奴隷魔法使い
第241話押し付け訓練生
『飯豊魔境・朝日魔境』
「勘解由小路殿、そんな事では直ぐに死んでしまいます!」
「は!」
「幸徳井殿、後ろに注意されよ!」
「は!」
「倉橋殿、そのように反応が遅くては何も出来ませぬぞ!」
「は!」
今日は早朝から面倒な王命が下された。朝食と何時もの日課をこなしていると、念話で土御門筆頭魔導師殿が話しかけて来たのだ。
(唐津次席大臣殿、昨日あの後で陛下御臨席の場で話し合ったのだが、魔道具の武器・甲冑・飛行盾が借りれるのなら、王家・王国の魔導師達でも囮が務まるのではないか?)
(それは可能ですが、その間陛下の護りが手薄になりませんか?)
(それは話し合った、当主候補の若者から訓練させて、囮をこなして実力が付いてから当主交代をさせたいと言う事なのだ、だから直接の護りは手薄になどならんよ。)
(それならいいのですが、当主候補の若者ってどう言う事ですか? 魔力は血統に左右されませんから、現当主の実子では無いですよね?)
(唐津殿も、儂が飯豊殿を養女にして跡を継がせようとしていたのは知っているだろう?)
(はい、魔力さえ有れば奴隷からでも士族家に養子に入れるのかと驚きました。)
(飯豊殿が女であったため話は流れてしまったが、王家・王国の魔導師を務める家の中には、役職を維持するために一門の娘に婿を取り、家名を残す事が当たり前の名家があるんだ。)
(土御門家もそうなのですか?)
(そうだ、極力分家や一門末流を優先するが、魔力ばかりは誤魔化しようがないからな、極力高い魔力を持つ者を探し出して婿養子にするのだよ。)
(魔力が高くて婿養子を拒否する者はどうなるんです?)
(普通に王家・王国魔導師団に迎え入れられるよ、まあ本人が市井(しせい)で生きて行きたいと断る事も有るけどね。)
(まあそうでしょうね、愛する者がいたり冒険者で稼げたら、王家・王国勤めは堅苦しくて苦手な者もいますからね。)
(そう言う事だな、話を戻すが今度送られる者は初級の上から中級の下までの男の魔導師候補だ、みっちり鍛えて稼がしてやって欲しい。)
(鍛えるだけでなく稼がすのですか?)
(そうだ、どの魔導師も陛下の護りを離れる分けにはいかん、だが王家・王国の財政難で家計が火の車なのだ。)
(冒険者上がりのベテラン魔法使いを婿養子に迎えたのなら、持参金も多かったのではありませんか?)
(名門魔導師家だけに、生意気な家付き娘も多くてな、夫婦仲が上手くいかず離婚して出て行く婿殿が多かったのだよ、無理に魔導師にならなくても市井の魔術師冒険者で、豊かに自由気ままに暮らして行けるのだ。)
(それはそうですね、だからと言って娘との間に子供を作ってくれないと、婿養子に迎えた意味の半分が無くなってしまう。)
(そうなのだよ、そこで魔力がある子供を養子に貰って、子供の頃から娘と一緒に育てるようにしたのだ、それならば肉親に近い情も育つし、冒険者として経験が無いだけに養家を出て行く確率も低くなる。)
(それって人身売買に近くありませんか?)
(まあ批判する者もあるだろうが、当人は士族家当主で魔導師になれるのだ、酷い扱いでは無いと思うぞ。)
(そうですね、寧ろ幸運でしょうがお金が掛かったのですね?)
(そう言う事だ、どの家も出来れば同じ士族家から魔力の有る子供を迎えたい。それも他家を圧倒し筆頭に成れるような子供だ。)
(で、高い礼金を実家に支払う羽目になる。)
(そう言う事だ。)
(で養家に入って育った当主候補の若者は清貧となってしまう。)
(だから頼んだよ。)
結果として土御門・勘解由小路・幸徳井・倉橋・東儀・大黒・引田・布勢などの魔導師の名門から訓練生が送られてきた。土御門まで送ってきたのには驚いたが、陛下の護りを全うするには実戦的な訓練は必須だ、きっちり彩に鍛えて貰おう。
俺は飯豊魔境・朝日魔境を行き来して囮を務めたのだが、俺の気配を恐れたのだろう、結局ボスは1度も現れなかった。狩り方の者達は4時間しっかり稼げたようだ、俺は充魔と大量飲食・魔力回復の時間に当てた。さすがに囮を兼ねた時間に魔道具を創るほど横着は出来ない、熱中し過ぎて反応が遅れると、不意に現れたボスのブレスで大量戦死がありえる。
彩は最後に訓練生達にお土産を持たせてやったようだ。各人の専用魔法袋一杯に、小型魔竜か貴重種魔獣を入れてやった。訓練も兼ねて狩るのも本人にやらせたのだが、足下の飛行盾を機動させて獲物の背後に回り、左手の飛行盾で防御を用意し、右手の連発魔竜弩か魔竜杖で倒す。
(どうだい? 少しは使いものになりそうかい?)
