奴隷魔法使い

克全

第19話魔法の同時攻撃

『冒険者組合』

うん、集まってるね。

若くて力のありそうなのが多いな。

意見を聞けるようなベテランは、俺達の雇われなくても、ちゃんと自分で狩って稼げるもんな。

でも一人いい気配の人がいるな。

組合長が配慮してくれた案内役かな?

「受付殿、用意はいいですか?」

「はい。御依頼の二十人揃っています。サービスの六間棒と縄も持てせています」

「ありがとうございます。案内をお願いできる人はいますか?」

「はい。そちらのみつおが案内します。」

「では、みつおさん。担い棒に使える竹を途中で確保しますので、竹藪経由で案内お願いします」

「分かりました。では出発しましょう」

『湿地帯への道中』

「みつおさん。狩場に四トン程度の獲物はいますか?」

「そうですね。その大きさで値が安定してるのはクロサイですね。肉は安価ですが、角が獣にしては高値な薬として売れますし、皮も獣の中では上質の革鎧になります」

「一トン程度の獲物は?」

「水牛ですね。クロサイトと同じく角は薬用に、皮も普及品ですが人気があります。何より肉が美味しく、安定した値が付きます。平均すればどちらもキログラム当たり二十銅貨ですね。湿地帯は大きさに拘らなければ、獲物が選り取り見取りですよ」

『湿地帯:みつお視点』

「タケルさん。これくらいの距離なら獣に気づかれないです。あそこいるのがクロサイ。その向こうにいるが水牛。さっき説明した獲物が揃っています」

「あと二百キログラム程度の獲物は選んでください」

「では、あの鰐はどうです?」

「はい。ではその四頭を狩ります」

「アヤ。今日は二つ同時に圧縮火炎魔法を使う」

「はい。どうするの?」

「二つの火球を作り、二つの火球を時間差で獲物にたたきつける。これは魔獣や魔竜を狩るとき、安全策に予備の火球を準備しておく訓練だ」

「うん、分かった。やってみるね」

「よし、三・二・一、ゴー」

みつじは驚愕した。

なんてこった。

此奴一瞬で四頭を狩りやがった!

十二万銅貨が一瞬で稼げるだと!

不公平すぎるだろ!

「アヤ。重力軽減魔法と運搬魔法で、四頭を順番にここに運んでくれ」

「了解!」

狩りが上手くいって、アヤも上機嫌だ。

「みつおさん。サイと鰐は魔法袋に入れるから、水牛二頭を運んでください」

みつおはこれにも驚愕した。

この娘の魔力凄すぎるだろ。

クロサイを魔法袋に収める奴なんて初めて見たよ。

「分かりました、任せてください」

「それと、明日も二十人以上募集するので、担い棒用の竹を預かってくれる人を探しておいてください」

おいおいなんてこった。

こんな楽で安全な仕事で、四百銅貨貰えるだと!

これなら村に帰ってから、もう一度狩り出かけて稼げる。

若い連中なら訓練する余裕もある。

「分かりました。俺が責任もって預かりましょう。野郎ども、獲物に傷つけるんじゃねーぞ。前脚の後ろに横棒の竹を入れろ。後脚の前にもだ。よしそうだ。右後脚を曲げて、右前脚とロープで結べ。左も同じだ。次、右外側に六間棒を添えて横棒と結べ! 左も同じだ。左右の横棒に、ロープを何回も間隔開けて巻き付けろ。水牛の腹にかかる重みを分散させるんだ。よし、いいぞ。試しに担ぐぞ。一班集まれ、よし、担げ。二班、同じようにしろ。よし、いいな、出発!」

『冒険者組合』

「助っ人は平民冒険者だから、村側買取所入り口を使うよ」

俺は何時もの奴隷冒険者用入り口ではなく、反対側の平民冒険者用入り口から入った。

「すみません。運搬に冒険者を雇ったので、こちらから入ります」

「朝野小人目付様、買取お願いします」

「うむ、倉庫に行くぞ。買取長、倉庫を借りるぞ」

「はい。私が付いていきます」

「クロサイ一頭、水牛二頭、鰐一頭です」

「出せ」

「よし、傷は無いな。減額は無しだ。クロサイが四千十キログラム、水牛が二頭で二千九十キログラム、鰐が千九十四キログラムだ、合計十二万五千八百八十銅貨だ。現金でいいんだな? タケル」

「はい。ただ小白銅貨八十枚は、冒険者に支払う為にに必要なのです」

「分かった。これでいいな? 確認したら拇印押せ」

「みんな。冒険者組合で支払います。ついてきてください」

「受付殿。契約金八千銅貨です。領収書をお願いします」

「はい、確かに」

「明日も依頼したいのですが?」

「何名ですか?」

「信頼できる人なら、二十名以上八十名までです」

「! 分かりました。組合長と相談の上、信頼できる人を厳選させていただきます。依頼料は今日と同じで、一人四百銅貨でいいのですか?」

「はい。今日と同じでお願いします」

「では皆さん、明日も来ていただけたら幸いです」

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