「溺愛」「婚約破棄」「ざまあ」短編集5

克全

第17話

私は、神様から奇跡を授かりました。
夢枕に神様が立たれ、神の知識を授けてくださったのです。
今まで誰にも伝えられなかった知識です。
恐ろしく強力な力を生み出す知識であり技術です
ですがとても制限のある技術でもあります。

「ママ、ママ、ママ。
エマずっとママのそばにいていいの?
エマずっとママのおてつだいをしていいの?」

「ママ、ママ、ママ。
ミアずっとママのそばにいていいの?
ミアずっとママのおてつだいをしていいの?」

エマとミアだけではなく、神様に選ばれた子供たちが私に抱き着きます。
あまりにうれしそうにするので、私の気分までよくなりました。
最初は少し憂鬱だったのです。
子供たちを自分のために利用するのがうしろめたかったのです。
ですが、これほど喜んでくれるなら罪悪感が少なくなります。

「ママが獣皮紙と魔皮紙に絵を描くから、みんなは手形を押してくれるかな?」

「「「「「は~い」」」」」

エマたちがうれしそうに元気よく返事してくれます。
私のお手伝いができる事をよろこんでくれています。
私は神様から授かった魔法陣を、獣皮紙と魔皮紙に書き込んでいきます。
エマたちがそれに魔獣から作った血墨で手形をつけていきます。
子供たちがうれしそうに、サクサクと手形を押すので、私が魔法陣を描くのが追いつきません。

たったこれだけの作業です。
他になにもありません。
誰にでも真似できそうにみえます。
ですが神様が教えてくださったように、私限定の知識と技術だそうです。
ルーカス様たちが真似しても、まったく魔法が発動しませんでした。

ですがひとたび私が発動させると、上級の上に格付けされている魔法が、楽々と発動できるのです。
本来なら私が知らない呪文が勝手に心に浮かび、自由自在に使えるのです。
正直怖くなりました。

ですが、とても限定されてもいます。
私がお世話している子供たちの助力がないと、これは創り出せないのです。
攻撃の知識はなく、守りと癒しの知識に限られています。
神様も無制限で知識と技術を授けてくださったわけではないのです。

ですが私のはこれで十分です。
この知識と技術があれば、子供たちを守ってあげられます。
それ以上の事は望みません。
もう二度と、エマとミアが人質に取られた時のような事はごめんです。

「邪魔をするな下郎!
私はラロドリゲス侯爵家に仕える騎士隊長のジェイコブだ!
侯爵閣下直々の使者として来たのだ。
これ以上邪魔をするなら斬って捨てるぞ!」

またバカが来たようです。
ですが、いきなり殺そうとしない程度の知識はあるようです。
しかし、また門番が殺されるようなことになっては大変です。
護りの魔法を発動しておきましょう。

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