(そうですね、一生懸命ですから魔導師に役立つ訓練になると思います。)
(それはよかった、俺も彩も陛下の臣下だから、後進護衛役の育成も責務の1つだからね。それと若者達は家計の足しになる稼ぎを自分で出来るようになるかな?)
(大丈夫だと思います。一撃離脱に徹すればボスに気付かれる前に、狩り終えて逃げる事は可能だと思います。)
(永続性はどうだい?)
(毎日であっても、狩った魔獣・海魔の魔晶石の魔力を活用すれば、魔力切れを起こす事は無いと思います。)
(囮役は務まりそうかい?)
(魔道具を貸し与えたままにするなら、訓練次第で可能だと思います。)
(ではみっちり訓練してやってくれ。)
(はい。)
『早池峰魔境』
「唐津次席大臣閣下、あの山は恐山と申します。」
「あれは駄目だ、古代魔龍の気配と魔力が濃い。」
「左様でございますか。」
案内役の弘前伯爵家・陪臣は少し残念そうだが、先日白神魔境が狩り可能と分かり、しかも久保田伯爵家の英断で自分達は領地替えしないで済むと言う僥倖で、濡れ手に粟の大儲けだった。これなら他の魔境が狩り出来なくても問題は無い。
「あれは八甲田山と申します。」
「あれも駄目だ、古代魔龍がいる。」
弘前伯爵家にはもはや狩りが可能な魔境は無く、蝦夷地は俺と彩が賜る事になっている。だがら下手に狩りが可能な魔境が有る事は分からない方がいい。松前男爵家が異議申し立てすると面倒だ、だから北上はここまでで、今度は日本海側を南下して狩りが可能な魔境を探す。
しかし八戸男爵領にはそもそもそ魔境が無い、更に南下して盛岡伯爵領に入り暫く飛行すると、属性魔竜の気配と魔力が感じられた。
「殿様、この気配と魔力は属性魔竜ではありませんか?」
「そうだね、その可能性が高いね。」
「真でございますか! 唐津次席大臣閣下・飯豊次席大臣添役閣下。」
「ああ、あの山は何と言うのだ?」
「早池峰でございます。」
「皆は下がっておれ、後は任せた。」
「承りました。」
俺と彩の会話に、盛岡伯爵家の陪臣が喜色満面で加わって来た。冷害の飢饉で餓死者まで出したと言う噂の有る盛岡伯爵家だ、狩りが可能な魔境が発見できれば財政が一気に好転するだろるから、喜びを心の閉じ込める事など出来なくて当たり前だ。
ボスを誘い出す為に、いつも通り普通の冒険者では狩る事の出来ない、大型種の草食魔竜・肉食魔竜を狩ってみると、のこのこと属性魔竜のボスが現れた。
(殿様、ボスはどうですか?)
(何時も通りだよ、今の俺なら簡単にいなす事が出来る。)
(そろそろ属性魔竜ボスの魔道具を創るますか?)
(そうだね、属性魔竜の革で創り出した革鎧や外套は役に立つだろうね、特に2枚の革の間に属性魔竜の鱗を挟み込んだ鎧は、金属鎧など足元にも及ばない防御力があるだろうね。)
(それに属性魔竜の爪を切りだして創った剣は、何物も切り裂く硬度を持つと思われます。)
(だが加工するにも同じ強度の爪が必要に成る、俺と同じ密度にまでに魔力を圧縮できる者などいないだろう?)
