめと城地を明け渡す事も出来なかった。
「猿渡様、1つお聞かせいただきたいのですが、よろしゅうございますか?」
そんな時、意を決した渡辺美作守成道が質問をした。
その顔には、何としても城地を守ろうとする、武士の執念がうかがえた。
「何でも聞きなされ」
「今後の戦いで、大将首や1番首を討ち取った場合は、城地を安堵していただけるのでしょうか」
「それは約束しよう。但し皇室御領や公家領を押領している所は、何があっても返してもらう」
「それは理解しております。それで功名が少ない場合は、いったいどうなるのですか?」
「鷹司卿の、国衆と地侍に対する恩賞は聞いているか?」
「はい、功名があった場合は城と半治を保証し、残り半知分を銭で支給し、近衛府や鎮守府に出仕させると御聞きしております」
「その通りだ、だが今回は一旦敵対した後で卑怯な裏切りをしたのだ、当然功名の条件は厳しくなる」
「どれくらいの知行を減らされる事になりますでしょうか?」
質問している渡辺美作守成道は勿論のこと、陣幕内にいる丹波国衆は、皆固唾を飲んで聞き入っている。
自分は勿論、一族郎党全ての生活が、いや、命すらこの答えにかかっているのだ。
「城地を召し上げて、半知分を銭で支給し近衛府に出仕してもらう場合もある。また2割知行分しか銭を支給せぬ場合もある。しかしながら、減らした分召し放ちしなければならない一族郎党は、希望するなら独立した武士や足軽として鷹司家で召し抱える」
「え?!」
「知らなかったのか? 鷹司家では、卑怯な行いをした国衆や大名を減知して、家臣を召し抱えることは禁じている。しかしながら、召し放ちされる者達は哀れである。そこで希望するなら、本人の力量に合せて1人の武士として、鷹司家の家臣として仕官してもらうのだ」
「真でございますか?!」
「この事なら天地神明に掛けて誓おう」
「ならば教えて頂きたい」
並河因幡守が顔を真っ赤にして、やっとの思いで質問を口にした。
「もし私に功名が足らず、半知分の銭しか支給して頂く事しかできず、ここにいる並河兵庫介と並河易家を召し放した場合、この2人を鷹司家の直臣として召し抱えて頂けるという事ですか?!」
「左様、しかしながら扶持は実力次第、血縁地縁は考慮されませんぞ」
「結構でございます。いえ、安心致しました」
陣幕内の緊張した空気が、一気に緩んだ。
これで何があろうと、一族郎党が路頭に迷い、野垂れ死にする事だけは無くなったのだ。
「そうか、それでは一旦城は明け渡してもらう。城には我らが入り、田畑の検地を行った上で、鷹司卿に敵対する者の城を攻めるが、国衆には先にその城を囲んでもらう。」
「「「「「承りました」」」」」
鷹司卿に寝返った国衆は、城を明け渡した上で先鋒として出陣して行った。
接収した城で1日休んだ飛影軍は、飯富源四郎を裏切り組の総大将として分派した。
その上で自分達は清谷川を遡り、宇津城と宇津山城を奇襲した。
宇津頼重は油断していた。
飛影軍団が老ノ坂を越え、亀岡で派手な合戦をしていた為、次は八木城や屋賀城を攻めると思いこんでいた。
足利義輝の家臣だった蜷川親世や、細川晴元の家臣だった酒井三河守・酒井孫左衛門が、飛影軍団をおめおめと進撃させるとは思わなかったのだ。
結局宇津城と宇津山城は脆くも落城し、宇津一族は皆殺しになった。
結果として飛影軍団は、易々と船井郡に侵攻することが出来た。
これに慌てたのが、西部を支配下に置いている須知元秀だった。
急ぎ使者を送ってきて、降伏臣従を誓って須知城・豊田城・位田城を明け渡した。
しかしながら塩貝城の塩貝将監晴政と息子の晴道は、籠城して徹底抗戦の意思を示した。
飛影は須知元秀に先鋒を命じ、塩貝城を包囲するように命じた。
須知元秀が出陣して直ぐに、谷垣兵部・細見河内守・片山兵内・出野甚九郎・粟野久次・川勝光照も降伏臣従の挨拶にやって来た。
そこで彼らにも塩貝城を包囲するように命じた。
しかしここで、赤井直正・籾井教業・波多野秀治が、剽悍な丹波勢を率いて得意のゲリラ戦を仕掛けて来たのだ。
「足利義冬・細川氏綱・三好長慶・本願寺・尼子晴久など連合軍」
八木城:内藤宗勝(松永長頼)・内藤忠俊
宇津城主:宇津頼重・皇室御領を押領
屋賀城:荒木山城守
黒田城:森筑後守高之波多野方
新庄城:井上治部広政
蜷川城:蜷川親世・蜷川親長・蜷川貞栄・蜷川貞房、足利義輝家臣
数掛山城:波多野与兵衛尉秀親
滝ヶ嶺城:森美作守
猪倉城:中沢豊後守知綱
法貴山城:酒井三河守(細川晴元の家臣)
法貴山東城:酒井孫左衛門(細川晴元の家臣)
「途中で裏切る」
藁無城:内藤安芸守季行
滝ヶ嶺城:森美作守
猪倉城:中沢豊後守知綱
笑路城:長沢重綱
大村城:田中一族・信長に従う
宍人城:小畠太郎兵衛
埴生城:野々口西蔵坊清親・史実では信長と波多野氏を仲介
余部城:福井貞正
並河城:並河因幡守、並河兵庫介・並河易家
馬掘城:山田五兵衛
古世城:菱田介次郎
浄法寺城:渡辺美作守成道
穴太城:赤沢義政
「漁夫の利を狙い・丹波統一大名を目指す者」
八上城:波多野秀治
籾井城:籾井教業(丹波の青鬼)
黒井城:赤井直正(丹波の赤鬼)
「素直に降伏臣従した国衆」
須知元秀:須知城・豊田城・位田城
細見河内守:鎌谷南城・鎌谷城(細見山城守・細見長助)
谷垣兵部:井尻北城・井尻南城・井尻中城・坂井城
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