奴隷魔法使い

克全

第10話闇の奴隷取引

「アヤどうだい、順調かい?」

「うん。・・・・・駄目なの」

嘘だろ?

アヤは王国に三十年ぶりに現れた中級上の魔法使いだぜ。

王室の筆頭魔導士でも中級上の魔力。

それが狩りが不調なんて、絶対おかしいだろ!

「おいおい、俺ですら毎日稼げてるんだぜ。中級上のアヤがそれはないだろ」

「黙れ、初心者!」
「そうだ、ど素人のお前が口出しするな!」
「そうよ、狩る獲物と頻度はベテランの私らがちゃんと考えてるわ!」

何だ、こいつら?

目つきが悪い。

何か企んでるのか?

闇奴隷売買!

そうか!

アヤを売れば莫大な金額になるか。

しかし、王家の貴重な財産である奴隷魔法使いを、こいつらだけで売れまい。

しかもアヤは三十年ぶりの中級上の魔法使いだ。

黒幕がいないと無理な話だ。

「アヤ、借金させられてない?」

「うん・・・・いい武器屋防具が必要だと勧められてるんだけど・・・・」

「止めとけ止めとけ。俺、このままの装備だけど、もう七千四百銅貨の預金あるぜ。王室財産である俺たち奴隷に、借金勧めるなんて、王室財貨の横領だぜ!」

「なに~、俺たちを愚弄するか!」

脅えることなく怒ったか。

可也の黒幕がいるな。

下手に突くと、こっちの命がなくなる。

引くか?

痛い・痛い・めっちゃ胸が痛い。

分かった、真タケル。

何とする。

お前の愛する人は護る。

ただ慎重にする。

だから痛いの止めて!

「いえとんでもありません、ベテラン冒険者の先輩方を愚弄するなんてありません。ただ、男なら王室魔導士付きの奴隷として鍛え、将来は王室魔導士にとまで言われたアヤです。全く狩りの成果がなく、借金で転売となれば、魔導組合と目付様が飛んでくるのは必然ですが?」

「ふん、何も悪いことなどしておらん、誰が来ようと平気だ!」

ふむ、黒幕を探るか?

やり過ぎは自滅か?

えい、やっちまえ。

「しかし、そうなれば砦の長の、奴隷千人頭様も徹底的に調べられますが?」

「なに~!」

くそ、頭が黒幕の1人か!!

「はい、僕はアヤとずっと一緒でした。王室筆頭魔導士様がお気に入りで、解放奴隷にして養女にしたい意向でしたが?」

はったりだが、行くしかない。

「アヤ、今後のパーティー編成の相談しよう!」

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