奴隷魔法使い
第15話大鰐
ここが中古の武具屋か。
「すみません、武器見せてください」
「はい、どうぞ」
魔法道具はこの辺か。
赤樫の魔法杖が百銅貨もするのか。
だがいざという時は、木刀のように使える丈夫さが欲しいから、赤樫を選ぶべきだろう。
赤樫の中でも、表も中も傷の無い物がいいな。
「アヤも重さを確認して、使い勝手のいい杖を選んで」
「うん、これが良さそう。」
「店員さん、ここに来る冒険者さんで、湿地帯を狩場としているパーティはおられますか?」
「はい、そうですね、新人からベテランまで沢山おられます。獲物が多い湿地帯は人気がありますから。あ、あそこに居られる六人組などは、面倒見もいいベテランさんですね」
「はい、ありがとうございます。この杖二本ください」
「はい、ありがとうございます。二本で二百銅貨になります」
「すみません、湿地帯に行かれる冒険者さんですか?」
「そうだが、それがどうかしたかい?」
「僕たち今日初めて湿地帯に行くので、少しでも危険を少なくしたくて、狩場まで一緒に行かせてもらえませんか?」
「そうか、それは俺達も助かる」
「おいおい、新人と一緒で助かるかよ?」
「いや、目・耳は多いほどいいし、厳しいことを言えば、隠密性の高い獣の不意打ちを受ける確率が人数分低くなる!」
「身も蓋もない言い方だが、それもそうか」
「じゃ、行こうか」
「はい、僕はタケル、この娘はアヤです」
「俺はりょうと、コイツがくまきち、アイツがとらお」
「私はあすか、あの娘がみどり、あっちの娘がかえで」
ベテランさんが何気なく危険な場所を避けて下さったので、何の危険もなく湿地帯まで辿り着くことが出来た。
「有難うございました、僕たちは向こうで獲物を探します」
「ああ、気をつけてな」
「アヤ。今日は値動きが少なく安定した買取価格の獣を狙いたい。まず俺の魔法袋容量限界が百七十キログラム以下だから、あの鰐を狙う」
「はい」
「俺が倒すから、アヤは昨日の打ち合わせ通り、重力軽減魔法と運搬魔法で安全なここまで運んでくれ」
「うん、やってみる」
「鰐だから、喉は隠れている。火炎圧縮魔法で、こうして脳を焼いて殺す」
俺は直径六十センチメートル位の火炎を魔力で圧縮し、直径一センチメートルくらいにした。
それを魔力で誘導して、鰐の後頭部付近から脳に直撃させた。
鰐は魔法の直撃を受けた後で多少痙攣するように動いたが、直ぐに全く動かなくなった。
「よし! 運んでくれ」
「はい!」
「うん、上手いぞ。大きさも何とか袋に入りきった」
「次はアヤが練習がてら倒してくれ。ただ、魔力は節約したいから大物狙いだ。うん? 見間違いか? ちょっと遠いが右の方に途轍もなく巨大な鰐! アヤ、どう思う?」
「う~ん、十メートル以上、十五メートル近いかもしれない」
「アヤは何キログラムまで魔法で運べる?」
「四トンくらいかな」
おいおい規格外すぎるよ。
アヤでこれなら、上級魔術師は化け物だな!
「アヤ、行ってみよう」
「はい」
うわ~、やっぱでかいよ、巨大だよ!
でも、いずれは魔界に入って、魔獣や魔竜を狩るようになりたいんだ。
でかいからって、ただの獣にビビってられるか!
「アヤ。あいつは獲物で商品なんだ。だから傷は少ない方がいい。さっきやって見せたように、圧縮火炎魔法で小さく穴開けて、脳だけを焼くんだ」
「はい。やってみる」
「俺も魔法の準備をしておくから、焦らずやればいい。外したら、逃げながら次の圧縮火炎魔法を用意するんだ」
「はい。やります!」
よし、上手い!
死角から迂回させて、火球を後ろに移動させた。
よしバッチリ後頭部から火球が決まった。
おおおお痙攣してる。
流石にアヤは凄い!
