魔法武士・種子島時堯

克全

第276話女真族

「我が国とモンゴルの間には女真族が居住しておりますが、明国の政策により部族ごとに分けられ、相争うように仕向けられております」

「確か居住地域で、建州女直(けんしゅうじょちょく)・海西女直(かいせいじょちょく)・野人女直(やじんじょちょく)の3大部族に分けられているのだったな」

「はい、ですが建州女直(けんしゅうじょちょく)は、満州女真の蘇克素滸(すくすふ)・渾河(ふねへ)・完顔(わんぎや)・董鄂(どんご)・哲陳(じぇちぇん)の5部と、白山女真の朱舎里(じゅしぇり)・納殷(ねいぇん)・鴨緑江(やるぎやんぐ)の3部に分けられます。海西女直(かいせいじょちょく)は、烏拉(うら)・輝発(ほいふぁ)・哈達(はだ)・葉赫(いぇへ)の4部に分かれ、野人女直(やじんじょちょく)は、渥集部(うぇじ)・瓦爾喀部(わるか)・庫爾喀部(くるか)の3部に分かれると明国では言っています。しかしながら実際には、もっと細分化され、各部族の族長が率いております」

「彼らを味方に付けると言うのだな」

「はい、特に野人女直(やじんじょちょく)と海西女直(かいせいじょちょく)の烏拉(うら)国・輝発(ほいふぁ)国とは、既に種子島家は友好な交易行っております」

「そうか、奴隷がいるのなら買い取り家臣に繰り入れてくれ、生活に苦しむ者がいれば召し抱えて種子島家の家臣に加えてくれ」

「承りました」

「ただし、女真族が纏まり我が国に攻め入るようになっては困る、明国と同じやり方は嫌だが、部族ごとに種子島家の直臣として手柄を競わせるようにしてくれ」

「出来る限りの事をさせていただきます」

「他の部族はどうなっている?」

「明国視点の女真族分類」
建州女直(けんしゅうじょちょく)
満州女真
1:蘇克素滸(すくすふ)
2:渾河(ふねへ)
3:完顔(わんぎや)
4:董鄂(どんご)
5:哲陳(じぇちぇん)
白山女真
1:朱舎里(じゅしぇり)
2:納殷(ねいぇん)
3:鴨緑江(やるぎやんぐ)
海西女直(かいせいじょちょく)
1:烏拉(うら)
2:輝発(ほいふぁ)
3:哈達(はだ)
4:葉赫(いぇへ)
野人女直(やじんじょちょく)
1:渥集部(うぇじ)
2:瓦爾喀部(わるか)
3:庫爾喀部(くるか)


建州女直(けんしゅうじょちょく)
遼東(満州南部周辺)の山岳地帯に居住していた女直
明国・第3代皇帝・永楽帝は中国東北部へ出兵、黒竜江付近まで進出して女真族を支配下に置いた。明国はこの地を招撫支配するため奴児干郡司を設置、建州衛、建州左衛、建州右衛などを統括し、女真族を衛所制に組み込んだ。女真族は衛所を通じて明国と交易をおこなう中で社会的、文化的な影響を受け漢化していった。奴児干郡司は明国の国力低下に伴い廃止された。


海西女直(かいせいじょちょく):フルン・グルン
元々松花江の支流であるフルン河の流域に居住していたとされるが、15世紀の中頃以降に西方の大興安嶺方面からモンゴル諸部族の圧迫を受け南下したとされる。

烏拉(うら):明国と国境を接さない吉林北方のウラが本拠地、
:最盛期には豆満江まで勢力を広げた
輝発(ほいふぁ):ホイファ河流域を中心にウラ部の南方を勢力圏とした
:フルン四部中もっとも勢力が弱かった
哈達(はだ):開原南東のハダ河流域を支配して立てた国
:明と領土を接して密接に交渉をもち、交易ルートを抑えて南関と呼ばれ強大
:最も南に位置し建州女直の領域と接していた
葉赫(いぇへ):開原北方のイェヘ河流域を本拠地とした国
:明と領土を接して密接に交渉をもち、交易ルートを抑えて北関と呼ばれ強大
:元々モンゴルの貴族が、本来の女真系ナラ氏の支族を滅ぼしナラ氏を称した

野人女直(やじんじょちょく)
松花江下流域から黒竜江中下流域にかけての広大な領域に住む女真
またはアムール川中流域の旧海西衛分の女直と言われるがあくまでも明国側の視点
明に朝貢していたかどうかの差だと言う説もある

明末の海西女直と朝貢制・明代の海西女直と野人女真(上)・戦国武将録・ウィキベキ・世界帝王辞典を参考参照

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