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奴隷魔法使い

克全

第250話宮古島・徳之島制圧

俺と彩は宮古島に飛んだ。

既に高腰城跡(たかうすじょうせき)に、自分達の城を築き1000兵を駐屯させてある。西表島・石垣島で臣従と誓ってくれ主だった者を連れて、新城・宮古城に入った。

高腰城跡は、城辺比嘉部落の北にある13~14世紀頃の城あとだ。高腰城跡の城主は、高腰按司 (たかうすあんじ) と言った。 城は宮古島の中でも高い場所にあったので、攻められても護りの城と言われていたが、欲に目がくらんだ味方の裏切りによって、与那覇原軍に滅ぼされまった。

俺と彩は、平良・下地(スムズ)・砂川(ウルカ)の3郡に分けられていた、宮古島の制圧を開始した。魔法によって有無を言わさず3人の地頭と配下を捕えた。一旦宮古城に設けた牢屋にぶち込み、人頭税に苦しむ島民を解放して行った。

宮古島本島だけでなく、近隣の池間島・大神島・伊良部島・下地島・来間島なども解放し、各地の集落の主だった者を宮古城に集めた。

「御代官様、本当に人頭税は廃止して頂けるのですか?」

「ああ人頭税は廃止になる。だが通常の税は本土の王国と共通の全収穫の4割の税だ。」

「全収穫の4割という事は、今まで全てを納めていた宮古上布も4割を納めればいいのですか?」

「そうだ、残る6割は自分達で使いなり売るなり好きにすればいい。だが出来れば1割は飢饉に備えて義倉に納める事を勧める。」

「義倉でございますか?」

「西表や石垣でも採り入れておるが、全島民分の非常用蔵と非常用長屋を城に造ってある。そこに災害に備えた食料を納めておけば、いざという時にも喰うに困る事はなくなる。」

「全島民分の蔵と長屋がこの城には築かれているのですか!?」

「後で案内させるから見てみるがいい。」

「はい、宜しくお願いしたします。」

宮古城代で宮古島代官を兼務する石田清治と、宮古島島民の代表者が話し合う中で分かった事が1つ有る。それはこの島には甘藷と呼ばれている薩摩芋が栽培されているという事だ。まだ本土で栽培されていない薩摩芋を、本土に持ち込み栽培する事が出来れば、貧しい者達の助けになる。なにより飢饉御時にはこれ以上ない助けとなる。

確かに魔境の活用は進んだ。その御蔭で総食料供給量は著しく多くなったが、魔獣魔竜は圧倒的に高価であり、貧民には購入できない。高付加価値の食料を輸出して、安価な食料を輸入するような政策をとってはいるが、貧しい者達にはそれすら購入できない者もいる。

だから冷害などの天災時にも収穫が見込め、安価に購入出来る薩摩芋の発見は大きかった。4割の税に加え、手持ちの御金を使って種芋用の薩摩芋を購入する約束を島民と交わした。その上で次の島の解放に向かった。

人頭税は、平均税率が八公二民と言われるほどの重税であった。

次の日に制圧に向かったのは、薩摩辺境伯家が琉球大公家から割譲させた徳之島だ。徳之島を含む奄美諸島は、与人(よひと)と呼ばれる島役人によって間接的に治められていた。だが実質的には、その上の薩摩藩の代官が支配権の一切を握っていた。薩摩辺境伯家は、諸島民の薩摩本土民との同化を許さず、本土への往来を禁止し、衣服など身なりを琉球大公家風にに規制するなど「辺境伯領内にあって辺境伯領内にあらず」の取り扱いをしていた。

この差別政策の裏には、薩摩辺境伯家が抱えていた莫大な財政赤字があった。辺境伯家は財政の立て直しを図るため、換金性の高い黒いダイヤ「サトウキビから造る黒糖」に目をつけ、黒糖の生産を奨励した。いや本来諸島民が最低限必要な、穀物生産用地にさえサトウキビの栽培を強制したのだ。

黒糖産業は、奄美諸島を代表する基幹産業として発展した。しかし「換糖上納」により、米に変わって黒糖が年貢として納められるようになっている。しかも島民は黒糖の自家消費も許されず、すべてが薩摩辺境伯家の専売制となり、農民はサトウキビの栽培に追われるだけの極めて苦しい生活状況におかれていた。