何も練習していないのに、見ただけで俺が考えに考え抜いた魔法を覚えるかよ。
「痙攣が止まった。ここまで運んで! よしそうだ、袋に入れて。やったな! 初獲物がチョー大物だよ、何キログラムあるか分かるか?」
「三トン超えるくらいだと思う」
「袋の容量は、あと一トンか?」
「うん」
「じゃ、適当な鰐を狩って帰ろう」
「はい!」
俺とアヤは、何の危険を感じることなく適当な大きさの鰐を狩り、意気揚々と砦に帰ることが出来た。
「小人目付様買取お願いします」
「アヤの担当は横井殿だぞ!」
「僕がリーダーです。僕が現金で受け取り、朝野様の前で公平に折半いたします」
「分かった。それなら体裁は整う。いいだろう、ここに出せ」
「十メートル三トン級の鰐が一頭。同じく五百キログラム級鰐が二頭。百五十キログラム級が1頭ですから、もっと広い場所でないと無理です。」
「な! とびすけ買取長! 冒険者組合の倉庫を使わせてくれ」
「朝野様、私もご一緒させていただきます」
「うむ」
「タケル、アヤ、ついてこい」
俺とアヤは、高揚する心を押し殺して表情を隠し、朝野様ととびすけ買取長の後に続いた。
奴隷冒険者が狩った獲物も、鑑定した後は冒険者組合の倉庫に保管される。
だからあまりに巨大で受付で出せない獲物は、広大な冒険者組合の倉庫で鑑定しようと言う事だろう。
普通の奴隷冒険者の実力では、受付で鑑定出来ないような大物を狩ることは出来ない。
大物が狩れるような実力者なら、貯めた金で自分の身を購入し、奴隷から平民になっている。
そうなれば平民冒険者として冒険者組合の受付に行くことになる。
当然砦からは出ていくことになる。
「出せ」
「はい。アヤ出そう」
「はい。」
「デカイ! 何という大物だ! 買取長、組合の秤を使わせてもらう」
「はい、私が量らせていただきます」
「タケル。アヤ。四頭合計で四千九十七キログラム、八万千九百四十銅貨、一人当たり四万千四百七十銅貨だ。一人づつ渡すぞ、小銀貨四枚、大白銅貨一枚、小白銅貨四枚、大黄銅貨七枚だ、同じくアヤの分、確認したか? なら受け取りに拇印押せ」
「タケル、これ貸してもらってた四百銅貨返すね」
「ああ、目付様ありがとうございました。アヤ武具買いに行こう」
「すみません、武器見せてください」
「はい、どうぞ」
魔法道具はこの辺か。
赤樫の魔法杖が百銅貨もするのか。
だがいざという時は、木刀のように使える丈夫さが欲しいから、赤樫を選ぶべきだろう。
赤樫の中でも、表も中も傷の無い物がいいな。
「アヤも重さを確認して、使い勝手のいい杖を選んで」
「うん、これが良さそう。」
「店員さん、ここに来る冒険者さんで、湿地帯を狩場としているパーティはおられますか?」
「はい、そうですね、新人からベテランまで沢山おられます。獲物が多い湿地帯は人気がありますから。あ、あそこに居られる六人組などは、面倒見もいいベテランさんですね」
「はい、ありがとうございます。この杖二本ください」
「はい、ありがとうございます。二本で二百銅貨になります」
「すみません、湿地帯に行かれる冒険者さんですか?」
「そうだが、それがどうかしたかい?」
「僕たち今日初めて湿地帯に行くので、少しでも危険を少なくしたくて、狩場まで一緒に行かせてもらえませんか?」
「そうか、それは俺達も助かる」
「おいおい、新人と一緒で助かるかよ?」
「いや、目・耳は多いほどいいし、厳しいことを言えば、隠密性の高い獣の不意打ちを受ける確率が人数分低くなる!」
「身も蓋もない言い方だが、それもそうか」
「じゃ、行こうか」
「はい、僕はタケル、この娘はアヤです」
「俺はりょうと、コイツがくまきち、アイツがとらお」
「私はあすか、あの娘がみどり、あっちの娘がかえで」
ベテランさんが何気なく危険な場所を避けて下さったので、何の危険もなく湿地帯まで辿り着くことが出来た。
「有難うございました、僕たちは向こうで獲物を探します」
「ああ、気をつけてな」
「アヤ。今日は値動きが少なく安定した買取価格の獣を狙いたい。まず俺の魔法袋容量限界が百七十キログラム以下だから、あの鰐を狙う」
「はい」
「俺が倒すから、アヤは昨日の打ち合わせ通り、重力軽減魔法と運搬魔法で安全なここまで運んでくれ」
「うん、やってみる」
「鰐だから、喉は隠れている。火炎圧縮魔法で、こうして脳を焼いて殺す」
俺は直径六十センチメートル位の火炎を魔力で圧縮し、直径一センチメートルくらいにした。
それを魔力で誘導して、鰐の後頭部付近から脳に直撃させた。
鰐は魔法の直撃を受けた後で多少痙攣するように動いたが、直ぐに全く動かなくなった。
「よし! 運んでくれ」
「はい!」
「うん、上手いぞ。大きさも何とか袋に入りきった」
「次はアヤが練習がてら倒してくれ。ただ、魔力は節約したいから大物狙いだ。うん? 見間違いか? ちょっと遠いが右の方に途轍もなく巨大な鰐! アヤ、どう思う?」
「う~ん、十メートル以上、十五メートル近いかもしれない」
「アヤは何キログラムまで魔法で運べる?」
「四トンくらいかな」
おいおい規格外すぎるよ。
アヤでこれなら、上級魔術師は化け物だな!
