魔法武士・種子島時堯

克全

第143話嫡男誕生

1541年3月15日『筑前国・大宰府』種子島権中納言時堯・13歳

「おんぎゃ~、おんぎゃ~、おんぎゃ~」

「姫様、本当に男の子でございます!」

「よくやった、兼子」

「はい、権中納言さま」

「産婆よ、産湯を使い早く初乳を飲ませてやってくれ」

「はい、権中納言さまの御召しのままに」

「しかし権中納言さまのお言葉通りの男の子でございました、なぜお分りになられたのですか?」

「天から授かった力の1つだよ、他人の子までは分からんが、我が子の性別くらいは分かるのだよ」

「さすが神の申し子、権中納言さまでございます!」

「さあ、まずはこれを飲みなさい」

俺は季節柄もあり、タンポポのお茶を作って出産に備えていた。タンポポ茶と言われる全草を乾燥したものは蒲公英(ほこうえい)と言われ生薬として用いられており、解熱・発汗・健胃・利尿などの作用があると言われている。

根だけ焙煎した物はタンポポコーヒーと俺が名付けたが、鉄分やミネラルが豊富で利尿作用によるむくみの改善、毛細血管の血流促進による冷え性の改善、疲れやストレスの緩和による疲労回復、卵巣精巣の機能向上による不妊の改善、血中コレステロール値を下げ血液の流れを改善、根に含まれる苦味成分が新陳代謝を促進すると思って用意してある。

もちろん季節が変わればハマナスの果実から作るローズヒップティーや、大麦から作る麦茶も作ってあげるつもりだ。

ローズヒップティーは、この世界この国この時代では、花蕾は玫瑰花(まいかいか・メイグイファ)と呼ばれ、イライラを鎮めたり気の流れや血の流れを良くする作用があると言われている。ストレスによる腹痛や下痢、月経不順に良く使われ、通常はお茶として飲まれてる。蝦夷樺太のアイヌでは腎臓の薬として知られ、むくみの解消に根や実を煎じたものを飲んでいたる。

もちろんキスした時に、身体内で発動させた魔法の影響を兼子に与える事も、嫡男となるこの子に与える事も可能だが、出来れば自然に育てたい。余り魔法で干渉してしまうと、兼子や嫡男にどのような悪影響が出るか予想がつかないからだ。

もちろん俺の子だから、同じように身体内で魔法を発動させる事が出来るようになるかもしれない。そのためには常に魔力を与え続ける必要があるかもしれない。それを検証確認するためには、魔力を毎日与える事は必要だが、そんな人体実験のような事をしたくはない。

まずはこの世界この国この時代で、産後に体にいいと言われる事を兼子にしてあげる。そして嫡男として産まれたこの子にも出来る限りの事をしてあげる。

もちろん俺の常識で、明らかに迷信であり兼子や嫡男に悪いことは絶対にさせないがな!

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