魔法武士・種子島時堯

克全

第268話蝦夷国始末

1547年6月:蝦夷・石狩国・石狩城:種子島時堯と種子島時立

「叔父上、交易の方はどうでございますか?」

「なかなか難しい事でございますが、家臣や商人が数や量に大雑把なアイヌを騙さぬように、検分役を数多く派遣して未然に防ぐようにしております」

「それでも騙そうとする者は出てくるのではありませんか?」

「はい、報告書にも書かせていただきましたが、そのような者を見つけた場合は、家財全てを没収した上に、家族ともども奴隷に落としております」

「そうですか、こればかりは厳しい態度で臨んで下さい。いずれは蝦夷地だけでなく、千島・樺太・カムチャッカ・沿海・アリューシャンのアイヌやウナンガンも種子島家の領民に組み込む心算です、領民との関係は信頼なくしては有り得ません」

「承知しております、権大納言様」

「蝦夷の材木を使った造船はどうなっています?」

「そちらは何の問題も無く順調に建造が進んでおります、特にアイヌの奴隷をほぼ全て米と交換して手に入れましたので、人手は当初の想定より確保出来ました」

「教育と訓練はどうなっています?」

「各地のアイヌは敵対しており、大規模な合戦も発生しておりますので、部族間の争いが起こらないように部隊配備しております。ですが丸木舟やボートを作れる者は、元の部族に関係なく南蛮船の船大工の下に集め、造船にたずさわらせております。それぞれの能力と経験に合わせて、各種親方に預けております」

「そうですか、これからも1人1人の能力を底上げし、種子島家の生産力が上がるようにしてください」

「承りました」

「石炭などの鉱山開発はどうなっていますか?」

「将兵に危険の及ばない範囲で開発しておりますが、今は造船用の材木伐採と、伐採後の開墾に力を入れております」

「それでかまいません、奴隷として買い取れなかったアイヌの平民を、玄米を対価に雇って活用してください」

「承りました」

俺は尼子制圧戦の間に、かねてから準備していた蝦夷国遠征軍を送り込んでいた。当初の予定より送り込む兵力は減少したものの、商人達が遠征軍に随伴して交易を予定していた為、完全に取り止める訳にもいかなかった。

だが種子島家支配下の交易艦隊と商人の船団に加え、交易相手の明や朝鮮の海賊商人・根来水軍等の日本各地の水軍も加わったため、交易用の商品は予定以上の量を蝦夷に運び込む事が出来た。

種子島家蝦夷遠征軍が拠点としたのは、以前から和人とアイヌが交易場所としてきたところが多かったが、新たに海軍城を築く立地条件が整った場所にも屯所・交易所を設けた。そして俺の記憶の中にある旧国に蝦夷地を分けることで、広大な蝦夷地の行政が滞りなく行えるように努めた。

「蝦夷地の国分けと交易拠点」
渡島国:箱館・松前・江差・熊石・上ノ国
後志国:小樽・余市・寿都
石狩国:石狩
天塩国:留萌・遠別
北見国:稚内・浜頓別・紋別・網走・斜里
根室国:羅臼・標津・根室
釧路国:厚岸・釧路・浜中
日高国:様似・門別
十勝国:十勝
胆振国:苫小牧・室蘭
樺太国:久春古丹(大泊)・豊原・留多加・足香(ウッシャム)・敷香
千島国:東沸・紗那・泊・留別・得撫・新知・計吐夷・羅処和・松輪・温祢古丹・幌延
沿海国:ラザレフ・オリガ・ナホトカ
勘察加国:勘察加
アリューシャン列島:コマンドル

「アイヌの身分制度」
カモイ:首長
ニシパ:紳士・旦那・金持ち
:平民
ウタレ:奴隷


「蝦夷方面軍」

種子島時立:蝦夷国軍総司令官

奈須延方:蝦夷国軍副総司令官
五条鑑量:蝦夷国軍副総司令官
問註所親照:蝦夷国軍副総司令官

東郷重理:副将・大毅・二千長
赤星親家:副将・大毅・二千長
八並舎人:副将・大毅・二千長
馬場頼周:副将・大毅・二千長
於保宗益:副将・大毅・二千長

鉈峰舎重:軍師・小毅・千長
仏具親威:軍師・小毅・千長
已上家古:軍師・小毅・千長
悪虫頼師:軍師・小毅・千長
狄塚宗善:軍師・小毅・千長
渓斎理利:軍師・小毅・千長
甑岳畝春:軍師・小毅・千長

奴隷屯田兵5万+アイヌ奴隷兵5万=10万兵

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