「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集3

克全

第59話

「ルシア聖女陛下の御入場!」

私は各国の国王や王妃が集まる会場に、静々と入っていきます。
よくこれほど多くの国主が集まったものです。
大陸でただ二人、皇帝を名乗る方まで来てくれています。
今更ながら、聖女の姿に私自身が驚いています。
しかし、とても危険です。
この会場を襲撃でもされたら、大陸は混乱の坩堝となるでしょう。

「皇族、ネイ皇太女殿下の御入場!」

私の後を追って、実際にはほぼ同時にネイが入ってきます。
これだけは誰が何と言おうと断固通しました。
本当は同時に会場入りしたかったのですが、それだけは家臣達が認めようとしませんでしたが、認めなければこの国から出ると脅して、この状況になりました。
ネイを少しでも不安にさせる事など、絶対に認められません。

問題はネイの母国、サンテレグルラルズ王家です。
クライム国王がこの会場来ています。
彼はネイを取り戻そうとするでしょう。
ですが、絶対に渡しません。
ネイを浮浪児の状態に追い込み、殺そうとまでしたのです。
そんな国、そんな一族にネイは絶対に渡しません!

「王族、ウィリアム殿下の御入場!」

ネイに続いてウィリアムが呼ばれます。
彼は私の一族になります。
いえ、前国王の養子となっているのです。
まあ、私もそうなのですが。
エルフィンストン王家王国を引き継ぐにあたり、養子になるのです。

「王族、イライアス殿下の御入場!」

ウィリアムに続いてイライアスが呼ばれます。
ウィリアムとイライアスは、私と同じように先日亡くなった前王の養子になり、その中で一番魔力の強い私が後継者となりました。
ウィリアムとイライアスは、系図上は義理の兄になります。

一方ネイは、私の養女なので、聖女となった私の養女となりました。
前国王とは直接関係はありません。
これでエルフィンストン王国は正直安泰です。
いえ、私が後継者となるので、国名と王朝名を改め、ディラン聖国になります。
私が存命中はこの大陸唯一の聖国として、繁栄することになります。

私が亡くなった時に、ネイが生きていれば、絶対に私より先にネイを死なせる事はないので、そうなるはずですが、ディラン皇国となります。
直接血縁関係がないので、国名と王朝名を改める事もできるのですが、今は引き継ぐと言ってくれています。
正直嬉しいです。

さあ、気を引き締めないといけません!
ネイを護るのは当然ですが、聖女として国を預かる以上、民も護らないといけませんから、実家もウィリアムもイライアスも使い倒すつもりです。
王族級の魔力を持つウィリアムとイライアスが、内外で働いてくれれば、ディラン聖国の繁栄は間違いないでしょう。

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