転生武田義信
第37話攻防2
7月11日深夜:淡路城外:神田将監視点
今夜も兵馬に枚(ばい)を銜(ふく)ませ、私語や嘶(いななき)を防いで淡路城に近づいた。昨夜の経験を生かし、番犬の索敵圏と思われる距離の外で火の準備をした。1日で十分な対応をできるとも思えないが、敵を甘く見て負けるなど許されない。兵力で劣る我が小笠原勢は、常に勝ち続けないといけないのだ!
「うぉ~ん、うぉ~ん、うぉ~ん」
ちぃ、この距離で番犬が反応するか!
「突撃!」
「止まれ!」
「射よ!」
等間隔に隊列を組んだ300騎は、両脚と弓を持った左手で馬を操り淡路城に肉薄した。馬を停止した後、等間隔で城内に火矢を射かけた。そして城外を巡りつつ、次々と火矢を射かけていった。最初の1斉射は全周囲に火矢を射かけたが、2射目からは、俺が射かけた目標を集中的に狙わせる。これによって、城兵を消火に分散させた後で、1つの目標に集中的に火矢を射かけ、確実に炎上させる。
淡路城内:第3者視点
「うぉ~ん、うぉ~ん、うぉ~ん」
「敵襲~! 敵襲~! 敵襲~!」
「起きよ~! 起きよ~! 起きよ~!」
城代は、床几(しょうぎ)に腰かけて徹夜で夜襲に備えていた。昨夜の奇禍(きか)によって、降伏して武田に味方した信濃衆は、城代に返り咲き元の城に戻れた。代官として領地の支配権がない一時的な城代だが、それでも再び手にした城代の名誉を2度と手放したくはない。何としても護り抜く!
「火を消せ~! 消火隊急げ~!」
城代は夜襲に備えて、あらかじめ大量の水桶(みずおけ)を用意していた。消火隊長に任命されていた、足軽槍組大将が素早く消火に掛かる。小屋や長屋に刺さった火矢を槍で叩き落し、火が出たところには水を掛け、空いた桶(おけ)は素早く井戸の水を補充する。
「弓隊! 構え~い! 放て~!」
城代の命を受けて、実際の指揮を足軽弓組大将の川部時貞(かわべときさだ)が執る。善信が鍛え上げた弓隊が、面制圧射撃で1騎ずつ確実に敵を傷つけていく。闇夜に火を持った敵だ、狙いを付けるのは容易(たやす)い。だが等間隔に広がる敵を、各個に狙っては確実さに欠ける。だから1騎の敵を100の矢で狙い、確実に戦力を削いでいくのだ。この弓隊は善信が付けた援軍だ。櫛置勢の元城代が淡路城に戻った時、手勢が少なかったための措置だ。城代は城内を知り尽くしたもともとの手勢を消火隊とし、援軍の弓隊を迎撃部隊にしたのだ。
淡路城外:神田将監視点
「うっ!」
「ヒィヒィ~ン! ドォ~ン!」
ちっ!
対応が早いな、わずか1日で夜襲対する備えを諸城に徹底させたのか?
善信は想像以上の能力があるのか?
だがどうする、眼に見える戦果をあげ続けてなければ、味方の戦意を維持するのは難しい。何としても戦果をあげるために、馬を止めて射かけて、確実に城を炎上させるべきか?
だがそれでは味方の被害も拡大する。戦力で劣る我ら小笠原勢は、1兵でも損耗は抑えなければならん。どうする?
落馬した者はいまだ2騎、まだやれる、このまま続けよう!
「けがをした者は、落馬した者を助けて射程外へ出よ!」
淡路城内:第3者視点
「壊せ~! 倒せ~! 倒して延焼を防げ~!」
ついに長屋の一つが炎上し、闇夜に赤々と紅蓮(ぐれん)の炎を上げている。屋根の上に火矢が刺さり、消火に手間取ってしまったのだ。杮葺(こけらぶき)の屋根では、少しでも消火に時間が掛かると、あっという間に燃え広がってしまうのだ。消火隊長は破壊消火(はかいしょうか)を決意した。燃え上がった長屋の近くや風下の建物などを壊し、炎との間に十分な空間を作ることで、延焼を防ぐ方法を取ったのだ。
淡路城外:神田将監視点
よし!
3カ所炎上させたぞ、これで味方の戦意は維持できる。だがこれほど苦戦するとは思わなかった。善信を侮(あなど)るべからず!
