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奴隷魔法使い

克全

第243話優先順位と王家王国の政策

『王城・謁見の間』

「陛下、率直にお聞きさせて頂きますが、私と彩に何をさせたいと御考えなのですか?」

「はははは、尚益大公孫が変わった生れと育ちをしているのは理解してくれたかな?」

「はい、随分と特殊な教育を受けられたのかもしれませんが、率直に申し上げますが私や彩には受け入れがたい人物だと思うます。」

「はい、尊の申します通り、私も尚益大公孫殿下とは公務以外で御付き合いしたくありません。」

「忌憚のない意見が聞けて余は嬉しく思う、余も王としての公務以外には会いたくない、だからこそ放置すれば尊と彩に直談判しかねない怖さがある、万が一尊と彩の逆鱗に触れれば清国との合戦にまで発展しかねないからな。」

「陛下の言われる通りなのだ、宮古・八重山・与那国地方の民を、奴隷として売り払っているとの報告があったのだ。」

「そんな! 許せません!」

「彩ならきっとそう言うと余も思っていた、だから彩が尚益に御仕置きをする前に会わせたのだ。」

「陛下の御考えは、私と彩に琉球大公国の仕置きを任せると言う事でしょうか?」

「唐津次席大臣殿と飯豊次席大臣添役殿、御2人が闇奴隷売買一味を暴いて以来、王家王国も力の限り一味の捜査を行った、そこで王家の一門だけでなく薩摩辺境伯家が係わっていると言う疑いが出たのだ。」

「間部筆頭大臣殿は、異国との貿易が出来る琉球大公国を薩摩辺境伯家から離す御心算なのですね。」

「そうなのだ、薩摩辺境伯家を直ぐに取り潰すだけの証拠はない、だが闇奴隷売買だけは直ぐにでも止めさせなければならない、同時に内戦を勃発させる訳にはいかない、そこで圧倒的な戦闘力と諸侯家に信望のある、唐津次席大臣殿と飯豊次席大臣添役殿に琉球を任せたいのだ。」

「魔境の開発を待っている諸侯はどうするのです?」

「それも行ってもらう。」

「流石に過重労働なんですが?」

「間部、余もそう思うぞ、尊と彩には長崎や朝鮮での役目もあろう、あまり無理を申す出ない。」

「はい、ですから琉球大公国での奉公は、各諸侯家の部屋住みを活用してもらいます。」

「どう言う事じゃ?」

「各諸侯家は打ち続く凶作で困窮しております、勝手な事を申させて頂きますが、唐津次席大臣殿と飯豊次席大臣添役殿は富裕でございます、そこで各諸侯家の部屋住みの子弟を、年季抱えしてもらいたいのです。」

「召し抱える扶持はいくらにすればいいのですか?」

「任官武術大会合格者とは差をつけないといけないだろうな?」

「それはそうですよ間部筆頭大臣殿。」

「衣食住保証で日給50銅貨・衣装は大和家のお仕着せを支給・食事は賄で一汁三菜を3食・住居は三間長屋で四畳半の畳間と一畳半の土間でいいですか。」

「それでも構わんと思うぞ、卒族の若党などはもっと悪い待遇だ、食うや食わずで平民になるくらいなら、年季抱えでも仕官出来れば上等だろう。」

(尊、間部様は下々の苦労を分かっておられないのかな?)

(まあ国王陛下の最側近で、筆頭大臣の貴族様だからね。)

(年季抱えだと、忠誠よりも後の生活を考えて不正や汚職をしないかな?)

(可能性はあるね、でも実家も連帯責任で取り潰される可能性があるから、それほど多くの不忠・不正は起こらないと思うけど、ちょっと細工した方がいいね。)

