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奴隷魔法使い

克全

第208話宇陀与力

さて、出ていくか。
「秀子、後を頼む」

「は、お任せください。」

「浅花寺勝倉院の防御に創りだした魔法壁は、土御門筆頭魔導師様でも破れん、安心しておれ。」

「は! 殿様も御油断無きよう。」

心配してくれているな。
他の者どもの、信頼と心配の渦巻く心持のようだ。
当然だな、ついさっき陪臣士族に仕官できたと思ったら、この騒ぎだ。
まさか、国王陛下暗殺未遂犯の逮捕劇に巻き込まれるなど、想像もしなかったよな。
安心させてやらなきゃいかんな。
何といっても、俺はこの者どもの主君なんだよな。

「任せておれ! あの青瓢箪が、魔竜より強いはずもあるまい。」

「確かにそうでございますな!」

よし、皆に笑顔が浮かんだな、俺は重厚な圧縮強化岩で出来た表戸を開けて表に出た。

「さて、我が大和尊である! その方の名はなんという?」

「私は、王都南奉行所定町与力、宇陀佳介でござる、町民が浅花寺勝倉院で騒乱有りと報告が有ったので役儀により参った、決して御貴殿御が言うような、疚(やま)しい理由ではござらん。」

「それはおかしい、寺社は宗門奉行の支配下ではないか、それを王都南奉行所の者が出張るなど、特別な理由があろう!」

「いや待たれよ! 我ら王都奉行所の者は王都の民の安寧を守る者、民より不審の報告が有れば何処でも参る。」

「民とは誰を指しているのだ? そこに隠れている香具師のことか? 寺社領内で王国で禁止されている売春宿を営む者が民か? 恐れ多くも国王陛下から城下の治安を委託されておる奉行者役人が! 違法な売春宿の一味の報告を鵜呑みにしたのか? 日頃より賄賂を貰い、目溢(めこぼ)ししていたのではないのか? 答えよ!」

「黙れ、黙れ、黙れ、だまれ~~~! この偽物が! 士族様を騙る盗賊め! 成敗してくれる!」

宇陀とか言う与力は、刀を抜いて切りかかってきた。
俺を殺して、事件をうやむやにする心算のようだが・・・・・
愚かなことだ、ここまで騒ぎが広まっては隠蔽のしようもないのに。
さて、どうする?
一撃で倒せる無様な腕前だが。

俺は長巻を魔法袋から素早く取り出した。
峰を返して、殺さず打撲で留める様に配慮した。
長巻を下から素早く跳ね上げ、宇陀の左前腕を打ち据える。

ぐぼき!

宇陀の左前腕骨、橈骨尺骨ともに粉砕骨折する音が聞こえる。
宇陀の刀が宙を舞う。
何が起こったか判らぬように、宇陀は茫然自失の表情を浮かべる。

数秒して宇陀の顔が苦悶に歪む。
「うぎゃ~~~~。」

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