「アヤ、行ってみよう」
「はい」
うわ~、やっぱでかいよ、巨大だよ!
でも、いずれは魔界に入って、魔獣や魔竜を狩るようになりたいんだ。
でかいからって、ただの獣にビビってられるか!
「アヤ。あいつは獲物で商品なんだ。だから傷は少ない方がいい。さっきやって見せたように、圧縮火炎魔法で小さく穴開けて、脳だけを焼くんだ」
「はい。やってみる」
「俺も魔法の準備をしておくから、焦らずやればいい。外したら、逃げながら次の圧縮火炎魔法を用意するんだ」
「はい。やります!」
よし、上手い!
死角から迂回させて、火球を後ろに移動させた。
よしバッチリ後頭部から火球が決まった。
おおおお痙攣してる。
流石にアヤは凄い!
何も練習していないのに、見ただけで俺が考えに考え抜いた魔法を覚えるかよ。
「痙攣が止まった。ここまで運んで! よしそうだ、袋に入れて。やったな! 初獲物がチョー大物だよ、何キログラムあるか分かるか?」
「三トン超えるくらいだと思う」
「袋の容量は、あと一トンか?」
「うん」
「じゃ、適当な鰐を狩って帰ろう」
「はい!」
俺とアヤは、何の危険を感じることなく適当な大きさの鰐を狩り、意気揚々と砦に帰ることが出来た。
「小人目付様買取お願いします」
「アヤの担当は横井殿だぞ!」
「僕がリーダーです。僕が現金で受け取り、朝野様の前で公平に折半いたします」
「分かった。それなら体裁は整う。いいだろう、ここに出せ」
「十メートル三トン級の鰐が一頭。同じく五百キログラム級鰐が二頭。百五十キログラム級が1頭ですから、もっと広い場所でないと無理です。」
「な! とびすけ買取長! 冒険者組合の倉庫を使わせてくれ」
「朝野様、私もご一緒させていただきます」
「うむ」
「タケル、アヤ、ついてこい」
俺とアヤは、高揚する心を押し殺して表情を隠し、朝野様ととびすけ買取長の後に続いた。
奴隷冒険者が狩った獲物も、鑑定した後は冒険者組合の倉庫に保管される。
だからあまりに巨大で受付で出せない獲物は、広大な冒険者組合の倉庫で鑑定しようと言う事だろう。
普通の奴隷冒険者の実力では、受付で鑑定出来ないような大物を狩ることは出来ない。
大物が狩れるような実力者なら、貯めた金で自分の身を購入し、奴隷から平民になっている。
そうなれば平民冒険者として冒険者組合の受付に行くことになる。
当然砦からは出ていくことになる。
「出せ」
「はい。アヤ出そう」
「はい。」
「デカイ! 何という大物だ! 買取長、組合の秤を使わせてもらう」
「はい、私が量らせていただきます」
「タケル。アヤ。四頭合計で四千九十七キログラム、八万千九百四十銅貨、一人当たり四万千四百七十銅貨だ。一人づつ渡すぞ、小銀貨四枚、大白銅貨一枚、小白銅貨四枚、大黄銅貨七枚だ、同じくアヤの分、確認したか? なら受け取りに拇印押せ」
「タケル、これ貸してもらってた四百銅貨返すね」
「ああ、目付様ありがとうございました。アヤ武具買いに行こう」
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