「抱えるのは構いませんが更に条件があります。」

「何でも言ってくれ、貴君らの忠誠心と財力を当てにしているのだから、少々の条件を出すのは当たりまえだ。」

「いちいち抱える者を吟味することが出来ません、抱えた者が罪を犯したり不正をした場合でも、私と彩に責任を問わないでもらいます。」

「そうだな、王国の政策で無理に家臣を抱えさせるのだ、主人である貴君らに責任を取らせるのは酷いな、陛下そのように証文を書いて頂けますか?」

「余に異論はない、他に何かあるか? 尊・彩?」

「抱えた者が犯罪を思い止まるように、実家や一門を連座して責任を取らせたいのです。」

「うむ、それがよかろう。」

「あとはやる気が出るように、真面目に勤め上げた者には譜代(ふだい)・二半場(にはんば)として子々孫々扶持を約束しましょう。」

「そうか! そうしてやってくれるか、余からも礼を申す。」

「とんでもございません、王家・王国の為ならば身命を投げ打って働かせて頂きます。」

「家臣の奉公には恩恵を与えねばならんな、何でも望むものを申してみよ、叶えられるものならば叶えてつかわす。」

「それでは遠慮せずに申し上げます、蝦夷地と琉球を頂きとうございます。」

「蝦夷地は松前男爵家に替地を与えれば話は早く済むから大丈夫だろう、だが琉球大公家は一筋縄では行くまい、どうする心算だ? 攻め滅ぼすのか?」

「完全に制圧して陛下に忠誠を誓わせ、辺境伯家に降格させます。」

「宗主国の清国と合戦をする覚悟なのだな?」

「はい、しかし恐らくはそうならないと思います、今の清国は王国との交易を重視しています、琉球国程度のことで王国との合戦は始めないと思われます。」

「ふむ、それでも合戦になったらどうする?」

「私と彩で、清国にある全ての船を沈めます、そうすれば清国に王国を攻める手立ては無くなります。」

「清国の魔法使いにはどう対応する。」

「私と彩に優る魔法使いは、調べた範囲では存在しません、魔晶石の備蓄も比較にならないほど王国の方が多数あります。魔法使い同士の戦いになっても負ける事はありません。」

「尊の献策は分かった、彩はどう思う?」

「尊と同じでございます。」

「間部はどう思う?」

「最終的には唐津次席大臣殿の策で構いませんが、その前に清国と柵封国・周辺国の事をもっと調べてからにした方がよいと考えます。」

「清国単独ではなく柵封国や周辺国、特に南蛮諸国が清国と同盟して、王国に攻撃を仕掛けて来た場合を間部は恐れているのだな?」

「はい、常に最悪の場合を想定して国策は策定すべきだと考えます。」

「尊と彩は間部の策をどう思う?」

「もっともな御意見だと思います。」

「私も尊と同じで間部殿の策がよいと思われます。」

「ならば、清国と柵封国・周辺諸国を調べ終わるまで静観するのだな、当然尊と彩に諸侯の部屋住みを抱えさせるのも延期だな、間部。」

「囮役の魔法使いを育てるのは時間が掛かるのだな? 唐津次席大臣殿・飯豊次席大臣添役殿。」

「はい、今私と彩が存じている以外に優秀な魔法使いが現れれば別ですが、今のいる魔法使いに無理をさせて死亡させてしまったら、それこそ清国に対抗できなくなります。」

「何か策はないか唐津次席大臣殿・飯豊次席大臣添役殿。」

「在野の魔法使いを王家・王国で新規に魔導師団に召し抱えになられるか、唐津子爵家と飯豊男爵家で召し抱え、囮役として活用するかです。」

「尊、仕官する気があるなら既に名乗りを上げているのではないか?」

「陛下、通常の王家・王国魔導師団は、王族の皆様や重臣達の警護で狩りに行く間もございません、しかし王家・王国に扶持だけでは生活が苦しく借金苦に喘いでおります、魔法使い冒険者として自由で豊かな生活を捨てて仕官する者は少ないのです。」

「なるほど、ではどうやって自由で豊かな生活を捨てさせて、王家・王国の魔導師団に仕官するように仕向けるのだ?」

「交代で魔境の囮役・狩り方に派遣し、獲物の2割を献上品とし、8割を自らの収入に出来ると布告いたしましょう、そうすれば僅かでも仕官を望む者が出ると思われます。」

「なるほど、それならば今困っている魔導師団も狩りに参加して家計の足しに出来るな? 間部。」

「はい陛下、唐津次席大臣殿の献策通りに致しますれば、王家・王国だけでなく、魔導師団各家も魔境に接する諸侯家も財政が持ち直します。ただ万が一思惑通りに行かなかった場合と、魔境に接していない諸侯家の事も考えてやらねばなりません。」

「だが間部、魔境に接していない諸侯家は、王家・王国の奴隷冒険者千人砦や尊や彩の狩場に出稼ぎ冒険者として受け入れるのではないのか? それで十分豊かになれるのではないのか?」

「それで十分とは考えておりますが、次善の策や思い至らなかった場合の事も考えておくのがよいと思っております。」

「尊と彩はどう思う?」

「思いつくのであれば、それが1番でしょう。」

「陛下、1つ策があるのですが。」

「なんだ彩、何でも申してみよ。」

「琉球大公国が侵略した宮古・八重山・与那国地方の民を、奴隷として異国に売り払っています、これは絶対に許せません、ですから王家・王国で召し上げ唐津子爵家に預けて下さい、そこの統治と防衛に諸侯家の子弟を召し抱えて派遣致しましょう。」

「なるほど、それならば尊と彩に負担を掛けるだけでなく、恩賞も与える事が出来るな。それで構わないな、間部。」

「それがよいと思われます。」

「陛下、ならばもう1つお願い申し上げます。」

「なんだ尊? 申してみよ。」

「薩摩辺境伯家の所領に繰り入れられた、大隅・奄美の島々も召し上げて飯豊男爵家に預けましょう、琉球大公家だけ処分するのは片手落ちになりますし、大隅諸島に大兵力を駐屯させておけば、薩摩辺境伯家に大きな圧力を掛ける事が出来ます。」

「よくぞ申した、それならば薩摩辺境伯家が清国や南蛮国と通じようとしても素早く制圧できるだろう、間部はどう思う?」

「よき案だと思います。」

「では以上の策に決する、3名とも他に策は無いか? 無いようだな、それでは3名とも策に応じて動くように。」

『は!』

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