(そうですね、だとしたら殿様が懸り切りで加工作業をする必要が出てしまいますね。)
(ああ、だから保管だけしておこう。無理に加工しなくても現物のまま使えばいいよ、昔蛇竜の鱗を手裏剣や円盤のように武器にしたろ。)
(そうでしたね、今も魔法袋に保管していますが、あれには助けられましたね。)
(ああ、だから今でも十分強力な武器に使える、だから創るとしたら汎用魔法袋にしよう。)
(はい。)
俺は念話で彩と今後の事を話し合いながら、片手間で早池峰魔境のボスを何時も通り嬲りものにし、12本の爪を切り取り、2割程度の鱗・皮・血液を削り取り、散々ブレスも吐き出させてから逃がしてやった。またこれも何時も通りなのだが、彩と交代して彩も魔法袋一杯に大型種の魔獣・魔竜を狩った。
「飯豊魔境・朝日魔境と同じくらいで余り広い魔境ではないが、ボスの強さや魔獣・魔竜の強さや生息密度は飯豊・朝日の倍はある。とても優良な魔境だ。」
「真でございますか!」
「うむ、これは好き狩場になるであろう。」
俺の言葉に盛岡伯爵家の案内役は小躍りしそうなくらい喜んでいる。だが今は狩りの指導役も囮役も不足していて、直ぐに狩りを始める事は不可能だ。あまり喜ばれると心が痛い。
「まああまり喜ぶな、これからが大変なのだ。実際に狩りに入る為には熟練の囮役と狩り方が必要に成る。先に発見された太平魔境・白神魔境でも狩りが何時始められるか分からない有様だ。」
「そんな!」
「まあ王都に戻ったら、盛岡伯爵や上役とよくよく話し合うがいい。」
『王都・王城』
(殿様、急な呼び出し何事でございましょう?)
(さあな、まるで何も思い当たらないよ。)
(そうですよね、土御門筆頭魔導師殿から、国王陛下と間部筆頭大臣殿が内々で話があると、仲介の念話が入りましたが、理由は直接聞けとの事でしたから、何か余程の事があったのでしょうか。)
(う~ん、なんなんだろうね、さっぱりわからないよ。もし何か俺達に不利な事で、冤罪に近い様な話ならとっとと逃げ出せばいいさ、蝦夷地以北に逃げ出せば誰も追ってこれないよ。)
(殿様と2人で逃げ出す事に不満はありませんが、そうなると奴隷に売られた人達を助け出す事が出来なく成ってしまいますね。)
(だったら南に逃げよう、南なら南蛮・清国・朝鮮に売られた人を買い戻す事が出来るよ、呂宋島や澳門に渡れば大丈夫だよ。)
俺と彩が念話で内緒話をしていると、国王陛下と間部筆頭大臣ともう1人、見知らぬ人間が入って来た。
「勘解由小路殿、そんな事では直ぐに死んでしまいます!」
「は!」
「幸徳井殿、後ろに注意されよ!」
「は!」
「倉橋殿、そのように反応が遅くては何も出来ませぬぞ!」
「は!」
今日は早朝から面倒な王命が下された。朝食と何時もの日課をこなしていると、念話で土御門筆頭魔導師殿が話しかけて来たのだ。
(唐津次席大臣殿、昨日あの後で陛下御臨席の場で話し合ったのだが、魔道具の武器・甲冑・飛行盾が借りれるのなら、王家・王国の魔導師達でも囮が務まるのではないか?)
(それは可能ですが、その間陛下の護りが手薄になりませんか?)
(それは話し合った、当主候補の若者から訓練させて、囮をこなして実力が付いてから当主交代をさせたいと言う事なのだ、だから直接の護りは手薄になどならんよ。)
(それならいいのですが、当主候補の若者ってどう言う事ですか? 魔力は血統に左右されませんから、現当主の実子では無いですよね?)
(唐津殿も、儂が飯豊殿を養女にして跡を継がせようとしていたのは知っているだろう?)
(はい、魔力さえ有れば奴隷からでも士族家に養子に入れるのかと驚きました。)
(飯豊殿が女であったため話は流れてしまったが、王家・王国の魔導師を務める家の中には、役職を維持するために一門の娘に婿を取り、家名を残す事が当たり前の名家があるんだ。)
(土御門家もそうなのですか?)
(そうだ、極力分家や一門末流を優先するが、魔力ばかりは誤魔化しようがないからな、極力高い魔力を持つ者を探し出して婿養子にするのだよ。)
(魔力が高くて婿養子を拒否する者はどうなるんです?)
(普通に王家・王国魔導師団に迎え入れられるよ、まあ本人が市井(しせい)で生きて行きたいと断る事も有るけどね。)
(まあそうでしょうね、愛する者がいたり冒険者で稼げたら、王家・王国勤めは堅苦しくて苦手な者もいますからね。)
(そう言う事だな、話を戻すが今度送られる者は初級の上から中級の下までの男の魔導師候補だ、みっちり鍛えて稼がしてやって欲しい。)
(鍛えるだけでなく稼がすのですか?)
