転生武田義信
第85話調略戦
2月尾張:滝川一益視点
駄目だ、とてもじゃないが、清州城まで接近することはできない。将兵の損害なしに一向宗を排除して、これ以上進むのは不可能だ。
相応に一向宗を撃ち倒したが、火薬と弾の消費が激しい、ここで撤退するしか道はないのか?
いや、調略なら可能かもしれない。故郷(ふるさと)の甲賀は遠すぎて無理だが、信長に使捨てされた、尾張の国衆や地侍の遺族なら、調略に応じるかもしれない。
それに三河の松平に属する奴らも、当主不在で不安なはずだから、鷹司家から近衛府出仕の形で調略すれば、簡単に応じるかもしれない。
調略を仕掛けるのは、美濃・尾張・三河の境目の領主たちにしよう。織田弾正忠家と松平家で、常に争っていた品野3城を最初に説得してみよう。
方面軍司令官に任命して頂いたお陰で、影衆から情報を伝えてもらえるようになった。
それに甲賀出身の俺には、独自の情報網もある。それによれば、品野3城を守っている桜井松平家の松平清定は、父親の松平信定が、本家の松平広忠を岡崎城から追放して以来、常に松平本家と争っている。
恐らく松平清定は、自らが三河の盟主になると言う、野望を持っているだろう。
尾張落合城:松平清定・家次
尾張桑下城:長江景則・景隆
尾張品野城:酒井忠尚
酒井忠尚家臣:榊原長政・清政・康政
2月美濃稲葉山城:義信視点
「不破光治殿、氏家直元殿、稲葉良通殿、岩手忠誠殿、岩手重元殿、よくぞ参られた、諸将の参陣心よりうれしく思う」
「参陣が遅れ誠に申し訳ございません」
氏家直元が詫びを言ってきた。
「我ら国衆は力有る者に従うしかなく、仕方なく斉藤家に従っていたのです」
岩手忠誠が言い訳を言ってきた。
「我ら一同、これよりは鷹司卿に従い、近衛府の武士として働きとうございます」
稲葉良通が生き残りを懸けて勝負を掛けて来やがった。
前もって皆で相談して来たのだろうが、武田家の家臣でも鷹司家の家臣でもない、まして土岐家の家臣に戻りたくはないのだろう。だがこいつら、俺を馬鹿だと思っているのか?
それとも御人好しだと高を括っているのか?
こう出られると無性に腹が立つ!
少々戦局が苦しくなろうと攻め滅ぼしたくなる。
土岐に戻れば裏切り出戻りで立場が弱く、いつ取り潰されるか判らない。武田や鷹司の家臣でも後発で出世の見込みは少ない。
だが近衛府出仕なら、朝廷直結で自立独立の道が見込めると思ってやがる。
だが長屋や揖斐のような忠臣なら、朝廷の守りを任せられるが、テメ~ラみたいな小汚い奴らを、今上帝に近づけると思ってるのか!
「うむよう申した、しかしそれはできん! 揖斐光親殿や長屋景興殿の様に、忠誠のために己が命だけでなく、一族郎党の命すら懸けて戦った実績のある武士(もののふ)ならば、今上帝の護りを託せる。だが諸将の様に、忠誠よりも己が命を優先する者を、今上帝に近づける訳にはいかん! 汚らわしい! 出て失せろ!」
何か怒りだしたら、段々怒りが増してきて、歯止めが出来なく成って来た。拙(まず)いな、このままでは、俺たちの不利になろうと、国衆や地侍を攻め滅ぼす道しかなくなってしまう。ほんと拙(まず)いな、連戦連勝で、俺の心に驕(おご)りが出ているんだ。ここで討ち死にしない程度に頭を打たないと、俺が一族郎党を滅ぼしてしまうかもしれない。
「諸将は城に戻って、籠城するか逃げるか好きにするがよい、汚き者は焼き清める!」
「どうか、どうかお許しくださいませ! 我らが思い上がっておりました。我らのような卑俗で下賤な者が、近衛府出仕を願うなど不遜の極みでございました。これからは名を変え心を入れ替え、鷹司卿の下知に従い、武士として恥ずかしくない奉公をさせて頂きます。どうか御奉公を御許しください!」
岩手重元殿が必死で弁解してくる。
「名は何と変える心算じゃ?」
「竹中不忠と変えさせて頂く心算です」
こいつが竹中か!