明晩の夜襲先と方法は、余程熟考しないと手酷(てひど)いしっぺ返しを喰らわされるかもしれん!
夜襲に成功した以上、これ以上の損害を出さないようにして、確実に小笠原勢の勝利を印象付けないとないけない。
「射程外に出よ~!」
「勝ったぞ~! 我らの勝じゃ~!」
「勝鬨(かちどき)をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
淡路城内:城代視点
「勝鬨(かちどき)をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
糞!
勝鬨を挙げやがった!
どうする?
このままでは俺は斬首になっちまう。長屋と小屋を焼かれてしまい、延焼を防ぐために多数の建物を壊してしまった!
これではとても言い逃れはできまい。命あっての物種だ、逃げるか?
いっそ小笠原勢に味方するか?
「城代殿、我らも勝鬨(かちどき)をあげましょう!」
足軽弓隊を率いていた川部時貞が城代に声を掛けた。
「へ? 勝鬨?」
「我らは敵を撃退して城を守り切ったのです、勝鬨を挙げて当然です!」
どう言う意味だ?
援軍の足軽大将が勝ちを認めたのか?
こやつは監軍同然の武田の家臣、勝鬨をあげろと言うからには、俺の処罰はしないと言う謎賭けか?
まあいい、援軍の大将が勝ちを認めたのなら、その栄誉と名声は頂くとしよう。さて幾らくらい恩賞を頂けるかな!
淡路城内:川部時貞視点
愚かな奴だ、逃亡か寝返りか呻吟(しんぎん)しているのが表情に現れていた。あらかじめ善信様からは、落城しない限り敵が撤退したら、勝鬨をあげて勝利を印象付けよと指示を受けていたのだ!
このような馬鹿を率いねばならぬ善信様は大変だな。これからも我ら河原者と山窩で、善信様を支えていかねばならぬ!
我らの安住の地、我らの国を何としても手に入れる!
「敵は逃げていったぞ~! 我らの勝じゃ~!」
「勝鬨をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
7月12日夜明け前:村井城(小屋館)の大広間
「淡路城が敵の夜襲を受けました!」
淡路城からの伝令が、息も絶え絶えに入って来た。
「城はどうなった!」
楠浦虎常が素早く問う。
「守り切りました、敵は我らを恐れ逃げていきました!」
「損害は!」
漆戸虎光が聞く。
「長屋と小屋を3カ所焼かれ、延焼を防ぐため9つの長屋と小屋を壊しました」
伝令は怖気(おじけ)る事なく堂々と答える。あらかじめ川部時貞に言い含めていた策の効果だろう。
「でかした! よくぞ報告を届けてくれた、この者に湯茶と食事を与え休ませよ」
淡路城からの伝令は、近習に連れられ出て行った。
「皆の者、聞いての通りじゃ! 敵もさる者、予想通り連夜の夜襲を掛けて来た。だが我らも手をこまねいていた訳ではない、淡路城の者どもは見事に敵を撃退して勝利を手にした。我らも負けずに林城を攻め取るぞ! 出陣~ん!」
「「「「「応(おう)ー!」」」」」
林城攻略のため大広間に集まり、出陣の準備をしていた諸将が応じた。
「林城攻略部隊」
総大将 :武田義信
副将 :松尾信是
軍師 :鮎川善繁
相談役 :楠浦虎常・漆戸虎光
侍大将 :加津野昌世・米倉重継・於曾信安・板垣信憲
足軽大将:狗賓善狼・市川昌房
武将 :酒依昌光・板垣信廣・花岡善秋・有賀善内・武居善種・金刺善悦・矢崎善且・小坂善蔵・田上善親・田村善忠・三村長親・守矢頼真など
林城攻略に向かった兵力は8200兵
続々と集まる足軽を加えて、足軽槍組を新設した軍の内訳は以下の通り。
諏訪扶持武士団:1100兵
伊那扶持武士団:1800兵
弓組足軽 :800兵
槍組足軽 : 500兵