(そうだ、どの魔導師も陛下の護りを離れる分けにはいかん、だが王家・王国の財政難で家計が火の車なのだ。)
(冒険者上がりのベテラン魔法使いを婿養子に迎えたのなら、持参金も多かったのではありませんか?)
(名門魔導師家だけに、生意気な家付き娘も多くてな、夫婦仲が上手くいかず離婚して出て行く婿殿が多かったのだよ、無理に魔導師にならなくても市井の魔術師冒険者で、豊かに自由気ままに暮らして行けるのだ。)
(それはそうですね、だからと言って娘との間に子供を作ってくれないと、婿養子に迎えた意味の半分が無くなってしまう。)
(そうなのだよ、そこで魔力がある子供を養子に貰って、子供の頃から娘と一緒に育てるようにしたのだ、それならば肉親に近い情も育つし、冒険者として経験が無いだけに養家を出て行く確率も低くなる。)
(それって人身売買に近くありませんか?)
(まあ批判する者もあるだろうが、当人は士族家当主で魔導師になれるのだ、酷い扱いでは無いと思うぞ。)
(そうですね、寧ろ幸運でしょうがお金が掛かったのですね?)
(そう言う事だ、どの家も出来れば同じ士族家から魔力の有る子供を迎えたい。それも他家を圧倒し筆頭に成れるような子供だ。)
(で、高い礼金を実家に支払う羽目になる。)
(そう言う事だ。)
(で養家に入って育った当主候補の若者は清貧となってしまう。)
(だから頼んだよ。)
結果として土御門・勘解由小路・幸徳井・倉橋・東儀・大黒・引田・布勢などの魔導師の名門から訓練生が送られてきた。土御門まで送ってきたのには驚いたが、陛下の護りを全うするには実戦的な訓練は必須だ、きっちり彩に鍛えて貰おう。
俺は飯豊魔境・朝日魔境を行き来して囮を務めたのだが、俺の気配を恐れたのだろう、結局ボスは1度も現れなかった。狩り方の者達は4時間しっかり稼げたようだ、俺は充魔と大量飲食・魔力回復の時間に当てた。さすがに囮を兼ねた時間に魔道具を創るほど横着は出来ない、熱中し過ぎて反応が遅れると、不意に現れたボスのブレスで大量戦死がありえる。
彩は最後に訓練生達にお土産を持たせてやったようだ。各人の専用魔法袋一杯に、小型魔竜か貴重種魔獣を入れてやった。訓練も兼ねて狩るのも本人にやらせたのだが、足下の飛行盾を機動させて獲物の背後に回り、左手の飛行盾で防御を用意し、右手の連発魔竜弩か魔竜杖で倒す。
(どうだい? 少しは使いものになりそうかい?)
(そうですね、一生懸命ですから魔導師に役立つ訓練になると思います。)
(それはよかった、俺も彩も陛下の臣下だから、後進護衛役の育成も責務の1つだからね。それと若者達は家計の足しになる稼ぎを自分で出来るようになるかな?)
(大丈夫だと思います。一撃離脱に徹すればボスに気付かれる前に、狩り終えて逃げる事は可能だと思います。)
(永続性はどうだい?)
(毎日であっても、狩った魔獣・海魔の魔晶石の魔力を活用すれば、魔力切れを起こす事は無いと思います。)
(囮役は務まりそうかい?)