だが年が合わないから、息子か一門の誰かが半兵衛に成るんだな。う~ん許さないと半兵衛が手に入らないな。だが此奴だけ許して、他を攻め滅ぼすわけにはいかんな。何時もの妥協点で他の者を決断させよう。
「竹中は認めるが、不忠まではあざと過ぎる! これからは竹中重元と名乗るがよい。だが決意は分かった、諸将には1度だけ機会を与えよう。城と知行地の半分を召し上げる。召し上げた分は、扶持として銭を支給する。家族には、甲斐の躑躅城で人質として暮らしてもらう。土岐家の家臣には戻りにくいだろうから、我の家臣とする。1日時間を与えるゆえ、この条件が飲めぬなら、城に帰って好きにするがよい。重元だけ残って他は出ていけ!」
重元だけを残して、諸将は近習衆に追い立てられるように出て行った。
「重元、先ほどの決意はよかった。其方だけ特別扱いはできぬゆえ、先ほどの条件は諸将と同じとする。だが子弟を小姓か近習に取り立てて、目を掛けてやろう、息子はいるのか?」
「有り難き御言葉を頂き、恐悦至極でございます。嫡男の源助は10歳でございます」
「元服させるなら、烏帽子親を務めてやろう。さすがにまだ偏諱を授けてやる訳にはいかぬから、名は重元が考えよ。」
「ま、ま、誠に有り難き幸せ、感謝の言葉もございません」
「うむ、他の諸将が怪しんではいかん、直ぐに出て行くがよかろう。諸将に何事があったと聞かれたら、人質の人選を聞かれていたとでも言うがよかろう」
「は! 御配慮感謝いたします」
重元が近習に急かされて出て行ったが、奴が付けてくる名前で、嫡男が竹中半兵衛がどうかが分かるだろう。
半兵衛が手に入るなら西美濃などどうでも好い、重元の一門が此方の味方につくなら、他の諸将が敵に回れば攻め滅ぼし、味方に成るなら使い潰すだけのこと。
さてさっきの問題点だが、前世での50年の記憶と経験があるにもかかわらず、怒りが抑えられない。単なる驕(おご)り高(たか)ぶりなら、心身の鍛錬で抑えれるようになるかもしれない。
だが戦国時代の荒波で、心身症の傾向が出ているなら問題だ、早めに対処療法を取っておかないと拙(まず)い!
他の可能性だが、純粋に若い身体の問題が考えられる。
第2次反抗期には遅い気もするが、幼い頃に切腹を恐れて信玄の機嫌を伺っていたので、今頃重度の反抗期が出てきているのか?
それとも血気盛んな若い身体が、無謀に走らせているのか?
若い身体が原因なら、適度な性処理が大切なる。特に命懸け戦場では、極度の精神抑圧状態に置かれるので、性衝動が激烈に襲ってくる。その状態で精神安定を計る方法として、小姓を抱く衆道は大切だったのだろうか?
だがこればかりは嫌だ!
衆道は絶対に受け入れられない!
だが今の俺の身分では、陣女郎を使う訳にはいかない、ならどうすべきか?