工夫兵 :4000兵
攻略した城砦には以下の手勢を残した。
埴原城:三村長親勢
尾池城:諏訪満隆勢
福応館:福山善沖勢
丸山館:丸山善知勢
殿館 :殿勢
浅田城:千野靭負尉勢
淡路城:櫛置勢城代
櫛木城:櫛置当主
波多山城:櫛置家城代
村井城(小屋館):諏訪満隣勢
後詰として、花岡城に配置した小人兵団3000兵は切り札と成るかもしれない。
花岡城:小人兵団3000兵
7月12日払暁:林小城(福山城 )の城外
林城(林大城)には2つに支城がある。1つは林小城で、林大城から大嵩崎集落のある谷を隔てて西側の尾根に築かれている。1つは水番城で、林城の水之手を守るための支城だ。橋倉集落を挟んで東にあり、北へ伸びた尾根に築かれている。俺は小笠原軍に背後を奇襲されるのが怖かった。だから小笠原一族の菩提寺(ぼだいじ)である広沢寺に本陣を置き、手前から林小城・林大城・水番城と並ぶようにして攻め掛けた。
「放て~!」
俺は林小城の出入り口4か所に、敵の出撃に備えて、それぞれ1000の工夫兵を置いた。小笠原勢が討って出てきた時は、この4000兵で迎え撃つのだ。その上で、林小城を全周囲から攻めた。弓を使える扶持武士と弓足軽3隊は、全員で矢を射かけた。徒武者は突撃した。
「降伏せよ~! 降伏した者は召し抱えるぞ~! 降伏した者は召し抱えるぞ~!」
林小城の城代は、急ぎ狼煙(のろし)を上げて林城(林大城)に襲撃を知らせた。林城からの援軍次第では、守り切れるかもしれないと考えたのだろう。神田将監の夜襲の勝利で意気上がる城兵たちは、少人数にもかかわらず、頑強に抵抗した。
林城(林大城)の大広間:第3者視点
「御屋形様! 小城から狼煙(のろし)が上がっております!」
常に物見櫓(ものみやぐら)につめ、支城から狼煙が上がるのを注視している物見兵が、緊急事態を知らせるたにかけ込んで来た。
「敵襲か! 武田の小倅(こせがら)か?」
小笠原長時が問い返す。
「恐らく」
「援軍に向かう、兵を整えよ!」
小笠原長時は出陣を決意し、急ぎ準備を始めたが、援軍は間に合うのだろうか?
善信が城攻めに手間取れば背後を盗り、林小城の手勢と挟み撃ちにできるかもしれない。そうなれば圧倒的に有利になり、少々の兵力差など問題ではなくなる。そのためには一刻の猶予もない、一分一秒が勝敗を左右する!
「いそげぇ~い!」
今夜も兵馬に枚(ばい)を銜(ふく)ませ、私語や嘶(いななき)を防いで淡路城に近づいた。昨夜の経験を生かし、番犬の索敵圏と思われる距離の外で火の準備をした。1日で十分な対応をできるとも思えないが、敵を甘く見て負けるなど許されない。兵力で劣る我が小笠原勢は、常に勝ち続けないといけないのだ!
「うぉ~ん、うぉ~ん、うぉ~ん」
ちぃ、この距離で番犬が反応するか!
「突撃!」
「止まれ!」
「射よ!」
等間隔に隊列を組んだ300騎は、両脚と弓を持った左手で馬を操り淡路城に肉薄した。馬を停止した後、等間隔で城内に火矢を射かけた。そして城外を巡りつつ、次々と火矢を射かけていった。最初の1斉射は全周囲に火矢を射かけたが、2射目からは、俺が射かけた目標を集中的に狙わせる。これによって、城兵を消火に分散させた後で、1つの目標に集中的に火矢を射かけ、確実に炎上させる。
淡路城内:第3者視点
「うぉ~ん、うぉ~ん、うぉ~ん」
「敵襲~! 敵襲~! 敵襲~!」
「起きよ~! 起きよ~! 起きよ~!」
城代は、床几(しょうぎ)に腰かけて徹夜で夜襲に備えていた。昨夜の奇禍(きか)によって、降伏して武田に味方した信濃衆は、城代に返り咲き元の城に戻れた。代官として領地の支配権がない一時的な城代だが、それでも再び手にした城代の名誉を2度と手放したくはない。何としても護り抜く!
