「ざまぁ」「婚約破棄」短編集2巻

克全

第6話

バーツの身体の傷が、みるみる癒えていきます。
バーツの動きがみるみるよくなります。
剣の切れ味も増したように思われます。
大きく破損したにもかかわらず、鎧の防御力も格段に上がっています。
このままいくと、バーツが勝つのではないでしょうか?

ギャァァアァ

私は油断してしまっていました。
フレッドは改心するのだと思っていました。
苦しんで地を這いまわっていても、イスファン達のように、元の心を取り戻してくれるのだと思っていました。

ですがそれは間違いだったのです。
眷属と呼ばれる者達は、ハクの治癒魔法も効かないのです。
私は背後からフレッドに襲われました。
ハクがいてくれなかったら、確実に拉致されていました。

私とは違って、ハクは油断していなかったのでしょう。
私に襲いかかろうとする者を、注意深く警戒してくれていたのでしょう。
ですが、もうハクに頼る事はできないようです。
ハクが明らかに疲れています。
二度しか治癒魔法を使っていないのに、明らかに今まで以上に疲弊しています。

「話をしようか、聖騎士」

「どうやら正気を取り戻したようだな」

「いや、とても正気とは言えん。
だから今のうちに話しておかねばならん。
先代の大公殿下と正妃様の事だ」

フレッドが正気を取り戻したようです。
全てを話してくれるようです。
亡くなった父上と母上の事です。
私は病気で亡くなったと聞いていたのですが、違うようです。
アメリアの正体を知った今は、嫌な予想がします。
正直聞きたくありません。
でも聞かなければいけません。

「先代の大公殿下は、アメリアに騙されてしまわれた。
いや、アメリアの虜になった貴族の勧めを断れなかった。
カチュア様お一人しか御子がなかったロディー大公殿下は、アメリアを側室にしてしまった。
この国の実権を握ろうとしていたアメリアは、正室のグレース様を生きたまま喰い殺したが、その姿をロディー大公殿下に見られてしまった。
見られたアメリアは、ロディー大公殿下を眷属にしようとした。
だがロディー大公殿下は精神力で耐えられた。
だからロディー大公殿下も生きたまま喰い殺した。
だがカチュア様は喰い殺されなかった。
それは予言の鏡の影響だ。
アメリアは常に予言の鏡に問うている。
永遠の美貌を得るための方法を。
アメリアは予言の鏡に言われたのだ。
十五歳になったカチュア様の生血を啜りながら生肝を食べれば、永遠の命を美貌を手に入れられると」

衝撃的な事実でした。
父上も母上も生きたままアメリアに喰われたというのです。
絶対に許せません。
どのような手段を使っても敵を取ります!

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