「飛影、最近俺は血気に逸り過ぎる嫌いがある。血気を抑えるのに、女を求めたいのだが、戦場にも同行できるくノ一はおらんか?」
「若殿の御身分で、くノ一を相手するのは問題がございます。小姓か近習から選ばれるのが妥当なのですが、矢張り嫌でございますか?」
「それだけは無理! 茜ちゃんたちを飛影の養女として側室にしたように、今度もくノ一を飛影の養女にして誤魔化そう」
「さすがにこれ以上私の養女だけを側室にしたら、譜代衆から文句が出ます。他の方の養女にしましょう」
「それなら問題はないのだな?」
「それでも問題が山積なのは、若殿が一番御存じでしょうに? まあ若殿が無理を言われる事は滅多にございませんから、極力御聞きさせて頂きます。今丁度滝川一益と木下藤吉郎が、調略の条件を確認してきております。落合城の松平清定と坪内光景に、くノ一を養女にして側室に差し出させましょう。私の娘を養女にして、若殿の側室の差し出したとなれば、鷹司家と二重に縁ができて、あの者たちも安心して軍門に降りましょう。男子ができれば、嗣養子に差し戻せば宜しゅうございます」
うんそれでいこう。
これで尾張と三河への足懸りができるし、俺の戦場での性処理もできる。なにより将来の秀吉を、実戦で育てるのに困っていたんだ。
今の藤吉郎の若さでは、史実みたいに川並衆を調略できるはずないけど、人誑しと言われた秀吉を育てて、外交要員にしたかったんだ。
影衆を後見人に付けたけど、俺が稲葉山城を攻略するまでは、全く何の成果もなかった。
まあ最初から無理な仕事だったけど、これくらい状況が動いて、俺と飛影が段取りしておけば、今度こそ調略が成功するだろう。
その成功の褒美として、秀吉に近習資格を与えた上で、足軽組の1つを任せればいい。弟の秀長を連れてくるかな?
将来が楽しみだね。
数日後に大問題が勃発した!
俺が飛影の娘(元難民で鍛え抜かれたくノ一)を、松平清定と坪内光景の養女にして側室にしたことで、土岐頼芸や美濃の国衆が一斉に側室の差出を打診して来た。
正直これには困った、戦地での側室は、特に信頼できる者しか務まらない。
今回側室にした紅と緑は、影の名前を与えていい位の使い手であり、容姿が少々俺の好みから外れていたから順番が遅れただけで、共に机を並べて学んだ側室兼奥護り候補だったのだ。
それにまだ今は、紅と緑は諏訪にいる。今後の準備と調略の必要性から、体裁だけ整えたに過ぎない。今この精神と身体の状況で、安全な城内で娘を差し出されたら、性欲を抑える自信がない。
「飛影、どうするべきだ?」
「今後御生まれになる御子たちに、若殿の種ではないと言う噂が立つ事だけは、絶対にあってはなりません。大内家はそう言う噂で、荒れに荒れております。今ここで無暗に美濃衆の娘に手を付ければ、甲斐の譜代衆が、嫉妬であらぬ噂を流すかもしれません。ここは節を曲げて、衆道を済まされませ」
「それだけは嫌だ! 絶対無理! 美濃衆には紅と緑は元々の側室候補で、松平清定と坪内光景と縁を結ぶために養女にしてもので、紅と緑は今も諏訪にいると申し聞かせよ。最初から側室としての受け入れは一切認めない、奥女中として人柄を確認した上で判断すると申し聞かせよ」
「しかし若殿、ならば側室候補を養女とさせて頂きたいと、申し入れがあった場合はどうなされます?」
「今はもう側室候補はいないと申せ」
「まだまだ沢山おるではないですか、嘘をつくと後々問題となりませんか?」
「しばらくは新しい妻妾は我慢する。当面6人もおれば十分じゃ。人質として送ってくる娘は、奥女中の受け入れで押し通せ」
「承りました」
2月尾張落合城:松平清定視点
「これが好機であろう! 三河の事を竹千代などに任せていたら、何時までも三河は今川の属国のままで、松平家も今川の家臣にされてしまう。今ここで儂が立って、今川の家臣どもを三河から追い出す!」
「それでこそ清定殿じゃ、いや殿様! この酒井忠尚は、殿のために奉公いたしますぞ!」
「忠尚殿、頼み置くぞ」
「それで殿、鷹司卿はどれほどの援軍を送って下さるのか?」
駄目だ、とてもじゃないが、清州城まで接近することはできない。将兵の損害なしに一向宗を排除して、これ以上進むのは不可能だ。
相応に一向宗を撃ち倒したが、火薬と弾の消費が激しい、ここで撤退するしか道はないのか?
