奴隷魔法使い

克全

第191話助ける

「妹が殺されるとは、どういうことだい?」
俺は驚きを隠し優しく問いかけた。

「日が暮れるまでに金を稼いで帰らないと、留守番の家族が殺されるんだ!」

「それが、君の妹なのかい?」
腸(はらわた)の煮えくり返る怒りを押し殺し、優しく問いかける。

「そうだ、他の奴らも母さんや弟、友達が殺されちまう。」

「誰に殺されるんだい?」

「香具師の奴らだ。」

「香具師の奴らは沢山居るのかい?」

「そうだよ! 何十人もいるんだ、だから金をくれよ、離してくれよ!」

時間が無いか、もう日が暮れる。
人質を全員殺すのは効率が悪いが、1人くらいなら殺すかもしれない。
殺さなくても一生残る傷をつけるかもしれない。
奉行所に行く時間もない、安全な屋敷に匿うこともできない。
この子らには人質のいる場所に案内してもらわないといけない。
奴隷売買を黙認した貴族士族全てを敵に回しても、助けねばならん!
彩も目で同じ気持ちだと合図してくれている。

「秀子、皆の者、雇うと約束したが、守れなくなった。」

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