(魔道具を貸し与えたままにするなら、訓練次第で可能だと思います。)
(ではみっちり訓練してやってくれ。)
(はい。)
『早池峰魔境』
「唐津次席大臣閣下、あの山は恐山と申します。」
「あれは駄目だ、古代魔龍の気配と魔力が濃い。」
「左様でございますか。」
案内役の弘前伯爵家・陪臣は少し残念そうだが、先日白神魔境が狩り可能と分かり、しかも久保田伯爵家の英断で自分達は領地替えしないで済むと言う僥倖で、濡れ手に粟の大儲けだった。これなら他の魔境が狩り出来なくても問題は無い。
「あれは八甲田山と申します。」
「あれも駄目だ、古代魔龍がいる。」
弘前伯爵家にはもはや狩りが可能な魔境は無く、蝦夷地は俺と彩が賜る事になっている。だがら下手に狩りが可能な魔境が有る事は分からない方がいい。松前男爵家が異議申し立てすると面倒だ、だから北上はここまでで、今度は日本海側を南下して狩りが可能な魔境を探す。
しかし八戸男爵領にはそもそもそ魔境が無い、更に南下して盛岡伯爵領に入り暫く飛行すると、属性魔竜の気配と魔力が感じられた。
「殿様、この気配と魔力は属性魔竜ではありませんか?」
「そうだね、その可能性が高いね。」
「真でございますか! 唐津次席大臣閣下・飯豊次席大臣添役閣下。」
「ああ、あの山は何と言うのだ?」
「早池峰でございます。」
「皆は下がっておれ、後は任せた。」
「承りました。」
俺と彩の会話に、盛岡伯爵家の陪臣が喜色満面で加わって来た。冷害の飢饉で餓死者まで出したと言う噂の有る盛岡伯爵家だ、狩りが可能な魔境が発見できれば財政が一気に好転するだろるから、喜びを心の閉じ込める事など出来なくて当たり前だ。
ボスを誘い出す為に、いつも通り普通の冒険者では狩る事の出来ない、大型種の草食魔竜・肉食魔竜を狩ってみると、のこのこと属性魔竜のボスが現れた。
(殿様、ボスはどうですか?)
(何時も通りだよ、今の俺なら簡単にいなす事が出来る。)
(そろそろ属性魔竜ボスの魔道具を創るますか?)
(そうだね、属性魔竜の革で創り出した革鎧や外套は役に立つだろうね、特に2枚の革の間に属性魔竜の鱗を挟み込んだ鎧は、金属鎧など足元にも及ばない防御力があるだろうね。)
(それに属性魔竜の爪を切りだして創った剣は、何物も切り裂く硬度を持つと思われます。)
(だが加工するにも同じ強度の爪が必要に成る、俺と同じ密度にまでに魔力を圧縮できる者などいないだろう?)
(そうですね、だとしたら殿様が懸り切りで加工作業をする必要が出てしまいますね。)
(ああ、だから保管だけしておこう。無理に加工しなくても現物のまま使えばいいよ、昔蛇竜の鱗を手裏剣や円盤のように武器にしたろ。)
(そうでしたね、今も魔法袋に保管していますが、あれには助けられましたね。)
(ああ、だから今でも十分強力な武器に使える、だから創るとしたら汎用魔法袋にしよう。)
(はい。)
俺は念話で彩と今後の事を話し合いながら、片手間で早池峰魔境のボスを何時も通り嬲りものにし、12本の爪を切り取り、2割程度の鱗・皮・血液を削り取り、散々ブレスも吐き出させてから逃がしてやった。またこれも何時も通りなのだが、彩と交代して彩も魔法袋一杯に大型種の魔獣・魔竜を狩った。
「飯豊魔境・朝日魔境と同じくらいで余り広い魔境ではないが、ボスの強さや魔獣・魔竜の強さや生息密度は飯豊・朝日の倍はある。とても優良な魔境だ。」
「真でございますか!」
「うむ、これは好き狩場になるであろう。」
俺の言葉に盛岡伯爵家の案内役は小躍りしそうなくらい喜んでいる。だが今は狩りの指導役も囮役も不足していて、直ぐに狩りを始める事は不可能だ。あまり喜ばれると心が痛い。
「まああまり喜ぶな、これからが大変なのだ。実際に狩りに入る為には熟練の囮役と狩り方が必要に成る。先に発見された太平魔境・白神魔境でも狩りが何時始められるか分からない有様だ。」
「そんな!」
「まあ王都に戻ったら、盛岡伯爵や上役とよくよく話し合うがいい。」
『王都・王城』
(殿様、急な呼び出し何事でございましょう?)
(さあな、まるで何も思い当たらないよ。)
(そうですよね、土御門筆頭魔導師殿から、国王陛下と間部筆頭大臣殿が内々で話があると、仲介の念話が入りましたが、理由は直接聞けとの事でしたから、何か余程の事があったのでしょうか。)
(う~ん、なんなんだろうね、さっぱりわからないよ。もし何か俺達に不利な事で、冤罪に近い様な話ならとっとと逃げ出せばいいさ、蝦夷地以北に逃げ出せば誰も追ってこれないよ。)
(殿様と2人で逃げ出す事に不満はありませんが、そうなると奴隷に売られた人達を助け出す事が出来なく成ってしまいますね。)
(だったら南に逃げよう、南なら南蛮・清国・朝鮮に売られた人を買い戻す事が出来るよ、呂宋島や澳門に渡れば大丈夫だよ。)
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