俺と彩は井之川岳を抱え込むように徳之城を築いており、井上博人を城代兼徳之島代官に任命した。今回は宮古島などとは離れた島であり。薩摩辺境伯家の支配下に入り、琉球大公家から割譲されて100年以上経つ。だからこれまで説得した宮古島の者達を活用して、徳之島の島民を説得をするのは諦めた。

そして手っ取り早い魔力と武力で圧倒することにした。完全武装の1000兵と俺と彩の魔法で、島役人と彼らに組する者達を捕えて牢屋にぶち込んだ。ここでも宮古島と同じように、新築した徳之城には牢屋は勿論非常用の蔵や長屋を創ってある。

徳之島を制圧した後は、沖永良部島・与論島・与路島・請島・加計呂麻島も制圧した。

順調に進んだ徳之島制圧戦だが、1つだけ大きな抵抗があった。それはハブの被害だった。ハブに噛まれて命の危険に曝される兵が多数出てしまったのだ。想定外の損害に対処する為、俺と彩は解毒魔法を使う事になった。そして配下の兵を分散進撃させる事を諦め、1000兵を1団にして制圧戦を展開した。

「唐津子爵閣下、飯豊男爵閣下、どうかこのまま末永く島に留まって下さいませ!」

「いったいどうしたのだ?」

「島では長年に渡って、ハブによる被害で多くの島民が命を失って来ました。魔法でハブの毒を消すことが出来るなど、初めての出来事でございます。島民一同身を粉にして働きます。両閣下のご要望にも出来得る限り応えさせて頂きます。ですからどうかこのまま島に留まって下さいませ!」

「そうか困っていたのだな。」

(どうするの? 尊。)

(ハブの毒を消す薬を創り出すか、毒消しの魔法が使える者を総代官に任命して、琉球諸島・奄美諸島に派遣するしかないだろう。)

(毒消しの薬をそんな簡単に創り出せるの? それに高給取りになった魔法使いを魔境から移動させれるかな?)

(唐津家や飯豊家に仕える魔法使いの、義務にするしかないだろうね。輪番制で、狩り方と治癒方に分けるのが妥当だろうね。)

(1番いいのは治癒薬を創り出すことかな?)

(そうだな、それが出来れば1番だな。)

(王家・王国の秘伝書にないかな?)

(もしかしたら琉球大公家には伝わっているかもしれない。琉球大公家と薩摩辺境伯家を討伐するまで少しは時間がある、その間に探してみよう。)

(うん、そうするべきね。)

「徳田善兵衛よ、約束は出来ん。我にも飯豊男爵にも王家に仕える貴族としての義務があり、領地の民を護る責任がある。だが琉球大公家と薩摩辺境伯家を討伐するまでには、今少し時間がかかる。その間に魔法薬を研究し、治療の出来る魔法使いを総代官に迎えられないか探してみよう。」

「ありがとうございます! 我らの勝手な願いを真剣に考慮して頂き、助けようとして下さっている事、真にありがとうございます!」

「うむ! 我々がいる間は病の者は力の及ぶ限り治療しよう。各集落で病の者がいるなら治してやろう。」

「ありがとうございます! ありがとうございます! 早速集落に戻らせていただき、村々の者に伝えさせて頂きます。」

「うむ、では明日の昼に各村長に家に病の者を集めよ。移動することが困難な者は無理をさせる必要はない。我らがそのものの家を訪ねよう。」

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

(尊、今までの島の病人はどうするの?)

(不公平は不満の温床になるからな、今から巡って病人の治療をしよう。)

(奄美大島の制圧はどうするの?)

(まあ1日くらい遅れてもどうという事もないさ。)

(そうね。)

結局俺と彩は制圧した島々を巡って治癒魔法で治療をして周った。そして毒消しの薬の創作は札を使う事になった。ハブ毒だけでなく、全毒素を消す上位魔法陣を書き込んだ巻物を創り出し、その巻物に小さな魔獣の魔晶石を埋め込む。それを上手く管理すれば、魔法の使えない魔力持ちに魔力補充をさせるだけで、永遠に毒消しが使えるように出来る。

この方法で各種治癒魔法巻物を代官所に揃えることが出来た。上手く使えば、絶対的な忠誠心を領民に持たせる事が出来る。だがその力を代官所の役人が悪用し、私腹を肥やす事もあり得る。そこで巡検使や隠密監視を派遣する仕組みを創り出した。

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