いや、調略なら可能かもしれない。故郷(ふるさと)の甲賀は遠すぎて無理だが、信長に使捨てされた、尾張の国衆や地侍の遺族なら、調略に応じるかもしれない。
それに三河の松平に属する奴らも、当主不在で不安なはずだから、鷹司家から近衛府出仕の形で調略すれば、簡単に応じるかもしれない。
調略を仕掛けるのは、美濃・尾張・三河の境目の領主たちにしよう。織田弾正忠家と松平家で、常に争っていた品野3城を最初に説得してみよう。
方面軍司令官に任命して頂いたお陰で、影衆から情報を伝えてもらえるようになった。
それに甲賀出身の俺には、独自の情報網もある。それによれば、品野3城を守っている桜井松平家の松平清定は、父親の松平信定が、本家の松平広忠を岡崎城から追放して以来、常に松平本家と争っている。
恐らく松平清定は、自らが三河の盟主になると言う、野望を持っているだろう。
尾張落合城:松平清定・家次
尾張桑下城:長江景則・景隆
尾張品野城:酒井忠尚
酒井忠尚家臣:榊原長政・清政・康政
2月美濃稲葉山城:義信視点
「不破光治殿、氏家直元殿、稲葉良通殿、岩手忠誠殿、岩手重元殿、よくぞ参られた、諸将の参陣心よりうれしく思う」
「参陣が遅れ誠に申し訳ございません」
氏家直元が詫びを言ってきた。
「我ら国衆は力有る者に従うしかなく、仕方なく斉藤家に従っていたのです」
岩手忠誠が言い訳を言ってきた。
「我ら一同、これよりは鷹司卿に従い、近衛府の武士として働きとうございます」
稲葉良通が生き残りを懸けて勝負を掛けて来やがった。
前もって皆で相談して来たのだろうが、武田家の家臣でも鷹司家の家臣でもない、まして土岐家の家臣に戻りたくはないのだろう。だがこいつら、俺を馬鹿だと思っているのか?
それとも御人好しだと高を括っているのか?
こう出られると無性に腹が立つ!
少々戦局が苦しくなろうと攻め滅ぼしたくなる。
土岐に戻れば裏切り出戻りで立場が弱く、いつ取り潰されるか判らない。武田や鷹司の家臣でも後発で出世の見込みは少ない。
だが近衛府出仕なら、朝廷直結で自立独立の道が見込めると思ってやがる。
だが長屋や揖斐のような忠臣なら、朝廷の守りを任せられるが、テメ~ラみたいな小汚い奴らを、今上帝に近づけると思ってるのか!
「うむよう申した、しかしそれはできん! 揖斐光親殿や長屋景興殿の様に、忠誠のために己が命だけでなく、一族郎党の命すら懸けて戦った実績のある武士(もののふ)ならば、今上帝の護りを託せる。だが諸将の様に、忠誠よりも己が命を優先する者を、今上帝に近づける訳にはいかん! 汚らわしい! 出て失せろ!」
何か怒りだしたら、段々怒りが増してきて、歯止めが出来なく成って来た。拙(まず)いな、このままでは、俺たちの不利になろうと、国衆や地侍を攻め滅ぼす道しかなくなってしまう。ほんと拙(まず)いな、連戦連勝で、俺の心に驕(おご)りが出ているんだ。ここで討ち死にしない程度に頭を打たないと、俺が一族郎党を滅ぼしてしまうかもしれない。
「諸将は城に戻って、籠城するか逃げるか好きにするがよい、汚き者は焼き清める!」
「どうか、どうかお許しくださいませ! 我らが思い上がっておりました。我らのような卑俗で下賤な者が、近衛府出仕を願うなど不遜の極みでございました。これからは名を変え心を入れ替え、鷹司卿の下知に従い、武士として恥ずかしくない奉公をさせて頂きます。どうか御奉公を御許しください!」
岩手重元殿が必死で弁解してくる。
「名は何と変える心算じゃ?」
「竹中不忠と変えさせて頂く心算です」
こいつが竹中か!