「火を消せ~! 消火隊急げ~!」
城代は夜襲に備えて、あらかじめ大量の水桶(みずおけ)を用意していた。消火隊長に任命されていた、足軽槍組大将が素早く消火に掛かる。小屋や長屋に刺さった火矢を槍で叩き落し、火が出たところには水を掛け、空いた桶(おけ)は素早く井戸の水を補充する。
「弓隊! 構え~い! 放て~!」
城代の命を受けて、実際の指揮を足軽弓組大将の川部時貞(かわべときさだ)が執る。善信が鍛え上げた弓隊が、面制圧射撃で1騎ずつ確実に敵を傷つけていく。闇夜に火を持った敵だ、狙いを付けるのは容易(たやす)い。だが等間隔に広がる敵を、各個に狙っては確実さに欠ける。だから1騎の敵を100の矢で狙い、確実に戦力を削いでいくのだ。この弓隊は善信が付けた援軍だ。櫛置勢の元城代が淡路城に戻った時、手勢が少なかったための措置だ。城代は城内を知り尽くしたもともとの手勢を消火隊とし、援軍の弓隊を迎撃部隊にしたのだ。
淡路城外:神田将監視点
「うっ!」
「ヒィヒィ~ン! ドォ~ン!」
ちっ!
対応が早いな、わずか1日で夜襲対する備えを諸城に徹底させたのか?
善信は想像以上の能力があるのか?
だがどうする、眼に見える戦果をあげ続けてなければ、味方の戦意を維持するのは難しい。何としても戦果をあげるために、馬を止めて射かけて、確実に城を炎上させるべきか?
だがそれでは味方の被害も拡大する。戦力で劣る我ら小笠原勢は、1兵でも損耗は抑えなければならん。どうする?
落馬した者はいまだ2騎、まだやれる、このまま続けよう!
「けがをした者は、落馬した者を助けて射程外へ出よ!」
淡路城内:第3者視点
「壊せ~! 倒せ~! 倒して延焼を防げ~!」
ついに長屋の一つが炎上し、闇夜に赤々と紅蓮(ぐれん)の炎を上げている。屋根の上に火矢が刺さり、消火に手間取ってしまったのだ。杮葺(こけらぶき)の屋根では、少しでも消火に時間が掛かると、あっという間に燃え広がってしまうのだ。消火隊長は破壊消火(はかいしょうか)を決意した。燃え上がった長屋の近くや風下の建物などを壊し、炎との間に十分な空間を作ることで、延焼を防ぐ方法を取ったのだ。
淡路城外:神田将監視点
よし!
3カ所炎上させたぞ、これで味方の戦意は維持できる。だがこれほど苦戦するとは思わなかった。善信を侮(あなど)るべからず!
明晩の夜襲先と方法は、余程熟考しないと手酷(てひど)いしっぺ返しを喰らわされるかもしれん!
夜襲に成功した以上、これ以上の損害を出さないようにして、確実に小笠原勢の勝利を印象付けないとないけない。
「射程外に出よ~!」
「勝ったぞ~! 我らの勝じゃ~!」
「勝鬨(かちどき)をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
淡路城内:城代視点
「勝鬨(かちどき)をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
糞!
勝鬨を挙げやがった!
どうする?
このままでは俺は斬首になっちまう。長屋と小屋を焼かれてしまい、延焼を防ぐために多数の建物を壊してしまった!
これではとても言い逃れはできまい。命あっての物種だ、逃げるか?
いっそ小笠原勢に味方するか?
「城代殿、我らも勝鬨(かちどき)をあげましょう!」
足軽弓隊を率いていた川部時貞が城代に声を掛けた。
「へ? 勝鬨?」
「我らは敵を撃退して城を守り切ったのです、勝鬨を挙げて当然です!」
どう言う意味だ?
援軍の足軽大将が勝ちを認めたのか?
こやつは監軍同然の武田の家臣、勝鬨をあげろと言うからには、俺の処罰はしないと言う謎賭けか?
まあいい、援軍の大将が勝ちを認めたのなら、その栄誉と名声は頂くとしよう。さて幾らくらい恩賞を頂けるかな!
淡路城内:川部時貞視点
愚かな奴だ、逃亡か寝返りか呻吟(しんぎん)しているのが表情に現れていた。あらかじめ善信様からは、落城しない限り敵が撤退したら、勝鬨をあげて勝利を印象付けよと指示を受けていたのだ!
このような馬鹿を率いねばならぬ善信様は大変だな。これからも我ら河原者と山窩で、善信様を支えていかねばならぬ!
我らの安住の地、我らの国を何としても手に入れる!
