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奴隷魔法使い

克全

第29話防備強化

「大丈夫だ。外套と腕の間に魔法壁を展開した」

糞野郎が、足を切り飛ばしてやる!

圧縮風魔法を喰らいやがれ!

よっしゃ。

麻痺魔法も効果あった。

これで自殺もできないだろう!

「ゆきな殿、暗殺者を確保してください」

「は! 直ちに。」

うん、戦況も楽勝だな。

襲撃したのは唯の野盗か?

練達の冒険者には手も足も出ないようだが?

「タケル殿、魔猿はどうされます? 魔猿は脳が珍味で高価に輸出されます。魔晶石も魔狼より大きい六百キログラム級の大きさです」

「!」

それだと、見逃すのは惜しいな。

「アヤ、半分の魔力で四十五頭狩れるかい?」

「うん、大丈夫。ちゃんと魔力は半分残して狩る」

「俺も半分魔力を残して、七十五頭分狩るから」

ふ~う、狩りは楽勝だったな!

しかし、魔猿は賢いな。

攻撃受けたら直ぐに逃げ散りやがった。

最大射程から順に狩らなかったら、予定数倒せなかったな。

「みつお殿、何人捕まえました?」

「死亡十三人、重軽傷四十九人、無傷の降伏者が四十五人です」

「よし、帰って代官所に突き出します」

『多摩冒険者村代官所』

「門番様、森林で襲ってきた強盗団を捕まえました。お代官様にお取次お願いいたします」

「なに! 待っておれ」

「お代官様がお会いになる。皆ついてまいれ」

「おお、タケルか。大人数だな」

「はい。狩りの護衛役も一緒です。今日の尾行者は、いつも通り三組でしたが、3組目が無頼の者を集めて襲撃してきました」

「みつお、組合長を呼んで参れ。代官所の牢屋だけでは収監できぬから、組合の魔獣用檻を借りたい」

「は! 直ぐに組合にって呼んでまいります」

組合長は直ぐにやってきた。

「さすけ組合長、どうじゃ。組合の魔獣用の檻は借りれるか?」

「はい、御貸しさせていただきます。ただ、収監した襲撃犯の見張りは、いかがいたしましょう?」

「通常の冒険者警備員だけでは不足か?」

「色んな意味で不足でございます!」

「ならば代官所の卒族を四兵を出そう」

「ありがとうございます。王国の兵士が居てくだされば、誰かが権柄尽くで面会や解き放ちを命じても、こちらも強気で対応できます」

「では、お代官様。私は獲物を提出してきます」

「うむ、タケル、アヤ、ご苦労であった」

「「はは!」」

『奴隷冒険者千人砦買取所』

「小人目付様、今日は魔猿百二十頭でございます」

「うん、だせ」

「買取長、計測しようか」

「はは」

「タケル、襲われたそうだな?」

「はい、遂に襲撃を受けました。常に三組の尾行者がいたのですが、三組目が我慢しきれず強襲してきました」

「で、捕らえたのか?」

「はい。主だった者は生きたまま捕らえました」

「ふむ、では、黒幕がわかるのか?」

「さて、3組目ですので、証拠がどれほど出るかは未知数でございます」

「左様か」

「小人目付様、ご確認ください。魔猿百二十頭で一万二千キログラムでございます」

俺とアヤは百二十頭の魔猿を全て魔法袋から出し終えた。

「タケル、魔晶石は除外か?」

「はい、そのようにお願いします。予備魔力の有る無しは命にかかわりますので、魔晶石は手元に置いておきます」

「分かった。買取長、魔晶石はタケルが持ち帰る条件で清算だ」

「はい。百二十万銅貨でございます」

「タケル。銀貨百二十枚でいいか?」

「はい、それでお願いします」

『薩摩辺境伯爵、王都屋敷』

「用人様、犯罪者組合の強襲が失敗しました。百十七人全員逮捕されてしまいました」

「なに! 貴様はそれを見過ごし、おめおめ逃げ帰ったのか!」

「自分まで捕まると、島津家が御取り潰しになります!」

「く! 証拠は残しておらんのだな!」

「用人様以外の証拠はございません」

「なに! 何をいっておる? どういう意味だ?」

「用人様は、度々多摩奴隷冒険者千人隊砦を訪問されております。ここまで事件が明るみに出れば、用人様の名が出るのは防げません」

「儂にどうせよと申すのじゃ!」

「では、お耳を拝借」

「う!」

「根占、仕留めたか? 心臓一突きとは流石じゃな」

「は! ご家老様、殺しましてございます」

「ふむ、目先の欲にとらわれよって! 手に余る大物は、隠れて通り過ぎるのを待つが寛容じゃ。こ奴と一緒に砦を訪問した者はどうした?」

「用人様の家臣と使用人は、既に皆殺しいたしました」

「遺体はどうする?」

「夜陰に乗じて、我が忍軍が大川まで運びます。後は盗賊団を使って富士魔境まで運び、魔獣の餌にいたします」

「うむ、それでよい」

「ご家老様。国もと肝属(きもつき)一族の処分はいかがいたしましょうか?」

「こ奴の嫡男は武勇の誉れ高き勇者、処分はなしじゃ。父は失策を犯し、辺境伯家を守るため、富士魔境に入り自害したと伝える。元々こやつは嫡男成長までの代役、用人と言っても、他の貴族家への使いはさせておらん。黒磯奴隷千人頭だけの汚れ役用人じゃ」

『多摩奴隷冒険者砦』

「アヤ、今日は色々あったね」

「うん。タケルに矢が突き刺さったときは、心臓が止まるかと思った」

アヤはつ~と、一筋の涙を流してくれた。

俺は、俺は、俺は馬鹿だ!

錐で刺すような痛みが胸に走る。

締め付けられるように心臓が収縮する。

もう油断はしない!

決してアヤを悲しませるようなことはしない。

卑怯下劣な行いであろうと、圧倒的な力で敵を捻じ伏せる!

「御免、心配かけたね! でも大丈夫だよ。外套内側には鎖帷子を仕込んであるから、先ずそれが防ぐよ。外套と鎧の間には、竹ひごで5cmの空間を開けてあるだろ。矢が刺さった時点で、外套の内側に魔狼の血で書いた防御壁魔法陣が、自動起動してくれる」

「うん、分かってるよ。分かってるけど、心配だし怖いよ」

あああああ、アヤが泣きじゃくりだした。

愚かな事を言っちまった。

言い訳や正論は要らないんだ!

「ごめん。もう油断しないから。外套に刺さる前に魔法壁で防ぐから。それに、もっと防御力を高くしよう! 魔力を充てんした魔晶石を、外套の魔法陣に縫い込もう。後は、鎧、手甲、足甲、ブーツにも魔法陣を描き、魔晶石を埋め込もう」

「うん! 私が縫ってあげる」

よかった!

アヤが泣き止んで微笑んでくれた。

今日からは、アヤが笑顔だけで生きていけるようにする。

俺は心から誓った。

「アヤの外套には俺が縫う。でも先に魔法鍛錬だよ」

「はい!」

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