だが年が合わないから、息子か一門の誰かが半兵衛に成るんだな。う~ん許さないと半兵衛が手に入らないな。だが此奴だけ許して、他を攻め滅ぼすわけにはいかんな。何時もの妥協点で他の者を決断させよう。
「竹中は認めるが、不忠まではあざと過ぎる! これからは竹中重元と名乗るがよい。だが決意は分かった、諸将には1度だけ機会を与えよう。城と知行地の半分を召し上げる。召し上げた分は、扶持として銭を支給する。家族には、甲斐の躑躅城で人質として暮らしてもらう。土岐家の家臣には戻りにくいだろうから、我の家臣とする。1日時間を与えるゆえ、この条件が飲めぬなら、城に帰って好きにするがよい。重元だけ残って他は出ていけ!」
重元だけを残して、諸将は近習衆に追い立てられるように出て行った。
「重元、先ほどの決意はよかった。其方だけ特別扱いはできぬゆえ、先ほどの条件は諸将と同じとする。だが子弟を小姓か近習に取り立てて、目を掛けてやろう、息子はいるのか?」
「有り難き御言葉を頂き、恐悦至極でございます。嫡男の源助は10歳でございます」
「元服させるなら、烏帽子親を務めてやろう。さすがにまだ偏諱を授けてやる訳にはいかぬから、名は重元が考えよ。」
「ま、ま、誠に有り難き幸せ、感謝の言葉もございません」
「うむ、他の諸将が怪しんではいかん、直ぐに出て行くがよかろう。諸将に何事があったと聞かれたら、人質の人選を聞かれていたとでも言うがよかろう」
「は! 御配慮感謝いたします」
重元が近習に急かされて出て行ったが、奴が付けてくる名前で、嫡男が竹中半兵衛がどうかが分かるだろう。
半兵衛が手に入るなら西美濃などどうでも好い、重元の一門が此方の味方につくなら、他の諸将が敵に回れば攻め滅ぼし、味方に成るなら使い潰すだけのこと。
さてさっきの問題点だが、前世での50年の記憶と経験があるにもかかわらず、怒りが抑えられない。単なる驕(おご)り高(たか)ぶりなら、心身の鍛錬で抑えれるようになるかもしれない。
だが戦国時代の荒波で、心身症の傾向が出ているなら問題だ、早めに対処療法を取っておかないと拙(まず)い!
他の可能性だが、純粋に若い身体の問題が考えられる。
第2次反抗期には遅い気もするが、幼い頃に切腹を恐れて信玄の機嫌を伺っていたので、今頃重度の反抗期が出てきているのか?
それとも血気盛んな若い身体が、無謀に走らせているのか?
若い身体が原因なら、適度な性処理が大切なる。特に命懸け戦場では、極度の精神抑圧状態に置かれるので、性衝動が激烈に襲ってくる。その状態で精神安定を計る方法として、小姓を抱く衆道は大切だったのだろうか?
だがこればかりは嫌だ!
衆道は絶対に受け入れられない!
だが今の俺の身分では、陣女郎を使う訳にはいかない、ならどうすべきか?
