「ざまぁ」「婚約破棄」短編集2巻
第37話
「本気で言っているのか、エリック?!
そんな交渉に大公達が従うはずがなかろう」
アレサンドが思わず聞き返してしまうほど、常識外れの提案だった。
アレサンドには成功するとは思えない提案だった。
思わず昔のように呼びかけてしまうほどだった。
だがとうのシャノン侯爵は涼しい顔をしていた。
「やってみなければわかりません。
それに全大公が賛同してくれなくていいのですよ。
一人でも二人でもいいのです。
一人でも獣人族大公が連合に参加してくれれば、連合皇国を名乗れるのです」
アレサンドは真剣に考え直してみた。
そして決して不可能ではない事が理解できた。
獣人族が建国し大公国を名乗っている国も千差万別なのだ。
アレサンドが大公であった、人族王国を凌駕する強さの国ばかりではなのだ。
人族とそれほど戦闘力が変わらない、鼠や兎の獣人族が建国した、小さな国もあれば、獅子や狼の獣人族が建国した、ウィントン大公国に匹敵する国もあるのだ。
「そう、だな。
確かに鼠や兎の大公国はもちろん、鼬や貂、狸や狐の大公国も、皇国に参加して他の大公国や人族王国から護ってもらいたいと思うだろうな」
「陛下は気がついておられないでしょうが、彼らは我らに襲われる事も、心から心配し不安に思っているのですよ。
早く皇国への参加を勧めてやるのが、親切というものです」
誇り高いアレサンドは、同じ獣人族を襲い喰うことなど夢にも思っていなかったが、草食系の獣人族は、常に肉食系の獣人族を恐れていた。
人族が相手なら、鼠や兎の獣人族でも、多少は人間よりも身体能力が高いから、逃げ隠れして生き延びられる可能性が高い。
だが相手が虎や獅子、狼や豹の獣人族が相手だと、国を併合され食用獣人として飼われる可能性すらあるのだ。
「分かった。
重臣会議を開いてくれ。
彼らに承認させてから、正式な使者を送る。
だがもうシャノン侯は、内密の使者を送り、内諾を得ているのであろう?」
「はい、正式な使者が来たら直ぐに承認すると言っている大公国が、すでに六カ国ございますので、それが公表されればさらに増えると思われます」
「ならばいっそ人族の国にも使者を送るか?
人族の国が一つでも参加すれば、皇国の格が更にあがるだろう?
人族の弱小国の中には、他の王国の属国になっている国もあるのだろ?」
アレサンドの頭の中には、常にカチュアの事があった。
新皇国の中に人族の国があれば、カチュアの地位が揺らがなくなる。
新皇国内に一つも人族の大公国や王国がないと、カチュアの地位が相対的に弱く低くなってしまう。
アレサンドはそれを恐れたのだ。
そんな交渉に大公達が従うはずがなかろう」
アレサンドが思わず聞き返してしまうほど、常識外れの提案だった。
アレサンドには成功するとは思えない提案だった。
思わず昔のように呼びかけてしまうほどだった。
だがとうのシャノン侯爵は涼しい顔をしていた。
「やってみなければわかりません。
それに全大公が賛同してくれなくていいのですよ。
一人でも二人でもいいのです。
一人でも獣人族大公が連合に参加してくれれば、連合皇国を名乗れるのです」
アレサンドは真剣に考え直してみた。
そして決して不可能ではない事が理解できた。
獣人族が建国し大公国を名乗っている国も千差万別なのだ。
アレサンドが大公であった、人族王国を凌駕する強さの国ばかりではなのだ。
人族とそれほど戦闘力が変わらない、鼠や兎の獣人族が建国した、小さな国もあれば、獅子や狼の獣人族が建国した、ウィントン大公国に匹敵する国もあるのだ。
「そう、だな。
確かに鼠や兎の大公国はもちろん、鼬や貂、狸や狐の大公国も、皇国に参加して他の大公国や人族王国から護ってもらいたいと思うだろうな」
「陛下は気がついておられないでしょうが、彼らは我らに襲われる事も、心から心配し不安に思っているのですよ。
早く皇国への参加を勧めてやるのが、親切というものです」
誇り高いアレサンドは、同じ獣人族を襲い喰うことなど夢にも思っていなかったが、草食系の獣人族は、常に肉食系の獣人族を恐れていた。
人族が相手なら、鼠や兎の獣人族でも、多少は人間よりも身体能力が高いから、逃げ隠れして生き延びられる可能性が高い。
だが相手が虎や獅子、狼や豹の獣人族が相手だと、国を併合され食用獣人として飼われる可能性すらあるのだ。
「分かった。
重臣会議を開いてくれ。
彼らに承認させてから、正式な使者を送る。
だがもうシャノン侯は、内密の使者を送り、内諾を得ているのであろう?」
「はい、正式な使者が来たら直ぐに承認すると言っている大公国が、すでに六カ国ございますので、それが公表されればさらに増えると思われます」
「ならばいっそ人族の国にも使者を送るか?
人族の国が一つでも参加すれば、皇国の格が更にあがるだろう?
人族の弱小国の中には、他の王国の属国になっている国もあるのだろ?」
アレサンドの頭の中には、常にカチュアの事があった。
新皇国の中に人族の国があれば、カチュアの地位が揺らがなくなる。
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アレサンドはそれを恐れたのだ。
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