「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第8話

私は、月神コンス様の許可を受けて、王宮に入り込みました。
月神コンス様は、ウォーターフォード王家を見捨てたのです。
もちろん多くの貴族士族も見捨てられました。
当然ですが腐敗した月神殿も同じです。
彼らは愚かすぎます。
罪人に制裁を与えるコンス様と契約しながら、罪を重ねたのですから。

だから月神コンス様は、私に多くの加護を与えてくださり、王族と貴族と神官関係者を処刑して生贄に捧げるように、直接命じて下さったのです。
その期待には応えなければいけません。
同時に、仲間だった犯罪者ギルド、暗殺者ギルドを守らなければいけません。
月神コンス様が制裁を下されないようにしなければいけません。
私がそこまで頭で考えられたわけではありません。
心で感じた事を拙い表現でお頭に伝え、お頭が皆に分かり易くして伝えてくれたのです。

まずは仲間を動員して王宮に侵入したのです。
常に月神コンス様の怒りを買わないように、厳格な定めを作って暗殺していましたから、その技は王家の護りを易々と突破できました。
まあ、月神コンス様の護りが無効になっていた事と、私が加護を与えた事が大きく影響していたのは確かです。

王家に連なる者は、情け容赦せずに殺しました。
普段なら見逃す女子供も、月神コンス様の厳命で殺しました。
月神コンス様のお話では、王族は根絶やしにしなければいけないのだそうです。
普段厳守している破る事には複雑な心境でしたが、月神コンス様の命令を逆らう訳にはいきませんから、断じて行いました。
次にベレスフォード公爵家を皆殺しにして、三番目に神殿関係者を皆殺しにしましたが、これで貴族士族は状況に気が付き、慌てて国から逃げ出そうとしました。

ですが、逃がすような私達ではありません。
国境を越える前に、月神コンス様に命じられた貴族士族は皆殺しにしました。
ですがそれで終わりではありませんでした。
仲間を殺せという神命が下されたのです。
彼らは掟を破り、女を犯し私利私欲で殺しをしていたのです。
私は断じて処分して月神コンス様の生贄としました。

(月神コンス様。私はこれからどうすればいいのでしょうか?
王族となってこの国を治めなければいけないのでしょうか?
私にはとてもやれそうにないのですが……)

(そんな心配はしなくてもいいですよ。
貴女に統治能力など求めていませんよ。
新たな国王には、ハミルトン伯爵ジェイコブ卿にやらせます。
この大陸初の、犯罪者ギルドが治める国になるでしょう。
でもあなたはそんな事は気にせず、この大陸を好きに旅しなさい。
恋に冒険に、大いに楽しみなさい)

(ありがとうございます、月神コンス様)

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品