「飛影、最近俺は血気に逸り過ぎる嫌いがある。血気を抑えるのに、女を求めたいのだが、戦場にも同行できるくノ一はおらんか?」
「若殿の御身分で、くノ一を相手するのは問題がございます。小姓か近習から選ばれるのが妥当なのですが、矢張り嫌でございますか?」
「それだけは無理! 茜ちゃんたちを飛影の養女として側室にしたように、今度もくノ一を飛影の養女にして誤魔化そう」
「さすがにこれ以上私の養女だけを側室にしたら、譜代衆から文句が出ます。他の方の養女にしましょう」
「それなら問題はないのだな?」
「それでも問題が山積なのは、若殿が一番御存じでしょうに? まあ若殿が無理を言われる事は滅多にございませんから、極力御聞きさせて頂きます。今丁度滝川一益と木下藤吉郎が、調略の条件を確認してきております。落合城の松平清定と坪内光景に、くノ一を養女にして側室に差し出させましょう。私の娘を養女にして、若殿の側室の差し出したとなれば、鷹司家と二重に縁ができて、あの者たちも安心して軍門に降りましょう。男子ができれば、嗣養子に差し戻せば宜しゅうございます」
うんそれでいこう。
これで尾張と三河への足懸りができるし、俺の戦場での性処理もできる。なにより将来の秀吉を、実戦で育てるのに困っていたんだ。
今の藤吉郎の若さでは、史実みたいに川並衆を調略できるはずないけど、人誑しと言われた秀吉を育てて、外交要員にしたかったんだ。
影衆を後見人に付けたけど、俺が稲葉山城を攻略するまでは、全く何の成果もなかった。
まあ最初から無理な仕事だったけど、これくらい状況が動いて、俺と飛影が段取りしておけば、今度こそ調略が成功するだろう。
その成功の褒美として、秀吉に近習資格を与えた上で、足軽組の1つを任せればいい。弟の秀長を連れてくるかな?
将来が楽しみだね。
数日後に大問題が勃発した!
俺が飛影の娘(元難民で鍛え抜かれたくノ一)を、松平清定と坪内光景の養女にして側室にしたことで、土岐頼芸や美濃の国衆が一斉に側室の差出を打診して来た。
正直これには困った、戦地での側室は、特に信頼できる者しか務まらない。
今回側室にした紅と緑は、影の名前を与えていい位の使い手であり、容姿が少々俺の好みから外れていたから順番が遅れただけで、共に机を並べて学んだ側室兼奥護り候補だったのだ。
それにまだ今は、紅と緑は諏訪にいる。今後の準備と調略の必要性から、体裁だけ整えたに過ぎない。今この精神と身体の状況で、安全な城内で娘を差し出されたら、性欲を抑える自信がない。
「飛影、どうするべきだ?」
「今後御生まれになる御子たちに、若殿の種ではないと言う噂が立つ事だけは、絶対にあってはなりません。大内家はそう言う噂で、荒れに荒れております。今ここで無暗に美濃衆の娘に手を付ければ、甲斐の譜代衆が、嫉妬であらぬ噂を流すかもしれません。ここは節を曲げて、衆道を済まされませ」
「それだけは嫌だ! 絶対無理! 美濃衆には紅と緑は元々の側室候補で、松平清定と坪内光景と縁を結ぶために養女にしてもので、紅と緑は今も諏訪にいると申し聞かせよ。最初から側室としての受け入れは一切認めない、奥女中として人柄を確認した上で判断すると申し聞かせよ」
「しかし若殿、ならば側室候補を養女とさせて頂きたいと、申し入れがあった場合はどうなされます?」
「今はもう側室候補はいないと申せ」
「まだまだ沢山おるではないですか、嘘をつくと後々問題となりませんか?」
「しばらくは新しい妻妾は我慢する。当面6人もおれば十分じゃ。人質として送ってくる娘は、奥女中の受け入れで押し通せ」
「承りました」
2月尾張落合城:松平清定視点
「これが好機であろう! 三河の事を竹千代などに任せていたら、何時までも三河は今川の属国のままで、松平家も今川の家臣にされてしまう。今ここで儂が立って、今川の家臣どもを三河から追い出す!」
「それでこそ清定殿じゃ、いや殿様! この酒井忠尚は、殿のために奉公いたしますぞ!」
「忠尚殿、頼み置くぞ」
「それで殿、鷹司卿はどれほどの援軍を送って下さるのか?」
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