魔法武士・種子島時堯

克全

第148話皇朝銭復活

1541年11月1日『京・種子島屋敷』種子島権中納言時堯・13歳

「権中納言殿、このたびの献策は御上も公家衆も大喜びでおじゃったな」

「あのように喜んで頂けて、私も準備を整えてきた甲斐があります」

「しかし鋳造が終わって流通が始まれば、600年振り位でおじゃろうかの?」

「そうでございますね、記録を調べさせましたが600年近くは鋳造されていないそうです」

「待ち遠しいでおじゃるよ」

「九州・伊予国・対馬国の金銀銅鉱山に加えて、台湾の金瓜石鉱山でも順調に採掘がはじまりました。材料に限りがございますので、10銭白銅貨の鋳造は限られてしまいますが、1銭黄銅貨はどんどん鋳造させていただきます」

「1銭黄銅貨で宋銭や明銭の10倍の価値がおじゃるとは、中納言殿には随分と利益がおじゃるのか?」

「はい、今までは東国と西国でも明銭と宋銭の価値の違いでも利益を上げていましたが、多くの商船艦隊や商船団が行き来することで、銭の相場の国内差が無くなってきました。今なら余り混乱を起こすことなく皇朝銭を流通させることができます」

「それにしても、この1銭黄銅貨も10銭白銅貨も光り輝いて美しいでおじゃる。これなら金貨や銀貨と間違う者もおじゃるのではないか?」

確かに鋳造したばかりの黄銅貨や白銅貨は美しい。九条禅定太閤殿下がおっしゃられるように、金貨や銀貨の贋金として使われないように注意しなければいけないかもしれない。

963年に乾元大宝を鋳造したのを最後に途絶えた、朝廷発行の皇朝銭を復活させる事にした。その為に九州と台湾の鉱山を奴隷部隊を使って採掘し、反射高炉を使って精錬鋳造していたのだ。そして今回発行する銭は、国際交易基準を優先することにした。

日本国内では、銀を匁や貫高を基準として43匁(約161グラム)を銀拾両(十両)としていたが、明国内で流通している銀錠は1両(37g)を基準として、1両から50両(1865g)までの大小さまざまな物があった。

だから俺は、金貨と銀貨は明国などとの海外貿易を考慮して、匁・貫ではなく両(37g)を基準とした90%の金銀に10%の銅を加えた貿易用の金錠と銀錠を鋳造した。更に補助貨幣として同じ品位の1匁金貨と1匁銀貨を鋳造すると共に、国内流通貨幣として1銭黄銅貨と10銭白銅貨を1匁(3・75g)の量目で鋳造した。

「1銭銅貨」
銅 :60%
亜鉛:40%
量目:3・7g
直径:22・0mm
孔径: 5・0mm
図柄:表:稲穂・歯車・水
:裏:双葉

「10銭白銅貨」
銅   :75%
ニッケル:25%
量目  :3・7g
直径  :22・0mm
孔径  : 5・0mm
図柄:表:菊
:裏:分銅

「1匁銀貨」
銅 :10%
銀 :90%
量目:3・7g
直径:22・0mm
孔径: 5・0mm
図柄:表:虎
:裏:双葉

「1匁金貨」
銅 :10%
銀 :90%
量目:3・7g
直径:22・0mm
孔径: 5・0mm
図柄:表:龍
:裏:五七桐花


「銀錠」
1両(37g)か100両(1865g)程度の様々な物

「金錠」
1両(37g)か100両(1865g)程度の様々な物

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