「敵は逃げていったぞ~! 我らの勝じゃ~!」
「勝鬨をあげよ! えい、えい、えい」
「応(おう)ー!」
7月12日夜明け前:村井城(小屋館)の大広間
「淡路城が敵の夜襲を受けました!」
淡路城からの伝令が、息も絶え絶えに入って来た。
「城はどうなった!」
楠浦虎常が素早く問う。
「守り切りました、敵は我らを恐れ逃げていきました!」
「損害は!」
漆戸虎光が聞く。
「長屋と小屋を3カ所焼かれ、延焼を防ぐため9つの長屋と小屋を壊しました」
伝令は怖気(おじけ)る事なく堂々と答える。あらかじめ川部時貞に言い含めていた策の効果だろう。
「でかした! よくぞ報告を届けてくれた、この者に湯茶と食事を与え休ませよ」
淡路城からの伝令は、近習に連れられ出て行った。
「皆の者、聞いての通りじゃ! 敵もさる者、予想通り連夜の夜襲を掛けて来た。だが我らも手をこまねいていた訳ではない、淡路城の者どもは見事に敵を撃退して勝利を手にした。我らも負けずに林城を攻め取るぞ! 出陣~ん!」
「「「「「応(おう)ー!」」」」」
林城攻略のため大広間に集まり、出陣の準備をしていた諸将が応じた。
「林城攻略部隊」
総大将 :武田義信
副将 :松尾信是
軍師 :鮎川善繁
相談役 :楠浦虎常・漆戸虎光
侍大将 :加津野昌世・米倉重継・於曾信安・板垣信憲
足軽大将:狗賓善狼・市川昌房
武将 :酒依昌光・板垣信廣・花岡善秋・有賀善内・武居善種・金刺善悦・矢崎善且・小坂善蔵・田上善親・田村善忠・三村長親・守矢頼真など
林城攻略に向かった兵力は8200兵
続々と集まる足軽を加えて、足軽槍組を新設した軍の内訳は以下の通り。
諏訪扶持武士団:1100兵
伊那扶持武士団:1800兵
弓組足軽 :800兵
槍組足軽 : 500兵
工夫兵 :4000兵
攻略した城砦には以下の手勢を残した。
埴原城:三村長親勢
尾池城:諏訪満隆勢
福応館:福山善沖勢
丸山館:丸山善知勢
殿館 :殿勢
浅田城:千野靭負尉勢
淡路城:櫛置勢城代
櫛木城:櫛置当主
波多山城:櫛置家城代
村井城(小屋館):諏訪満隣勢
後詰として、花岡城に配置した小人兵団3000兵は切り札と成るかもしれない。
花岡城:小人兵団3000兵
7月12日払暁:林小城(福山城 )の城外
林城(林大城)には2つに支城がある。1つは林小城で、林大城から大嵩崎集落のある谷を隔てて西側の尾根に築かれている。1つは水番城で、林城の水之手を守るための支城だ。橋倉集落を挟んで東にあり、北へ伸びた尾根に築かれている。俺は小笠原軍に背後を奇襲されるのが怖かった。だから小笠原一族の菩提寺(ぼだいじ)である広沢寺に本陣を置き、手前から林小城・林大城・水番城と並ぶようにして攻め掛けた。
「放て~!」
俺は林小城の出入り口4か所に、敵の出撃に備えて、それぞれ1000の工夫兵を置いた。小笠原勢が討って出てきた時は、この4000兵で迎え撃つのだ。その上で、林小城を全周囲から攻めた。弓を使える扶持武士と弓足軽3隊は、全員で矢を射かけた。徒武者は突撃した。
「降伏せよ~! 降伏した者は召し抱えるぞ~! 降伏した者は召し抱えるぞ~!」
林小城の城代は、急ぎ狼煙(のろし)を上げて林城(林大城)に襲撃を知らせた。林城からの援軍次第では、守り切れるかもしれないと考えたのだろう。神田将監の夜襲の勝利で意気上がる城兵たちは、少人数にもかかわらず、頑強に抵抗した。
林城(林大城)の大広間:第3者視点
「御屋形様! 小城から狼煙(のろし)が上がっております!」
常に物見櫓(ものみやぐら)につめ、支城から狼煙が上がるのを注視している物見兵が、緊急事態を知らせるたにかけ込んで来た。
「敵襲か! 武田の小倅(こせがら)か?」
小笠原長時が問い返す。
「恐らく」
「援軍に向かう、兵を整えよ!」
小笠原長時は出陣を決意し、急ぎ準備を始めたが、援軍は間に合うのだろうか?
善信が城攻めに手間取れば背後を盗り、林小城の手勢と挟み撃ちにできるかもしれない。そうなれば圧倒的に有利になり、少々の兵力差など問題ではなくなる。そのためには一刻の猶予もない、一分一秒が勝敗を左右する!
「いそげぇ~い!」
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